001.1日目『目覚め』


 高校二年の10月。目覚めたら元クラスメイトたちがいた。俺たちは放課後、拉致された。



宍銀学園高等学校の皆さんがゲームに参加しました。



 ――――AM11:00、会議室
空太
「…………………………」

――――く……た……。

(誰かに呼ばれてる声がする)

「…………………………」

――――い……おき……、……たっ!

(なんだ? なんだか体調が悪いんだ……。
 ………………母さん?
 いや、ちょっと勘弁、もう少し寝かせて……)

「…………………………」

――――……た、く……た、

(母さん……うるさいって、静かにしてよ)

――――く……たっ……!

(あれ、ちょっと待って。
 この声ってどう考えても母さんじゃ――)
果帆
「くうたあああああ!!!」
空太
「うわあーーー!!?」
果帆
「起きろっつーの! あ、起きたかよ」
空太
(…………間宮果帆。
 付き合って一年になる俺の彼女だ)

「っつぅ、ちょっとどうしたんだよ、大声出して。
 てか今耳キーンてしたから、耳キーンて」

(母さんと勘違いした俺も俺もだけどね)
果帆
「…………………………」
空太
「っ、てぇ……つーか、なんか頭いてーんだけど……」
果帆
「………………たんこぶ出来てる」
空太
「え、マジ?
 …………て、ゆーか。

 なにこれ? なんでみんな寝てんの……」
果帆
「知らないけど、あたしが一番最初に目覚めたみたい。
 ……起こさなきゃな」
空太
「え、ちょ――、…………っ!」
(なんかよくわかんないけど、これは……普通じゃない)

「いや、うん! そうだね、起こそう!」
果帆
「美海、……美海、……美海……」
空太
(果帆は白百合たちか。じゃあ俺はあっちを)
美海
「――!! あ、か、果帆……
 っ、首が痛い……っ」
果帆
「大丈夫?」
美海
「うん、ありがと……」
果帆
「たぶんスタンガンでやられたんだ」
美海
「え? スタンガンって、いったい……」
果帆
「ごめん、話は後。みんな起こして」
美海
「え?

 ――――――!!

 え? え?
 あ、アキラ! 朔也!」

「っ、……美海?」
朔也
「………………?」

「……なんだ、この状況」
空太
(筒井……よだれ垂らして寝てる……。
 もう! 一番しっかりしてほしい奴がぐーすか寝てんなって!)

「つ、つ、い! 生、徒、会、長! 起、き、て!
 ほら! お、前、ら、も!」
惣子郎
「…………ん?」
冬司
「…………え?」
結翔
「…………あ?」
圭吾
「…………ふぁ?」
結翔
「ってぇ、背中いてぇ」
圭吾
「俺は頭なんですけど……頭もげてない?」
冬司
「もげてないみたいだよ」
空太
(こんなときにこいつらは相変わらずだな)
惣子郎
「待て、……おかしいぞ、この状況」
空太
「ごめん、俺も起きたばかりで、全然……」
(俺に目で訴えられても……)
果帆
「……由絵、……勝平」
由絵
「ふえ〜? あ〜果帆、おはよ〜」
勝平
「いてて……はあ? どこだ、ここは」
美海
「花菜! サキちゃん! 起きて!」
朔也
「直斗、おい」
直斗
「んぁ? っ……つぅ」

「大丈夫か?」
直斗
「あ、ああ……」
花菜
「美海……?
 え、な……、――――っ!

 サ、サキ!」

「……花菜? いったい、どうしたと言うの?」
花菜
「よ、良かった……サキ……」

「………………?

 っ――――――!」
惣子郎
「七瀬、佐倉」
小桃
「………………?」
和華
「筒井くん…………?
 わ、たし……お買い物してて……それで……」
小桃
「…………あ…………、

 …………みんな……どうしたの?」

「これで、全員か」
朔也
「ああ、そうみたいだな」
空太
(みんな、元クラスメイトだ。三年間同じ教室で過ごした、仲間だ)

(まず、俺、本堂 空太ほんどうくうた
 16歳、高2。あと3日もすれば17歳になる。
 人にはのんびりしてるやら、ほんわかしてるやら言われるけど、自分で言うのもなんだが割と毒舌な方だ。
 それなりに人付き合いは上手い方だと思う。こんなキャラだからか、いじられることが多い。
 けど、とにかくなんの特徴もない、平凡な男だ。

