は？
044．２０日目『夜の時間』
――――PM21:10、リビングルーム
「…………用心棒の人」
（リビングルームに戻る途中、
白百合がそう言ってみんなに呼び掛けた）
「…………もし、生きてたらだけど、
今晩はあたしを守って。
…………果帆を、占うから。
…………これできっと、なにもかもはっきりするわ」
「…………いい加減にしろよ」
「……………………」
「…………お前が人狼だろ？
…………お前が殺したんだよ、七瀬も、みんなも」
「……あたしは占い師だわ」
「あたしにはわかってんだよ！
あんたがっ、人狼だって……！」
「……いい加減にして」
（……小田切はそう言って果帆と白百合の間に割って入った）
「…………間宮さんが人狼だよ？
もう、答えは出たんだ。
明日、君を処刑して、それで終わりだ」
「っっ…………！
空太……！」
「っ…………」
「……頼むよ。なんとか言ってくれ……」
「っっ………………。
…………………………」
「……………………くそ！」
「果帆！」
（果帆は、走り去ってしまった。
…………果帆と白百合は、あんなに仲が良かったのに。
親友同士が争わなきゃいけない。
……俺と果帆のように、恋人同士も。
…………なんでこんなことになっちゃったんだろうな。
ついこの間までは、みんなであんなに笑い合っていたのに。
誰も信用できない。誰を信じれば良いのかわからない。
……こんな風に、友情や愛情って壊れていくんだ……）
「……美海、平気か？」
「……平気。ありがとう」
「……無理しちゃダメだよ、白百合さん」
「うん…………」
「………………ねえ」
「…………佐倉？ どうしたの？」
「…………あたしの意見を述べてもいい？」
「……？」
「……なあに、小桃ちゃん」
「…………さっきは和華に投票したけど、
……白百合さんと小田切くんも、怪しいのよね。
…………それに、本堂くんも」
「え……？」
「…………佐倉さんから見たら、そうだろうね。
でも、俺が村人だってことは明日、証明してみせるよ」
「そうじゃなくて…………。
さっきから、小田切くんは白百合さんを庇いすぎてるわ。
……それは、和華と間宮さんにも言えたことだけど、ね」
「…………そう言うことね」
「あの、…………なんで俺も？」
「真っ先に白百合さんから村人認定されてるから」
「……………………」
（……そうだった。
だからこそ俺は、白百合を信用してるんだから）
「……もう遅い。
…………この話は明日にしないか？」
「そうだね。
寝る準備を済ませて、１１時には部屋に戻らなきゃ」
「……もう人数も減ったから、そんなに急がなくてもいいと思うけど」
「それは…………そうだけど」
「白百合さん…………なんであんなこと言ったの？」
「え……？」
「あたしを……守ってくれって」
「……あたしが生きてれば、果帆が人狼なのかどうなのかわかる。
…………占い師って、それくらい人狼にとっても消したい存在じゃないかしら？
でも、…………用心棒はもういないかもしれない。
明日殺されてるのは…………あたしかもね」
「…………くそ！」
「…………直斗？」
「なんで、……なんで俺が霊媒師なんだ……。
俺が用心棒だったら、美海を守ることができたのに……」
「…………直斗くん」
「…………アキラと朔也が死んだ今、
美海を守るのは俺の役目だ…………。
…………本当に果帆が人狼なのか？
……なら、…………俺を狙ってくれればいいんだ」
「直斗くん……」
「…………果帆になら殺されても構わない」
「……どういう、意味……？」
「どうしてそう言うこと言うのっ？」
「…………もう疲れたんだよ。勝平の気持ちがわかる。
…………こんなクソゲーム、もう、懲り懲りだ……」
「だからって……殺されてもいいとか、
いつ死んでもいいみたいなこと言わないで。
…………明日で、終わるから。全部、全部」
「…………悪い。
…………適当に、風呂、入るわ」
「…………そうだね。そうしよう」
（こうして、解散になった。
１０時半頃にお風呂から上がると、ちょうど、果帆と出会した。
…………けど、果帆も俺も、すぐに目をそらして相手を通りすぎた。
俺は部屋に戻った。
…………残りは、６人になった。
…………もしかしたら、今日殺されるのは俺かも知れないんだ。
むしろ、今まで生きてただけラッキーだったんじゃないかな。
……いや、果帆は言ってたっけ。村人と確定してるやつを殺したがるはずだって。
あれって…………まんま、果帆の言葉だったんじゃないかな？
そんなことを考えながら、俺は眠りに落ちた…………。）
