01

不遇な日常
宙ぶらりんの立ち位置
邂逅
不穏なざわめき
無垢な頬に巣食うもの
冷えた檻のなかで息をする
こんな幕開けはいらない
剥き出しの激情
踏み潰されたのは悲しみ
未完成の狂気

02

微睡みは明けて
嫌いの裏側
束の間の休息
息をしてもいいのですか
告白
ひとりぼっちで指切り
瞳は冷徹、微笑みは残虐

03

向き合う勇気
境界線を引いたのは
ぼやける君の輪郭
毒で育ったその感情
茨の呪縛
因果のうつろい
眠れる狂気が花開く
暗夜の礫
閉じた瞼をこじあける
翼なき者の自由
青の屈折 光の最期
高潔の鐘がなる

04

苦い誓いとはじまり
終わらせたい物語
幽かに触れた
きみ以外を歪めた世界
希望の端をつかんだ
嵐の前の
孤独の呼吸音
正義のなきがらを抱いている
騒つく瞳
ふたつのこころ
暗く、黒く

05

恋に狂う鳥のように
求愛あそび
駆け引きを続けて
仄日の浮標
静謐は常闇の音
融解温度
ひたむきな略奪
向き合う決意
誰もしらない細部

06

真も実もまだ箱の中
もたげる猜疑
悪たる所以
背水を抱く
こわれた心の交点
暗やみでだけ愛にみえる
とびきりの嘘が赤いなら
逃亡
征服できない白
白を引き裂く

07

零落行き
混沌
幕間ぶつり
変容する細胞
渦の中
不可視の輪郭
輝きばかりの荒れ地にひとり
光芒と創傷
思考停止の繰り返し
凍てつく明星
空舞う灰は人の屑
視界よりも広い余白
朱に交われど
薄闇に化けている
まぼろしがはがれ落ちた

08

殺意ほどの強さで
ふたりの白昼獄
矛盾と踊るは掌で
噛んで拒んで
この傷も結び目
鳴り止まない傷だらけの僕たち
片白に潤びる夜半
不可逆が降り積もる
相対の光
夜の端が青む