 そして、果帆。間宮 果帆まみやかほ
 同じく高校二年生の17歳。
 取っ付きにくい感じの、スレンダーな美人で、俺の彼女だ。
 なんでこんな凡人の俺とってくらい綺麗な女の子だが、男勝りで口が悪い。
 でも、本当は不器用で優しい女の子だ。所謂ツンデレ。そんなところが結構可愛かったりする。
 一年くらい前に果帆の方から告白されて、付き合うことになった。
 中等部時代から仲は良かったが、綺麗すぎて俺なんか相手にしないだろうと思ってて、恋愛対象としては見てなかった。
 今は、とても大切な存在だ。

 そして、白百合 美海しらゆりみみ
 校内一とも言われるくらいの可愛らしい、正統派美人で、学園のマドンナ的存在。
 明るくて可愛い、親切で優しい、美人でスタイル抜群、なのに気取らない性格、と非の打ち所のない女の子で、果帆の親友。
 反面、どこか儚げな一面があって、数多くの男が彼女のためなら死ねるとほざいているのを俺は知っている。
 例えば、アキラや朔也、目黒なんかはその代表だ。
 白百合自身は、半年前くらいからアキラと付き合い始めた。
 今まで浮いた話がなかったので、果帆の彼氏としては、幸せになってほしいと思う。

 そして、道明寺 晶どうみょうじあきら
 白百合の彼氏で、ニヒルな笑顔が特徴のミステリアスなイケメン。
 中等部時代から女たらしとして有名人だが、白百合と付き合ってからはやめたようだ。
 むちゃくちゃ頭がいい。って自分でもよく言ってる曲者。
 好奇心旺盛で頭が切れるが、自信過剰で皮肉めいたところがある。
 ……でも不思議と、人に好かれるんだよな。俺もいいやつだと思ってるし。
 朔也や直斗とは自他共に認める親友同士だ。親友と同じ女の子を好きで、しかもその子と付き合うことになったってのも奇妙な話だけど、関係は変わらないみたい。

 その、朔也。乃木坂 朔也のぎざかさくや
 正統派イケメン。所謂ジャニーズ系ってやつ?
 王子様みたいだってことで、女子に絶大な人気がある。中等部時代からそうだ。クラスの女子はみんな朔也が好きだった。
 ここにいるメンバーだと、たぶん、佐倉がそうだったと思う。
 顔が良いだけじゃなくて、性格もいいんだからそりゃモテるに決まってる。穏やかで困っている人を放っておけない性分だ。
 アキラや直斗とは親友同士。昔からよくつるんでた。
 白百合のことが好きなんだなってのはなんとなくわかったけど、今はどうなんだろう。

 有栖川 直斗ありすがわなおと。高身長で笑うと糸のように目が細くなる。
 アキラや朔也が目立ちまくってるから隠れちゃってるけど、イケメン。地味なイケメンだ。
 朔也に輪をかけたようなお人好しの良いやつ。
 割と大人しい方だと思うけど、俺は一番接しやすいかな。なんか、気兼ねなく付き合える、一緒にいて楽なやつ。
 大らかで大雑把な感じだ。ぜってー直斗はO型だと思う。
 ちなみに名字で呼ぶとちょっと嫌がる。アリスって入ってるのが女みたいで恥ずかしいらしい。
 気にしなくていいのにな。

 小日向 花菜こひなたかな。170センチの俺より身長が高い、大柄な女の子。
 和歌野と今も昔もよくつるんでるし、果帆たちとも仲が良い。
 和歌野が小柄でいかにも女の子って感じなのに比べると、かなり中性的って言うか、少年っぽい。実際、和歌野とは宝塚コンビって呼ばれてたしもはや名物だった。
 小日向も小日向で、アキラから男子用の制服ズボン買い取ったりして、絶対スカートは履かないし、ちょっとそこは変わってる。
 でも、男みたいな言葉遣いはしないし、穏やかで朗かな感じの、感じの良い女の子だ。

