ベッドは同じ部屋に二つ用意されていて、天蓋付きの方をザンザスさんは譲ってくれた。ベッドは、スタンドライトを挟んで横に二つ並んでいるので、内側を向くとザンザスさんの寝顔がよく見えた。(ただ、見過ぎていると察しの良い彼は視線で目を覚ますため要注意である。寝起きはとてもご機嫌ノット麗しい。のだ) 広過ぎるベッドで落ち着かず、寝返りを打って3度目に鬱陶しいと怒られた。それからはじっと固まっていて、気が付いたら夜が明けていた。あ、寝たよ。ちゃんと。 「ザンザスさん、おは……」 「……あ?」 「ぼんじょーるの!!」 「……朝からるせぇ」 起きる気はあまりないらしい。私は夜のうちに届いた私物ケースを開けて鏡とクシを取り出すと、学校へ行く準備を始めることにした。ザンザスさんはまだ起きたくはないようだけど、気にせずカーテンを開け放つ。 「うわあー!!いい天気!そして地上が遠い!」 「……」 「ザンザスさん、朝ごはんは何がいいですか?」 振り返って尋ねると、ベッドがこんもりと山になっていた。ザンザスさんめ…あくまで籠城を決め込むつもりか。 私は呆れて溜息を吐いた。 「もう……お天気のいい日は早起きして、お散歩に行くのもいいんじゃないですか?」 「……今何時だ」 「六時半ですけど。」 「かす…」 極論。ザンザスさんは朝が苦手っぽい。 ×
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