032.17日目『17回目の会議』


 ――――PM20:00、会議室
空太
「……………………」
(カチカチカチ、と、時を刻む音が聞こえる。
 和歌野と小日向以外が揃った会議室。
 …………扉が開いて、小日向が入ってきた)
花菜
「……サキ、そろそろ来ると思うから」
美海
「うん……」
果帆
「……………………」
冬司
「…………先に情報を整理しない?」
直斗
「……サキちゃんが揃ってからの方がいいだろ」
冬司
「でも、いつになるかわからないし」
勝平
「……俺は小田切の意見に賛成だけどな」
小桃
「…………そうね。
 あたしもそう思うわ」
直斗
「…………多勢に無勢、かよ」
空太
(そんなやり取りをしているところに、扉を開けて和歌野が入ってきた)

「…………遅れてごめんなさい」
花菜
「サキ……!」
直斗
「サキちゃん……、動いて平気?」

「……平気じゃないけど、
 閉じこもってるわけにいかないでしょ、話し合いをしなくちゃならないんだから」
冬司
「…………揃ったね。
 それじゃあ改めて、まず、状況を整理しない?」
朔也
「ああ」
空太
(……小田切を中心として、状況整理が始まった。

 現時点で役職が確定しているのは、朔也の『共有者』、直斗の『霊媒師』。
 この二人は確実に村人だから、嘘を吐く理由がこれっぽっちもない。
 …………間違っても投票はされない。
 …………同じ理由で、竜崎も村人確定だ。人狼の襲撃から守られているからだ。

 ……他は、不明。
 だけど、『占い師』を名乗っている白百合と和歌野はまた別だ。
 …………どっちかは、確実に嘘を吐いているんだから。
 当然、そのことに関して言及されることになった。
 でも…………みんなの意見では、白百合に分があるようだ。
 理由としては、話が具体的だったから。且つ、和歌野は終始白百合に乗っかる形になっていたからだ)
冬司
「ところで。
 白百合さんと和歌野さんにお願いがあるんだけど」
美海
「…………うん」

「…………なにかしら?」
冬司
「……俺ね、昨日、ゲームを楽しんでるって、
 用心棒か人狼じゃないかって、ちょっと、言われたのね。
 …………だからさ、今晩は俺を占ってほしいんだ」
美海
「……あたしは、いいけれど…………、
 みんなはそれでいいの?」
勝平
「……………………」
直斗
「…………それを言ったのは俺と勝平だからな。
 反対なんかできねえよ」
勝平
「…………そうだな」
冬司
「ありがとう。
 …………女の子たちも、それでお願いしてもいいかな?」
小桃
「…………少しずるい気はするけど、あたしは、構わないわ」
和華
「……わたしも、構わないわ」
果帆
「……ずるいなとは思うけど、そう言う事情があるなら、いいよ」
花菜
「………………うん」
冬司
「……ありがとう、みんな。
 それで…………白百合さん、和歌野さん、
 …………昨晩は、誰を占ったの?」

「……………………」
美海
「…………あたしは……サキちゃんを占ったわ。
 理由は、占い師だと嘘を付いてるから。ひょっとしたら、人狼かもしれないって。

 ……………………。

 ……でも、サキちゃんは村人だった。
 …………どういうこと? どうして嘘を付くの?」

「嘘を付いているのは美海でしょ?
 私が本物の占い師だもの」
冬司
「……………………」
朔也
「……………………」
和華
「……………………」
美海
「……ねえ、サキちゃん、本当のことを言ってほしいの。
 あたし考えたんだけど、サキちゃん…………『裏切り者』じゃないの?」
花菜
「えっ!?」
果帆
「…………なるほど、村人なのにサキが嘘を吐いているとしたら、
 裏切り者以外、考えられないんだな」
美海
「……あたしは詳しくないからわからないけど、
 …………小田切くん、どう思う?」
冬司
「…………白百合さんが本物の占い師だとして、本当にそう言う結果が出たんだとしたら、
 …………和歌野さんは裏切り者ってことになるね。
 ただの村人がそんな嘘を吐く理由がない」

「ちょっと待って。嘘を吐いてるのは美海の方なのよ?
 どうしてわたしが裏切り者ってことになってるのよ」
朔也
「…………可能性の話だ」
圭吾
「…………でも、おかしいよな。
 和歌野はさ、白百合が一方的に嘘を吐いてるって主張してるだけで、具体的な話がなにも出てないだろ?
 なのに、…………信じろって方が」

「信じて。お願い」
花菜
「う、うちはサキを信じるよ!
 ……美海だって、昨日サキも言ってたけど、話が出来すぎてるって言うか」
圭吾
「そーゆーのをさ、難癖ってゆーんだよな」
花菜
「そ、そんな言い方しなくても」
小桃
「…………あの……」
和華
「……どうしたの、小桃」
小桃
「…………和歌野さんの占い結果、まだ聞いてないわ。
 議論はそれからでもいいんじゃないかしら」
朔也
「……そうだったな」
花菜
「…………サキ。サキは昨晩、誰を占ったの?」


全員
「……………………」



「……………………わたしは……」

「わたしは、…………花菜よ、花菜を占ったわ」
花菜
「え?」

「………………人狼だった」
花菜
「………………え?」
果帆
「か、花菜が…………?」
朔也
「……本当なのか?」
美海
「……………………」
花菜
「え? ――――え?
 サキ、なにを言って」

「…………ごめんね、花菜。
 でもわたし決めたの、生きて帰るって。
 ……あんな家だけどね」


全員
「……………………」



「もう一度言うわ。花菜が、人狼だった」
美海
「――――サキちゃん!」
冬司
「白百合さん!」
美海
「――――――っ!」
勝平
「……………………」
美海
「どうして……そんな嘘を言うの?
 サキちゃん、占い師じゃないじゃない。
 なのに、どうして花菜を貶めるような嘘を吐くの?」

「じゃあ聞くけど、……美海は花菜を占ったの?
 結果はどうだった?」
美海
「っ…………!」

「なぜ嘘と思うの?
 ……美海にとってはわたしは偽物でしょうけど、わたしにとっては美海がそうだわ。
 そしてみんなには、……どっちが本物かなんてわからない」


全員
「……………………」



「そうでしょう?」
朔也
「………………」
果帆
「……………………」
花菜
「……ち、違うっ! 違う!!
 うちは村人だよ! 人狼じゃない!」
冬司
「………………証明できるものは?」
花菜
「…………え?」
冬司
「例えば、もうひとりの『共有者』だとか、……『用心棒』だとか」
花菜
「な、ないよ、そんなの。
 ……だってうち、…………ただの村人だもんっ!」
圭吾
「……………………」
花菜
「サキ……なんで、なんで…………、
 うち……サキになんかした?
 え、なんで………………あ、サキが人狼なの……?
 だから、二人で生き残れないから……だから…………、
 ……あ、れ……でも、美海がサキは村人って…………え、あ、れ……」

「…………ごめんね、花菜」
和華
「……………………」

「…………花菜が、人狼よ」



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