 和歌野 岬わかのみさき。名前はミサキだけど、みんなからはサキって呼ばれてる。
 奥ゆかしい感じの、淑やかな女の子。正に清純派美人って感じ。
 果帆曰く、ちょっと病弱なところがあって、しょっちゅう胃腸炎を起こしてるらしい。確かに体育の授業とか、よく見学してたなと思う。
 半面、結構気が強くて、怒ると怖いところがある。
 中等部時代に小日向の服装の件で、クラスの風紀委員の女子と揉めたことがあって、なんか、最終的に引っ叩いたんだよな。
 意外と強い女の子。

 八木沼 由絵やぎぬまゆえ。果帆の幼なじみだ。
 おっとりしてて甘えん坊で、なんか、ほわんとした感じの女の子。ちょっと天然で、結構自由人。
 だけど、果帆曰く、言い出したら聞かないなど結構頑固な性格でもあるらしくて、果帆とも何度か衝突したことがあるみたいだ。
 要するに、芯が強い。
 勝平と中3の頃から付き合ってる。教室でもよくいちゃついてた。懐かしいな。

 千景 勝平ちかげしょうへい。喧嘩がめっちゃ強い、八木沼の彼氏。
 絵に描いたような、ってほどではないけどそこそこ名の知れた非行少年だ。
 でも俺は不良だとはあまり思ってない。厳つそうな顔立ちなのに結構整ってるから、なめられるって言うか、絡まれやすいんだと思う。
 でも勝平は独自でボクシングとか合気道とかなんかやってるらしくて、絡んできたやつらを容赦なくボッコボコにするからなんか不良として君臨しちゃった、みたいな感じ。
 実際、中等部時代につるんでた面々とかそっち系だったし。今もそっちとも仲良いみたい。
 あと、ストレートに物を言うから無神経とか喧嘩売ってるとか思われやすい。だから勝平のことよく知らない人は、暴君だと思ってあんまり近寄りたがらない。
 でも、勝平はそれでいいと思ってるみたいだ。こいつも結構世話好きって言うか、身近な人間放っておけないタイプだから、下手に情が沸くと忙しくて面倒なのかも。
 八木沼と付き合う前まではそれなりに女たらしだったらしい。今はフェミニストを地で行くような優しいやつ。

 小田切 冬司おだぎりとうじ。口調が優しい、穏やかで落ち着いたやつ。
 中等部時代から筒井、竜崎、目黒とよくつるんでた。共通点は運動部所属ってところかな。小田切は、確か剣道部だったと思う。
 いつもどこか小綺麗で、頭の回転が早い。知性的で理性的なやつだけど、結構冗談も通じるし、バカ話もできる。まあボケよりはツッコミ気質かな。
 男にしては小柄な方だけど、剣道は強いみたいだ。気配り上手だから、結構女子にもモテる。
 でも小田切の浮いた話って、まったく聞いたことないんだよなー。

 目黒 結翔めぐろゆいと。金髪。運動部所属のくせに。昔から変わらない。
 確か目黒も剣道部だったと思うけど、名ばかりで幽霊部員らしい。直向きになにかに打ち込むよりは、遊んでいたいタイプ。
 喜怒哀楽が激しくて直情的、めっちゃキレやすい。でも単純で素直。騙されやすくてそこは心配だけど、どこか憎めない感じ。
 白百合のことが昔から好きみたいだ。本当に色々わかりやすいやつ。

 竜崎 圭吾りゅうざきけいご。野球部所属のバカ。
 眩しい坊主頭。ちょっと伸びるとバリアートとか入れちゃうお茶目なやつ。
 いつもなんか笑ってる。にやけてると言うより、もっと爽快な感じで見てて気持ち良い。
 でもなんでも笑顔で乗り切ろうとしてるところがある。困ったときも笑ってる。
 性格は楽天的で豪快な感じ。
 真逆の性格のクソ真面目な筒井とは、どこかウマが合うらしくて、自他共に認める親友同士だ

 筒井 惣子郎つついそうしろう。同じく野球部次期主将で、生徒会長。
 絵に描いたような優等生。正義感が強くて、人望も厚い。
 クソ真面目で冗談が通じないところがたまにキズかな。
 細やかな気配りも上手で、周りをよく見てるし、ちょっと心配性。
 中等部時代も学級委員だったり、根っからのリーダー気質。ただ振り回されることも多くて、結構気疲れしてそう。
 意外とおバカな竜崎と気が合うみたいで、昔から仲が良い。親友と公言してる。
 いつの頃からか七瀬と付き合い始めた。お似合いのカップルだ。 

