時計の針がかちりと4時を指す。私は読んでいた雑誌をソファの傍に放って立ち上がった。そろそろご飯を作ろうかな。タラコを買ってきたからタラコパスタにしよう。食べ終わったら課題をやろう。
――しかし、それは突然訪れた。


轟音を立てて、家が揺れた。飛び上がった私は地震の恐怖におびえ壁際に寄ったが、それっきり家は静寂を取り戻す。しかし部屋中に蔓延する埃と煙が只事ではない事を確かに物語っていた。
へたりと腰を抜かした私は、恐る恐る上を向いた。夕焼けに染まりかけた空は買い物に行った時より赤みを帯びていた。きれいだなぁ。でも、何で空が見えるんだろう。

「おい」


耳朶を揺るがす声。煙の中から突き出されたのは、映画や漫画で良く目にする黒塗りの拳銃。私は一気に竦み上がった。

「聞こえねぇのか」

視界が徐々にクリアになってくると、この部屋に自分以外の人間がいることが明らかになった。それは間違えようもなく私の「平穏」を脅かす異邦人で、赤い二つの双眸は射殺さんばかりに殺気を放っている。

ああ、お母さんお父さん。きっと私、あなた達の留守に殺されます。

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