045.21日目『朝の時間』


 ――――21日目

 ――――AM06:00、会議室

人狼は襲撃に成功しました。

昨晩の犠牲者は有栖川直斗さんでした。







 ――――AM08:00、リビングルーム
空太
(昨晩死んだのは…………直斗だった。
 竜崎のときと同じように、恐らくは毒殺。
 争った形跡は……なかった)


全員
「……………………」

果帆
「……………………」
空太
(…………みんなの視線は、果帆に注がれていた。
 ……果帆が、人狼。
 …………みんな、そう信じてるんだ)
果帆
「…………あたしじゃない」
冬司
「…………悪足掻きだね」
果帆
「本当にあたしじゃない!
 よく、考えてみろよ!
 あたしがもし人狼だったら、直斗を狙ったりなんかしない!
 それこそが美海が人狼だって言う証じゃないか!」
美海
「…………どういう意味?」
果帆
「……昨日あたしを人狼に仕立て上げなかった時点で怪しいだろ!?
 この状況を招きたかったからだろ、みんなにあたしが人狼だと疑われるように!」
美海
「……果帆はあたしにとって大切な人だわ。
 …………嫌な結果を、見たくなかったの」
果帆
「はあ!?」
美海
「…………みんな。
 あたしは果帆を占った。
 …………人狼だったわ」


全員
「……………………」

果帆
「…………っ、だから!
 違うって言ってんだよ!
 よく考えてくれよ!
 なんで昨日美海は七瀬を人狼だったって言った?
 なんでもっと早くにあたしを占わなかった?
 あたしを昨日人狼に仕立てあげなかった時点で七瀬は人狼ではないんだよ!
 それに、もし美海が本当に占い師だったら、昨日人狼は美海を襲撃したはずだ!
 そもそも、美海が人狼だったら、美海に村人認定された空太と小田切だって十分怪しいんだ!」
小桃
「…………小田切くんか本堂くんが用心棒なら、白百合さんを守ったはずだわ。
 人狼はそれを見越していたんじゃない?」
空太
「ちょっと待って!
 俺は用心棒ではないよ。ただの、村人なんだ」
小桃
「……………………」
空太
「……………………」
冬司
「…………間宮さんの言い分はわかった。
 …………要するに、白百合さんが人狼確定で、俺か空太のどちらかがもう一人の人狼だって言いたいんだよね?
 ……なら、そうじゃない証拠を今から教えるよ」
美海
「え…………?」
冬司
「……七瀬さんは嘘を吐いていた。
 俺が本当の…………『用心棒』だ」
果帆
「…………!」
空太
「…………!」
冬司
「俺は昨晩、白百合さんを守った。
 ……七瀬さんの用心棒カミングアウトと同時に言わなかった理由は、人狼を欺くためだった。
 ……人狼に、用心棒は死んだと思わせるために。
 間違いなく人狼は白百合さんを襲撃するだろうと思ったからね。
 白百合さんを守れば襲撃に失敗するはずだと思ってた。
 用心棒が死んだと思っていればまんまと白百合さんを襲撃するだろうと思っていたんだ。
 …………予想が外れて申し訳ないよ」
美海
「待って!
 じゃあ、小田切くんがアキラを……由絵を見捨てたってこと……?」
冬司
「…………そうだね。
 俺はね、ここでの生活にもう耐えられなかった。
 ……みんなのことが嫌とかじゃないよ?
 ただ…………外に出たかったんだ」


全員
「……………………」

冬司
「だから、ゲームを進めたのは、俺。
 誰に恨まれても構わない。
 …………俺にも家族がいるからね」
果帆
「…………いや、おかしい。
 …………あんたは嘘を吐いている」
冬司
「…………どうしてそう思うの?」
果帆
「……朔也が守られた時点で、用心棒の可能性があったのは、……あんたと、空太と、勝平と七瀬とあたしの5人だったんだろ?
 この中で死んだのは、人狼の勝平と、七瀬、この2人だけだ……!」
冬司
「!!」
果帆
「それに…………あたしが人狼なら、用心棒が生存していようが死亡していようが美海を襲撃する。
 占うと宣言された以上、翌日には確実に自分の正体がバレるからだ。
 ……成功すれば占い結果は発表されないけど、占われたら不都合だから襲撃したと思われる。
 …………失敗すれば人狼であると告発される。
 でも……人狼は直斗を襲った。霊媒結果を知られたくなかったからだ。
 七瀬こそが本物の用心棒だった。直斗が死んだことがその証だ!
 用心棒を騙っている小田切と、占い師を騙っている美海が、人狼だ!」
冬司
「……間宮さんはそこまで予想して、言い逃れをする状況を作るため敢えて直斗を襲ったんだ。
 ……上手いやり方だね?
 みんな、……俺は間違いなく村人で間宮さんが人狼だ」


全員
「……………………」

冬司
「…………でも、もし」
小桃
「……………………」
空太
「……………………」
美海
「……………………」
冬司
「……間宮さんよりも、俺と白百合さんが怪しいと思うなら、今日の処刑は俺にしてほしい」
美海
「…………!」
冬司
「…………白百合さん」
美海
「…………なに?」
冬司
「俺は君を…………信じるよ」





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