035.18日目『朝の時間』


 ――――18日目

 ――――AM06:00、会議室

人狼は襲撃に失敗しました。

昨晩の犠牲者はいませんでした。







 ――――AM08:15、空太の部屋
空太
(…………朝だ。
 昨晩は誰が殺されたんだろう…………。

 憂鬱な気持ちでリビングに向かうと、何人かすでに集合していた。
 …………俺も軽く挨拶を済ませてそこに混ざる。
 果帆、白百合、朔也、小田切、七瀬と直斗がいるところへ)
果帆
「……………………」
空太
「…………おはよ、果帆」
果帆
「……おはよう、空太」
和華
「…………本堂くん、卵かけご飯でいい?」
空太
「あ、いいよ。……準備してくれるの?
 ありがとう」
和華
「どういたしまして」


全員
「……………………」


空太
「…………昨晩は誰が殺されたの?」
和華
「それが…………」
冬司
「襲撃はなかった」
空太
「………………え?」
冬司
「用心棒が生き残ってるよ」
空太
「ほ、ほんとに?
 じゃあ、襲撃に失敗したってこと?」
直斗
「そうみたいだな…………」
朔也
「…………昨晩、人狼は俺の部屋を襲撃しに来た」


全員
「……!!」

冬司
「…………どうしてわかるの?」
朔也
「……人狼も焦ったみたいでさ、
 何度も俺の部屋のドアノブ、ガチャガチャやってたんだよな。
 それで、わかった」
直斗
「……防音設備は完璧って…………」
朔也
「まあ、防音もなにもないんじゃないか?
 直接、部屋のドアをいじってるんだから」
空太
「…………朔也はずいぶんと冷静だね。
 …………昨晩、殺されたかもしれないのに」
朔也
「まあ、…………こうして生きてるから、な。
 ところでみんなに話があるんだ。
 …………今日の夜、会議室で」
果帆
「今じゃダメなのか?」
朔也
「一応、話し合いの時間は夜なんだろ?
 ルール違反てことになっても困るしな」
美海
「でも昨日…………直斗くんが…………」
直斗
「見逃してもらえただけかもしれない」
美海
「…………そうよね」
直斗
「…………俺も、話があるんだ。
 霊媒結果のことで」
美海
「あ……………………」
直斗
「美海…………」
美海
「……なに?」
直斗
「俺は…………美海を信じるよ」
美海
「…………それって」
果帆
「お、おい、もしかして、花菜は……」
直斗
「美海を信じる。
 今の俺にはそれしか言えない」


全員
「……………………」


直斗
「じゃあ俺、部屋に戻るな。
 …………七瀬、ご馳走さま」
和華
「ええ」
直斗
「それじゃ」


全員
「……………………」


冬司
「……きっと、小日向さんは村人だったんだ」
和華
「さっきの有栖川くんの反応……そう考えるのが自然よね」
果帆
「…………それじゃ、サキが嘘を吐いてるんだな」
美海
「でも…………サキちゃん村人だったのよ。
 嘘を吐いてまで花菜を陥れた意味は?」
冬司
「昨日、白百合さんの言った通り、
 …………『裏切り者』なんだよ、彼女、きっと」
美海
「……なぜよりにもよって花菜だったの」
果帆
「…………それはサキにしかわからない。
 今晩、問い詰めよう」
和華
「…………そうね」