 七瀬 和華ななせのどか。筒井の彼女で、真面目な女の子。
 女子の相談によく乗ってるようだ。俺の勝手な見方だけど、影の女って感じ。裏から支える感じ?
 本当に困ったことはみんな彼女に相談する。
 読書家で、家庭的。確か、お母さんを亡くされてるんだ。それに、年の離れた兄弟が多いらしい。
 常に中立の立場にいて、公平的に物事を見てる。
 佐倉が中等部時代、ちょっとややこしい人間関係を抱えていたときも、たぶん七瀬は全力で調整してたんだろうな。
 筒井と一緒で、気疲れが多そう。

 最後に、佐倉 小桃さくらこもも。女の子らしい、普通の女の子。俺の元好きな女の子。
 控えめだけど、そこそこお茶目なところもある。そこが可愛いんだ。
 か弱そうだけど結構強かな性格で、そのギャップもまたいいんだよな。
 なんか、柔らかい雰囲気なのに、どこかミステリアスな空気が漂ってる感じ。
 芯が強くて、しっかりしてる。中等部時代、ややこしい人間関係のど真ん中にいて、結構大変だったと思うんだけど、めげなかったよなあ……かっこいい……。
 昔は朔也のことが好きだったと思うんだけど、今がどうかはわからない。
 彼氏とかできたのかな?)

(以上、俺の独断と偏見に満ちた紹介は終わり。
 全員、エスカレーター式の宍銀学園中等部から高等部に上がって、クラスはばらばらになった。
 なのに、なんでこのメンバーが集められてるんだ?)

惣子郎
「にぃしぃろぉ……、
 ………………、16人だな」

「ああ」
空太
(そんなにいるのか…………)
結翔
「てゆーか、どこだよ、ここ」
圭吾
「それな」
冬司
「なんか、古い洋館って感じだけどね。
 ここは……、目的としては会議室なのかな?
 窓は一切ないけど、ホワイトボードもあるし」

「特殊な作りだな。狭いが、構造は宴会場に近い。
 それにしては厳かと言うか、……気色の悪い部屋だな。
 見ろよ、この彫刻」
空太
「!!」
(うっわ、そんなものわざわざ見せなくていいのに)
由絵
「うわぁ〜気持ち悪〜い」

「悪魔みたいね」

「悪魔だろ」
果帆
「……なんだか、雰囲気満載って感じだな」
空太
「うん」
(確かになんか不気味だよね)
朔也
「それはこの状況の、ってこと?」
果帆
「ああ。どう考えたっておかしいだろ?
 なんで、こんなところに」
空太
(果帆が不安そうにしてる。どうしよう……。
 彼氏としては、なんか元気付けてあげなきゃ……。
 …………てゆーか、なに、あれ)
空太
「果帆っ」
果帆
「……なんだよ?」
空太
「首……首のところに」
果帆
「え? ……なんだ、これ……」
空太
「……絆創膏?」
果帆
「空太……お前もじゃん」
空太
「え……?」
直斗
「も、もしかして……」
朔也
「美海っ!」
美海
「朔也……朔也もだわ。
 …………アキラ……」

「ああ、俺にもついてるな」
勝平
「俺もだ」
由絵
「由絵も〜」
惣子郎
「みんなについてるのか……」
結翔
「なんかこれ痒くね?
 つーか、掻いてたら剥がれるんじゃねえかな…………いってぇっ!
 え? え? なんだよ、これ!!」
冬司
「どうしたの?」
結翔
「なんか引っ張ったらすげえいてーんだよ!」

「……触らない方がいいな」
結翔
「ちっくしょう……わけわかんねえよ、
 なんなんだよ!」
空太
(本当に……おかしいよね)

