「テメェ等!面倒事俺に押し付けてさっさと帰りやがって!!3枚におろ、グッハァ」 「うぜぇ」 「!!」 銀色の髪を振り乱して怒鳴り散らす男の人は、狂気的なスピードで飛ばされてきたリモコンを顔面で受け止め、床でゴロゴロ悶え回っていた。声のでかさにビビっていた私だったが、今はやっぱりあの男の人が怖すぎる。 私が家に強制連行されてからの恐怖のベクトルをまとめてみると「男の人→ベル→男の人→声大きい人→男の人」こんなかんじだ。 「う"お"ぉ"い!!テメェいきなり何しやが…」 「ひぎゃあ」 「…あ"?」 「うぇ、こん、こんにちは!あ、こんばんは!ひぐっ」 「…」 「…」 「…」 がっ。銀髪の人は頭からだらだら血をたらしながら(せいぜいたんこぶかと思った。どんだけ力いっぱい投げたんだろう)私の胸ぐらを掴む。私はヒッと情けなく悲鳴を上げた。 端正な顔が目の前に迫り、唇の脇に柔らかな何かが押し当てられた。……っ!! 悲鳴を上げるよりも先に銀髪の人が目の前から消えた。と思ったらすごい音がして壁際に吹っ飛ばされていた。もちろん私じゃない、銀髪の人だ。 「ドカスが……!ここで消してやる!」 「うしし!!マジかよ先輩」 「ま、待てぇ…今のは不可抗力だ!…っう"お"ぉ"い!ホントに撃ってきてんじゃねぇ!!」 「殺す」 「や、やめてくださいぃい」 銃を構えて今にも発砲しようとしている男の人の腕に縋りついて必死に止める。これ以上うちに穴を開けられては困る。チューならあなたもしたでしょうが!とは言えないけど、でもとりあえずこれ以上怖いのはごめんなのだった。 「あの、あの、もう…やめて」 「…チッ」 私の必死の頼みは、どうやら受け入れられたようだった。 ×
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