全員
「………………」


朔也
「…………美海は小田切を占ったんだっけ?」
美海
「……そうね。……お願いされたから」
冬司
「ありがとう。白百合さん」
朔也
「……結果は……聞くまでもない、か……」
美海
「…………そうね。
 もし『人狼』だったら、ここで一緒にご飯なんて食べてないと思う」
朔也
「…………と、なると。
 えーっと状況は」
冬司
「……白百合さんを本物の占い師と確定するとだけど。
 村人と確定してた直斗、朔也、竜崎くんに、俺と空太が加わる形で確定。
 もちろん白百合さんも確定。
 …………和歌野さんも、『裏切り者』と言う形で村人確定。
 だから……7人は不動ってことだね。
 グレーゾーンは、勝平くんと、佐倉さん、…………七瀬さんと間宮さんの4人だ」
朔也
「…………俺は、その4人の中から一人を村人と証明することができる」
冬司
「なら、ほぼ確定だね。人狼が誰なのか」
空太
「え……」
果帆
「お、おい、ちょっと待てよ。
 …………言っとくけどあたしは人狼じゃないからな」
和華
「わたしだって同じよ」
冬司
「…………その反応から、
 二人は少なくとももう一人の『共有者』ではないのはわかったよ……」
果帆
「な、なんだよ、その言い草」
朔也
「ちょっと待った。
 …………今は話し合いの時間じゃないだろ」
空太
「果帆…………」
果帆
「…………気分わりぃよ」
美海
「…………小田切くん、会議の場でも良かったはずなのに、
 ……言い方に配慮が足りないわ」
冬司
「ぼーっとしてても仕方ないじゃない。
 …………まあ、白百合さんが『本物の占い師』と決まったわけでもないし」
美海
「…………どういうことよ」
冬司
「アキラか八木沼さんが本物だったのかもしれないし、
 単純にまだ潜伏してるだけかもね。
 それだと、俺と空太、和歌野さんの村人認定は崩れるよ」
美海
「そんなこと言われたら…………あたし、なんて言い返せばいいのかわからないじゃない」
冬司
「占い師だよって、素直に主張すればいいじゃない」
美海
「そうだけど…………そうすると、果帆たちが」
果帆
「ったく、気分わりぃな。
 空太、美海、……朔也、行こう」
朔也
「お、おい、果帆」
果帆
「一緒に食ってられっかよ」
空太
「ま、待って果帆」
美海
「果帆…………」
果帆
「…………美海?」
美海
「あたしは……朔也とここに残るわね。
 …………二人の邪魔しちゃ悪いし」
果帆
「え……お、おい、美海」
美海
「うん?」
果帆
「…………まさか、あたしのこと疑ってんのか」
美海
「そうじゃないよ。
 本当に、二人の時間邪魔したくないだけ。
 …………それにね、あたし」
果帆
「…………なに?」
美海
「…………二人を見てるの、すこし、辛いの。
 …………それは七瀬さんも同じだと思う」
和華
「…………そうね。筒井くんは死んでしまったから」
美海
「あたしも…………アキラを失ったから……」
果帆
「……………………」
空太
「……………………」
(白百合…………七瀬…………)
和華
「…………わたしはね、正直、
 …………白百合さんと乃木坂くんを見てるのも辛いわ」
美海
「え……?」
和華
「…………わたしにはもう、守ってくれる人はいないもの……」
美海
「……わかったわ」
朔也
「……ごめんな、七瀬。
 …………美海、行くぞ」
美海
「…………ええ」
空太
(朔也と白百合は、そう言い残して部屋へ戻って行った。
 果帆は直接言われたことがショックなのか、すこし放心状態になっていた)
「…………果帆」
果帆
「あ、ああ…………」
和華
「…………ごめんなさい。間宮さん」
果帆
「いいよ。あたしこそ、ごめんな。
 …………それじゃ」
空太
「果帆!」
(俺は果帆の後を追い掛けた)



冬司
「…………二人きりになっちゃったね」
和華
「…………そうね。
 ……ねえ、小田切くんは、わたしを人狼だと疑っている?」
冬司
「……どうだろうね。
 白百合さんを信じれば、そう言うことになるね」
和華
「有栖川くんのあの反応…………。
 小日向さんは…………やっぱり村人だったんでしょうね」
冬司
「そうだね。つまり、あと3人残ってる、人狼が」
和華
「……………………」
冬司
「…………七瀬さん?」
和華
「…………いいえ、なんでもないわ。
 …………話してくれてありがとう、小田切くん」
冬司
「…………あのさ。
 …………守ってくれる人がほしいならさ」
和華
「? …………うん」
冬司
「…………俺が、そうなれるように頑張るよ。
 …………筒井くんの友達としてだけど」
和華
「…………ありがとう、小田切くん。
 …………でも、筒井くんに悪いから……」
冬司
「……筒井くんもそれを望んでると思うけどね」
和華
「ふふ、どうかしらね。
 …………それじゃあ、わたしも戻るわ。
 またね」
冬司
「…………わかった。
 ……いつでも頼っていいんだからね?
 ……また」
冬司
(七瀬さんが戻ってしばらくして、
 佐倉さんと勝平くんと竜崎くんが顔を出した。
 俺は3人に、さきほどと同じ流れの話を聞かせた……)




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