004.1日目『役割と処刑方法』


朔也
「くっそ…………!」
花菜
「なんで……なんでうちらが、
こんなことをしないといけないんだよ……なんで……」
空太
「………………」
小桃
「ねえ……、やっぱりなにかの間違いなんじゃないかしら。
 弥重や、秋尾くんのあの映像も……合成かなにかで……」
圭吾
「ははは……どっきりってことか?
 確かに、そうだよな…………現実的に考えてあり得ねえっしょ。
 つーことは、仕掛人は秋尾と都丸で……」
果帆
「よせよ。現実から逃げるな……」
惣子郎
「気持ちはわかるが……あれは、演技とも合成とも思えない」
結翔
「なんだよっ、じゃあ、認めたらどうなるんだよ!?
 あのっ、秋尾を殺した変態野郎はっ!
 俺らに殺し合えって言ってんだぞ!?」

「そうよ…………。
 果帆は簡単に逃げるなと言うけれど、それって……、
 もう全てを諦めて、殺し、殺されましょうってことじゃない」
果帆
「ち、違う! そんなつもりじゃない!」
結翔
「じゃあどういうつもりなんだよ!!?
 こんな現実、受け入れられるわけねえだろうが!!
 お前はなんでそんなに落ち着いてられんだよ!?
 さては…………お前がその、『人狼』なんじゃ――――っ」
空太
「お、おい!
 まだ、そのカードってのも見てないのにいい加減なことをっ!」
美海
「やめてっ、やめてよっ、もうやめて!!」
結翔
「…………白百合っ……」
美海
「サキちゃんも結翔くんも、どうしてそんな風に言うの!?
 果帆が、こんなこと、認めるわけないじゃない……っ」

「…………ごめんなさい」

………………。


「…………自分のカードを確認しよう」
冬司
「うん……、そうだね」
直斗
「カードの取扱注意は……確か……」

「ああ。絶対に他人に見せないこと、見ないこと、だったな。
 扱いに気を付けよう」

………………。

空太
「…………あった、これだ。
 …………………………、…………」
(もし……、『人狼』だったら……)

「…………………………っ」
(………………『村人』?
 そうか……俺は、ただの村人か……、
 良かった……貧乏クジを引かずに済んだ……)
果帆
「……………………」
美海
「………………っ」
由絵
「………………あっ」
勝平
「………………これは」
花菜
「………………あ……」

「……………………。」
直斗
「………………うそだろ」
朔也
「………………。」
小桃
「………………あ」
和華
「……………………」
惣子郎
「………………」
圭吾
「…………。」
結翔
「………………は」
冬司
「………………。」

「……………………」
空太
「…………どう、だった?」
果帆
「…………村人だったよ」
空太
「そう…………」
(こんな野暮なこと聞いて……どうかしてるよ、俺……)
結翔
「誰が……誰が、人狼なんだよ……?」
惣子郎
「…………目黒」
結翔
「とめんなよ!
 人狼がとっとと死ねばいい話だろ!?
 少なくともそれが一番多く助かる方法だろ!?
 ……違うかよっ!!」

「……違わないが。
 人狼が自白すればどの道全員死亡だぜ?
 お前それ、わかって言ってんの?」
結翔
「それはっ……」

「つーかお前、人狼の中に美海がいるとは考えないわけ?」
朔也
「なっ……」
美海
「………………」
結翔
「どういう意味だよ!?」

「どういう意味もなにも、そのまんまの意味だけどな。
 俺も人のこと言えないが、お前が色ボケ野郎なのは端から見ててバレバレっつーか?
 ……もし美海が人狼だったら、お前はそんなこと言えるわけ? とっとと死ねって?」
結翔
「そそ、それはっ……それはっ!」
美海
「…………やめてよ、……アキラ……」

「……悪い。けど、そう言うこと。
 人狼だってなりたくてなったわけじゃないんだ。
 まだやれるだけのこともしてないのに、いきなりみんなのために死ねってのは、ひでえ話だよ。

 …………心配すんなよ。一応、考えがある」
空太
「えっ……?」
由絵
「ほ、本当!? アキラ〜!」
果帆
「…………ほっ」
美海
「…………」
果帆
「美海……」
美海
「果帆……?」
果帆
「あたしのそばを……離れるなよ」
美海
「……うん、ありがとう」
空太
(果帆…………白百合…………)
結翔
「白百合っ、ごめんっ、俺、そんなつもりじゃ!」
美海
「うん……結翔くん、きっと、大丈夫よ……」
惣子郎
「……気になったんだが、人狼は名乗り出ることができないとして。
 他の能力者は、どうなんだ?
 名乗り出ても、問題ないんじゃないのか?」
冬司
「ダメだね」
圭吾
「……ダメって?」
冬司
「うん。言語道断だよ。
 ……どうするの? もし……もしもだからね?
 もし、今後、本当に『人狼ゲーム』をやらなきゃいけなくなったとして、
 役職が全部バレた状況でゲームを進めたら……」

「小田切、経験者か?」
冬司
「うん。……少しだけどね。
 ここにいるのは16人。6人が能力者で、あとの10人は村人か、人狼。
 人狼だって、当然村人を騙るよね? この10人から人狼を当てるのに、どれだけの時間がかかると思う?
 それに、人狼は間違いなく、真っ先に用心棒を狙うよね?
 次に占い師、霊媒師、……かな。3日で重要な能力者がいなくなっちゃう。
 ……村人が不利になるよ、だから、ダメ」
惣子郎
「…………そうか……」
空太
(この様子だと……小田切は村人なのかな?)
直斗
「なあアキラ、お前の考えってのを聞いてもいいか?
 さっき言ってただろ?」

「まあ、待てよ。まずは施設を探索しようぜ?
 …………少しでも、落ち着ける場所に移動したいしな。
 ここは空気が悪い」
朔也
「確かに」
空太
「さっきの続き?」

「ああ。だがその前に……、
野郎共、ちょっと来てくれ」
惣子郎
「ああ」
空太
「な、なに?」

「たぶん、あれが例の道具だと思うんだが……」
圭吾
「お……おい、おい……」
冬司
「…………劇薬、……日本刀、ナタ……っ、」
直斗
「ハンマー…………に、警棒か?」

「スタンバトンだな。先端から電流が流れるようになってる。
 謂わば、警棒とスタンガンがセットになったやつだな」
朔也
「それに……これは、ロープか……」

「ああ。見ろよ。あそこに括れるようになってる。
 本来『人狼ゲーム』は処刑することを、『吊る』と言うんだ。
 間違いなく意識してるだろうな」
空太
「だったらなにも、こんなに色々用意しなくても……」

「より凄惨にするためだろう」
勝平
「………………」
結翔
「くっそっっっ!!」
朔也
「………仕舞おう、こんなもの」
冬司
「……そうだね…………」

………………。


「…………男子ばかり、不公平だわ」
由絵
「えっ?」
花菜
「……サキ…………」

「だってそうでしょう?
 わたしたち女子は、ただでさえ男性の力には敵わないですもの。
 …………あそこにあるもので、彼らが武装したら」
果帆
「サキ……っ」
美海
「サキちゃん……持ち出しは禁止だって言ってたじゃない。
 武装なんて…………できないわ……」

「…………そうね」
小桃
「………………」
和華
「………………」


………………。

惣子郎
「それじゃ……移動しよう」

「ああ……」



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