037.18日目『18回目の投票』


 ――――PM20:45、会議室



全員
「……………………」


冬司
「…………いっせーの、」


全員
「…………」


冬司
「っせ!」


全員
「……………………」


空太
(…………結果は、こうだった。

 和歌野に、勝平と竜崎と、白百合と果帆、佐倉。
 白百合に、和歌野。
 勝平に、小田切と七瀬。
 七瀬に、直斗と朔也と、俺。
 果帆には、………投票はなかった。

 5票集めて、…………和歌野が処刑されることになった。
 嫌悪感を剥き出しにしていた4人と、佐倉によって)
美海
「…………どうしても許せなかったの。
 よりにもよって花菜を、裏切ったことが」
果帆
「……あたしも同じだ。
 誰よりも近くでお前たちを見てきて。
 そんなあんたが、……花菜を裏切るところなんて見たくなかった!」
勝平
「……………………」
圭吾
「…………親友を裏切るのは許せない」

「………………どうして」
小桃
「…………………………」
空太
「……佐倉…………?」
小桃
「…………もし、白百合さんが裏切り者で、あなたが人狼だったらって。
 そう……思ったのよ」

「…………………………」
冬司
「…………………………」
直斗
「………………どういうことだ?」
小桃
「…………和歌野さんが『村人』だって、白百合さんが嘘を言っているとしたら?
 もう……なにが真実かなんてわからないけど、
 でも、本当に和歌野さんが『裏切り者』なら、正直に白状するとも……思えない。
 それってつまり……和歌野さんは人狼なのに、処刑を免れるために裏切り者を騙ったんじゃないかって、
 ……その可能性もあるんじゃないかって、そう、思ったの」
美海
「………………」
冬司
「…………なるほどね。
 確かに、白百合さんを否定したら、その可能性もあるね」

「…………………………」
勝平
「…………………………」
圭吾
「…………難しいことはよくわかんねえけどよ、
 どっちにしろ、生かしておく理由はない、ってことだよな、
 ……人狼なら、なおさら」
冬司
「…………そうだね」

「…………………………」
朔也
「…………………………」

「…………………………」
冬司
「…………明日、直斗が生きていれば、
 ……どの道それも、はっきりするね」
直斗
「………………そう、だな」

「…………………………」
空太
(和歌野はがっくりと項垂れた。
 ……すこしすると、体がぶるぶると震えてきた。
 …………そして)

「…………くす、くすくすくすくす、
 ふふふふふふふふふ、ふふふふ、ふふふふふふふふふふふふふ、
 ふふふふはははははは、あっはははははははははははははははははははははは!!」
空太
(…………和歌野は、天を見上げて大声で笑った。
 ……笑いながら、涙を流していた)

「あっはははははははははははは、あーっはははははははははははははははははははは!!
 ああ! おっかしい!! あははははははは!

 バカばっかり!!!」
圭吾
「っ!!」
美海
「……!!!」

「わたしが人狼かもしれないですって!? そんなわけないわ!
 ねえ、わたしを殺したってなんの意味もないのよ!
 3人の人狼が判明したんじゃない!
 なのに、よりにもよってわたしに投票するなんて!
 バッッッカじゃないの! 貴重な1日無駄にしたのよ!?
 バカばっかり、本っ当にバカ! バカ、バカ!!
 あっはははははははははははははははははははは!!」
冬司
「…………結果は出たよ。
 …………準備しよう」
直斗
「…………ああ」
果帆
「っ、スタンバトン、あたしに貸せ!!」
冬司
「っ!」
空太
(果帆は小田切からスタンバトンを取り上げた。
 そして、笑い転げる和歌野にゆっくりと近付いて行った)

「……なあに? 果帆がわたしを殺すの?」
果帆
「……あたしがあんたに票を入れたんだ。
 …………その責任は取る」
美海
「っ! 果帆!」
空太
(……白百合が背後から和歌野を羽交い締めにする。
 和歌野は一瞬驚いた顔をしたが、……やはり、大声で笑っていた)

「今度は美海? あっはははははははははは!
 あなたたちだって、やってることはわたしと同じじゃない!」
果帆
「うるさい! 黙れ!」
美海
「サキちゃん!!」
果帆
「美海! 離れろ! 一緒に感電する!」
美海
「いいからこのままやって!」

「ねえ、果帆? あなた人狼なんでしょ?
 いいの? わたしは本当に裏切り者だし、あなたたちの味方なのよ?
 本当にそれでいいの?」
果帆
「あたしは人狼じゃない!
 っ…………勝平! 朔也! 美海をサキから離せ!」
美海
「いいからこのままやって!
 って、朔也! 勝平くん!」
朔也
「お前が一緒に感電する意味ないだろ!」
勝平
「白百合はすっこんでろ!」
空太
(果帆の言葉通り、朔也は白百合を和歌野から力付くで引き離した。
 解放された和歌野は、笑い泣きだかなんだかわからない涙を流しながら、大笑いで逃げ出した。
 …………果帆がその後を追い掛ける……)
果帆
「サキ……!」

「あっはははははははははは!
 あーっはははははははははははははは!」
勝平
「間宮! どけ!」
果帆
「……っっ!」
空太
(…………勝平が、道具箱から日本刀を持ち出していた。
 刀を抜いて、和歌野を追い掛ける果帆をさっと通り過ぎて行った)
勝平
「和歌野ぉおおおおおおおおお!!」

「あっはははははははははは!
 近付かないでよ人殺し! 人殺しぃ!!
 あなたも人狼なんでしょ!?
 その刀でわたしを殺すんでしょ!?
 この人殺し!」
果帆
「サキ!」
圭吾
「和歌野!」
空太
(結局、躊躇っている勝平を差し置いて、
 果帆と竜崎が和歌野を羽交い締めにした。
 大声で笑っていた和歌野は、それで、途端に絶叫をあげた)

「いやああああああああああああああああああああああああああああああああ!
 助けて花菜あああああ! 花菜あああああああああ!!」
圭吾
「その小日向を殺したのはお前だろーが!」
果帆
「サキ! あたしはあんたを絶対に許さない!」

「いやあああああああ!
 花菜ぁあああ! 花菜あああああ!」
圭吾
「勝平! 早くやれ!」
勝平
「う、……うおおおおおおおおおおおおおお!!」

「っっっ!! ぐっ……かはっ、ぁ…………ぁあ…………、
 …………………………………………」
空太
(…………勝平が刀を振り落とした一撃で、和歌野は絶命した……)



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