…………。

美海
「ね、ねえ、みんな、
 ここに来る前のこと覚えてない?」

………………。

直斗
「わるい、よく覚えてない」
空太
「俺も……」
美海
「そう……。
 あたしは――学校を出たところまでは覚えてるの。
 果帆と一緒だったわ」
果帆
「ああ」
空太
「思い出した。
 果帆、用事あるって言ってたよな、白百合とだったんだ」
果帆
「ああ。美海が――ケーキ作りたいって言うから、買い出しとか、色々する予定だった」
美海
「うん」
「……それで、バス停に行く途中で、由絵と勝平くんに会ったの。
 それで、四人で暫く話し込んでて……それから……」
果帆
「そうだ、その時にやられたんだ」
由絵
「そうだったっけ? 全然覚えてな〜い」
勝平
「俺は覚えてる。
 こいつらが喉が渇いたって言うから、自販機まで買いに行ったんだ。
 俺はその時に、後ろからやられた」
果帆
「始めに勝平がやられて、その後、あたしらもスタンガンで」
空太
「…………」
冬司
「俺も、たぶんスタンガンだったと思う。
 部室にいたんだけど、まだ誰もいなかったから掃除しようと思って、ロッカーを空けたんだ。
 そこに変なやつがいて、そいつにやられたんだけど、顔はわからなかったな」
惣子郎
「……俺と圭吾も、部室だった。
 他の部員もいたはずなんだが、
 ………………思い出せない」
圭吾
「惣子郎は顧問に用があるって部室を出たんだよ。
 それから戻って来なかった。
 他の部員はみんな帰ったんだけど、俺は一応待ってようと思って、んで、気付いたらこれよ」
惣子郎
「そうだったのか……。
 目黒はどうなんだ? なにか覚えてるか?」
結翔
「全っ然覚えてねーよ!
 クラスの連中とゲーセン行こうって話してたとこまでだよ」
惣子郎
「そうか……」
和華
「わ、わたしは、お買い物の途中だった。
 今日は妹の誕生日だったから、早く帰ってお祝いしてあげなきゃって、急いでスーパーを出たの。
 それから……覚えてないわ」
惣子郎
「そうか……」
花菜
「うちらも、買い物の途中だったね」
「ええ。……でも、ごめんなさい、
 わたしは覚えてないわ」
花菜
「そっか。うちらは、駅ビルで買い物しててさ、地下の自転車置き場まで戻って、そこだった。
 サキが……最初にやられて……。
 ごめんね、あたしが着いていながら」

「花菜、謝らないで」
小桃
「あたしは……自宅だった。
 お風呂に入ろうとしたところまでは覚えてるわ」
朔也
「アキラ」

「ああ。俺と朔也もそうだった。俺の部屋だ。
 ……直斗、お前も来る予定だったんだぜ?」
直斗
「そうだったのか……じゃあ、その途中で」

「恐らくな」

……………………。

朔也
「とりあえず、こうしてても仕方ないし、少し動かないか?」

「そうだな」
惣子郎
「…………出られるんだろうな」

「出入口は二ヵ所、か。
 とりあえず、あっちとこっちで二手に別れよう」
勝平
「女子はここに残った方がいいんじゃねえか?」

「いや、一緒に行った方がいいだろう」
惣子郎
「そうだな。
 俺たちがいない間になにかあったら、目も当てられないよ……」
勝平
「いや、男が一人残れば大丈夫だろ」
空太
(……………………。
 確かに、みんな不安そうだ。
 果帆も強がってるけど、あんな顔見たことないし。
 あんまり連れ回したくないな……)
冬司
「いいんじゃない?
 俺も、女の子に無理させるのはあまり気が乗らないよ」
果帆
「だ、大丈夫だよ!」
圭吾
「いやいや、間宮が大丈夫でも他が……」
美海
「平気よ? でも、ありがとう。
 気を遣ってくれて」
朔也
「どうする?」

「まあ、いいか。
 勝平、残れよ。お前なら大丈夫だろ」
勝平
「あ? まあ、いいけど」
直斗
「よし、そうと決まれば」

まだ部屋から出ないで下さい。

朔也
「空太、こっちに来れるか」
空太
「お、おっけー。まかして」

まだ部屋から出ないで下さい。

惣子郎
「お前らは俺と一緒な」
圭吾
「おうよ!」
冬司
「うん。心強いね」
結翔
「………………」

まだ部屋から出ないで下さい。


「こっちは空太を入れて四人か」
空太
「お、おう!
 役に立てるかわかんないけど、なんでもコキ使って!」
直斗
「コキ使うっておいおい」

まだ部屋から出ないで下さい。

小桃
「ま、待って、みんな!」
空太
「……?」
小桃
「あ……あれ……」
空太
(テレビ……か……?)


まだ部屋から出ないで下さい。





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