「分かりました」業者さん達を送り出した私は目を伏せ、溜息を吐いてそう言った。ザンザスさん達が意志を変えてくれないだろうことは目に見えているので粘っても無駄だろう。 「スクアーロさんとベルはお母さんたちの部屋を使ってください。掃除しときます」 「悪ぃな。手伝うぜぇ」 「あ、ありがとうございます」 スクアーロさん、あなたってやっぱりいい人だ。 少なくともテレビを見つつ後ろ手に返事するベルや、風呂上りのコーヒー牛乳(私が買ってきたやつ)を飲み干しているザンザスさんなんかよりはよっぽど常識人。 「部屋はどこだぁ」 「こっちです」 「…待て、ドカス」 「?」 「俺も行く」 そう言って腰を上げたザンザスさん。まさか手伝ってくれるなんて…。私の中でザンザスさんの印象が少し好転した。「んじゃ王子もー」と便乗したベルのイメージもついでにアップさせておく。 ゾロゾロと後に続く3人に、この機に家の説明をすることにした。 「リビングにあるこの階段で上に行けます。手前の扉はトイレ、奥が脱衣所とお風呂です」 「しししっ!王子風呂とか初なんだけど」 「あ…やっぱり今日沸かそうか?」 「いいよ。楽しみは取っとく派だから」 「上はどうなってんだぁ?吹き抜けだろぉ」 「はい」 二階に上るとさっきまでいたリビングが見下ろせる。一軒家を買う時にお母さんがどうしてもとお願いしたらしい。お父さんがデレッとした顔でよく言っていた。 ザンザスさんが屋根を突き破ってリビングに落ちてきたのはこの吹き抜けが原因だ。や、原因はザンザスさんだけど。天井はなぜか元通り修復されている。あんまり深く考えない事にした。 2階に並んでいる部屋はL字に4つ。 「手前から、私、ウクレレルーム、お母さんお父さん…だから」 「なまえ、XANXUS、俺、ベルだな」 「はぁ?何で俺が端なんだよ」 「う゛ぉお゛い!!文句言うんじゃねぇ!」 「煩ぇドカス」 「何でもいいから喧嘩しないでくださーい!!」 寝るとこで喧嘩するとか小学生ですか! (お父さんの部屋、眺めいいですよ) (じゃーいいや) ×
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