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初日
これは序章というよりこの物語の発端なのです。隣の家の沢田君は温和な同級生、でも突然現れた赤い瞳のあの人は、いとも簡単に乙女の唇を奪い去るようなそんな傲慢な人なのでした。彼は、彼らは、欲望にとても忠実に生きているようで私の意見とかそっちのけ。涙の呪いなんて傍迷惑な代物を守るため遙か遠くイタリアの地からわざわざやってきてくれたらしいのです。仮のお住まいはなんとココ。高級ベット持参で遠足気分の皆さんは午前2時にようやく就寝してくださいました。

2日目
暗殺部隊の朝は二度寝から始まります。お昼休みに沢田君に会って近況報告とか色々したらめちゃくちゃびっくりされました。(いっぽうその頃こちらでは。)沢田君は温和な同級生じゃなくて温和な10代目ボスでした。得たものと失ったものはそれぞれたくさんあってきらきらと私の中に思い出となって溜まっていくようです。

3日目
ほんの少し気まずい朝を越えて、風紀委員長様とお話した午前も過ぎると、私の平穏は呆気なく恐怖に色を変えるのでした。私にできる事は泣かないこと。彼らを信じて護られること。入浴中はスクアーロさんの昔話を聞いて、お風呂上りにツナ君と少し電話をして、ベルと少し勉強をして、彼らの就寝時間を推し量りながら、ザンザスさんの傍でうたたねをしました。

4日目
朧月に照らされた思惑はあまりに悪意に満ち満ちていて、私なんかではとても耐えきれそうにありません。迷惑になるのは承知の上で沢田君の家に避難した私は、そこではじめてかれの優しさを知ったのです。長い夢を見ました。それはとても残酷な残酷な夢。私は、もう何度目にもなる涙をまたあの人の前で晒してしまうけど、居たたまれなくも思うけど、助けてくれる強いその人を、いつだって頼りにしてしまうのです。そして新しい日常が始まって彼らのとんでもなくぶっとんだ金銭感覚を再認識。その日は、数学のかわりにずっとイタリア語の勉強をしました。

5日目
今日からは気持ちを切り替えて、とりあえず来る戦いに備えて一緒にご飯を作ったり今置かれている自分の状況に呆然としたりして、転校生ベルフェゴールをお迎えするのでした。昼休みは当然大騒動。思いがけない訪問者との再会でぎくしゃくしつつも帰路につき、懐かしの我が家へと向かうのでした。決戦の夜は静かに訪れ私の出したほんのちょっとの勇気は当たり前のように彼が結んでくれました。だから、私は「ありがとう」を言うのです。強く優しい、彼らに向けて。

~180321
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