026.16日目『朝の時間』


 ――――16日目

 ――――AM06:00、会議室

人狼は襲撃に成功しました。

昨晩の犠牲者は八木沼由絵さんでした。







 ――――AM07:45、由絵の部屋
空太
「………………」
果帆
「………………」
空太
「……………………」
(…………八木沼は、死んでいた。
 …………首を絞められて、殺されていた)
勝平
「……………………」
空太
(勝平は、呆然とベッドに横たえられた八木沼を眺めていた。
 白百合に続いて…………勝平も、愛する恋人を失ったんだ。しかも、3年の付き合いだと言う。
 …………喪失感が大きいんだろう。勝平はぼうっと宙を眺めた。
 …………八木沼の死に顔は、とても綺麗だとは言えなかった)
結翔
「…………勝平」
勝平
「……………………」
空太
(…………勝平は、無言で八木沼の部屋を出て行った)
惣子郎
「…………俺たちも、ここから戻ろう」
和華
「…………ええ。
 …………八木沼さん、辛かったね。
 …………ゆっくり、おやすみなさい」





 ――――AM11:00、果帆の部屋
空太
(ここへ来て、16日目になった。
 俺と果帆は、互いに無言で天井を見つめていた。
 …………鬱状態なのは、こんなことがあったんだから、仕方ない。
 勝平は恋人を失った。…………果帆は幼馴染みを失った。
 声をかけてやるべきだろう。慰めてやるべきだろう…………。
 …………でも、なにも言葉は出てこなかった)
果帆
「…………空太」
空太
「…………うん?」
果帆
「…………用心棒が裏切った。これで証明させた。
 …………今日は、間違いなく誰かが処刑される……」
空太
「……………………」
(考えたくないや、そんなこと)
果帆
「………………空太」
空太
「うん…………?」
果帆
「……………………お前、『村人』だよな?」
空太
「………………」
果帆
「………………」
空太
「…………そうだよ。
 俺は、村人だよ」
(なんのへんてつもない、……なんの役にも立たない、ただの村人だよ)
果帆
「…………あたしは、あんたと美海のことだけは、……信じてるから」
空太
「…………うん」
(俺も。果帆を信じよう。
 村人として、…………一緒に、ここを出るんだ)
果帆
「…………空太」
空太
「…………うん」
果帆
「…………人狼を探そう」
空太
「………………うん」
(助けは、来ない。
 …………もう、それしか方法はないんだ……)



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