会議が始まって、直ぐに決められたのは私の一時的な避難場所だった。
家は厳重調査が始まっていて入れないし、この本部からでは学校が遠すぎる。(送迎をさせればいいとベルが提案したが、さすがにそこまでさせたくはないと私が拒否した。目立ちすぎるのも返って悪いみたいだし…。)
結果的に、学校に近いマンションの一室を借りてしばらく暮らす事になった。



「なまえの居場所はここにいる人間以外に知られてはいかん。部屋を出る時は、なまえと悟られんように変装してもらうことになるが…」

「は…はい。がんばります」

「人員はどう割きましょうか」

誰かの言葉に、え、と私は固まった。
ちらりとザンザスさんを見れば、寝ているのか、ただ目をつむっているだけなのか、表情に変化はない。


「私は正直、ヴァリアーに任せるのは得策とは思えませんな」

誰かがそう言うと、それに続く声が上がった。
困惑する私の横で立ち上がったスクアーロさんが、身の毛もよだつようなひっくい声で「どういう意味だぁ?」と辺りを威圧し始めた為、場の空気が一瞬で悪くなる。今まで爪を弄っていたベルの手が、今度はテーブルの下でナイフを弄り始めたのを見た時は、背筋が凍った。
つまり、一触即発。


「そ、っそもそも我々は、この件をがずっとヴァリアー預かりだった事にも疑問を覚えているのです」

「そうです、九代目。…このようなデリケートな問題は、彼らには些か荷が重すぎると」

「う゛ぉお゛ぉい!!好き勝手言ってんじゃねぇぞカス共よぉ!」

「しっししし…王子バカにすっとか自殺願望者かよ」

ちょ、ちょっとスクアーロさん!あなたさっき、ここにいるのは全員味方だぜ!みたいなこと言ってたじゃない!何率先して喧嘩し始めてるの!?ベルも!ナイフが袖からこんにちはしてるよ!?
あわあわと慌てる私とは反対に、落ち着いて両者を宥めるティモッテオさん。


「この件をヴァリアーに預けているのは、私の意志ではない。―――ボンゴレT代目の意志だ」

ティモッテオさんの言葉に、辺りがざわつきはじめる。
プリーモ…?
それって、一体…?


「だが、その話は今ここでするべき話ではない。時が来ればいずれ、なまえも知る事になるだろう」

「…」

「そして今考えるべきことは一つ。そして、それを決めるのはなまえだ。」

「え…!!」

ティモッテオさんは、円形テーブルの向こう側から、じっと私を見つめて言った。

「なまえ。今、君が一番、傍に居て安心できる相手を教えてくれないかい…?」

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