声が詰まって返事が返せなかった。ザンザスさんは私を呼びかけたきり、何も言わない。「……。」
十分な間を置いて、私はやっと口を開いた。

「……起きてます」

「そんな事は聞いてねぇ」

「…泣いてません」

「嘘吐いてんじゃねぇ」

「、……何ですか?」

私の問いかけに返事は帰ってこなかった。
私は枕に顔を押し付けているからザンザスさんの姿は見えない。ザンザスさんもそれは同じだろう。
寝返りを打ってみれば、白い天井が目に映った。それはかなりぼやけて見えた。


「……ザンザスさん」

「…」

「そっちへ行ってはだめですか」

我ながら馬鹿らしい提案だと思う。添い寝を強要するなんてまるで子供だ。そしてそんな子守りを、彼が好む筈が無い。
分かっているのに尋ねてしまったのは、つまり馬鹿の証である。

「…」

やはり返答は返ってこない。
――甘えるな。
そう言われているのだ。

(しょうがない、一人で寝よう)

好きにしろ、
ザンザスさんの呟きが聞こえたのは、私が瞼を落とした丁度その時であった。

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