「ボス、なまえ、入るぜぇ」 ピッとドアのロックが外れてスクアーロさんが現れた。その後ろにはバスローブ姿のベルが寝癖でボサボサの頭をかいて立っている。 「てめぇ等カスにやる飯はねェ。出て行け」 「ちょっ、ザンザスさん!?」 「…、っぼ」 スクアーロさんが目を見開いて絶句しているのは、ザンザスさんが常人とは思えないスピードで生クリームをホイップしているからか、はたまたその行為そのものにか、ちょっと分かり兼ねた。が、彼は特に言葉を発することなく私に向き直った。 「……」 「(何だかすごいショックをうけてるみたいだ)……お早うございます、スクアーロさん。ベルも」 「お、おう……よく眠れたかぁ?」 「おかげさまで!」 「なあなまえ、ボスなんでクリーム混ぜてんの…?なんかの儀式?」 やっぱり気になるところはそこらしい。 「私がお願いしたんです。手伝ってくれますか、って」 ザンザスさんもまさかそんな頼み事をされるとは思わなかったらしく、凄く呆然としていたが(ほんとに。思わず謝り倒してしまった程)なんと本当に手伝ってくれた。 「何ですかそのスピード」という問いかけには「ヴァリアークオリティだ」といまいち納得のいかない返答を頂いた。 「これで文句あるか」 「うわあ、すごい!ミキサーでやったみたい」 きっとひっくりかえしても零れないだろう弾力が見て取れるクリームはとっても美味しそうだ。 「ザンザスさん、グラツィエ」 スクアーロさんに少しだけ感心されたような顔をした。 自分でもマシな発音になって来たなと思う。 「パンケーキ焼いたので食べましょう。クリームとジャムはお好みで」 「王子ブルーベリー」 「コーヒーはねぇのかぁ?」 「我が儘言うんじゃねぇドカス」 あ、スクアーロさんがまた絶句してる。 ×
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