011.2日目『朝の時間』


 ――――AM08:00、空太の部屋
空太
「……………………」
(…………朝、か。
 ……あれ、俺の部屋じゃない?
 …………どうしたんだっけ)
空太
「…………っ!!」
(そうだ、思い出した!
 …………変なゲームに……『人狼ゲーム』とか言うのに参加させられたんだ!
 朝…………、な、何事もないんだろうな)
空太
「…………!」
(俺は勢いよく部屋を飛び出した。
 ダイニングルームに駆け足で降りていくと…………)
果帆
「お、空太!」
空太
「え?
 …………いち、にい、さん、しい、ごお………………、
 …………え? もしかして……俺が一番…………最、後……?」
(俺以外、全員集合していた)
果帆
「そうだよバカ!
 おまえ、寝すぎ!」
空太
「え? ごご、ごめん!」
果帆
「ま、よっぽど疲れてたんだろうけどな」
美海
「ふふ」
由絵
「あはは」
空太
「そ、それで……?
 人狼の襲撃っての、は……?」

「ああ。失敗、ってやつだ。
 上手くいったみたいだな」
空太
「ほ、ほほ本当?
 あああ〜、よかった、気が抜けた……」
果帆
「よーく言うよ。
 ぐーすか寝てたくせに」
直斗
「ははは、もう8時すぎだぜ?」


全員
「あははははは」

惣子郎
「いや、本当に、人狼、それに用心棒、
 よくやってくれた。
 本当にありがとう、礼を言うよ」

「本当にね。
 おかげさまで、今夜は安心して寝れそうだわ」
花菜
「サキ、良かった。
 体調、すこしはマシになった?」

「ええ」
果帆
「昨日はカリカリしてたのに、
 今日は機嫌よさそうじゃん?」

「昨日は、胃が痛かったし。
 …………みんなが強すぎるのよ?」
由絵
「それは言えてるかも〜」
美海
「特に、アキラがね」
直斗
「そうそう、アキラが」
朔也
「アキラだもんな」

「どういう意味だ、それは。
 図太いって言いたいのか?
 俺はこんなにも繊細な男の子なのに」
空太
「はいはい」
(まーた始まった)


全員
「あははははは」

空太
(昨日とは一転して、和やかな雰囲気だ。
 ……殺し合う必要がなくなった。
 それは、当たり前のことだけど、今の俺たちには希望の光だった)
和華
「……さて、みんな揃ったし、朝食の準備でもしましょうか」
小桃
「和華、手伝うわ」
美海
「あたしも」
由絵
「由絵はお皿洗い頑張るね〜」
果帆
「まったく由絵は」
由絵
「なによ〜」
勝平
「あー、材料運ぶなら持ってくるぞ」
圭吾
「俺も」
結翔
「俺も!」
美海
「和華ちゃん、どうする?」
和華
「朝食だし、パンにしない?
 フライパンを使えばすぐに焼けるし、目玉焼きとベーコン乗っけたりして」
結翔
「いいな、それ!」

「…………朝は和食の気分なんだが」
冬司
「俺も。でも、作ってもらう立場だからね。
 七瀬さんや白百合さんたちに任せるよ」
美海
「……おっけー(にっこり)」
小桃
「それじゃあ、始めましょうか」





 ――――AM08:30、ダイニングルーム
圭吾
「うっまそ」
惣子郎
「それじゃ」


全員
「いただきまーす!」


「うん。美味い」
朔也
「さすがだな」
美海
「えへへ〜ありがとう〜」
和華
「大したものじゃないけど、
 そう言ってもらえると嬉しいわ」


全員
「あははははは」

圭吾
「でもほんとにさー、
 こうして、平和に飯食ってられるのも人狼と用心棒のおかげだろ?
 なんか、すげえ気が楽になったわー」
勝平
「そうだな」
惣子郎
「もちろん事態が好転したわけじゃないけど、
 こうして朝を迎えられて良かった」
由絵
「ほんとだね〜、
 でもね、由絵は何事も起きないって思ってたよ〜?
 ここにいる人に悪い人なんていないも〜ん」
美海
「由絵…………」
由絵
「えへへ〜」
花菜
「いいこと言うね」
果帆
「まあ、由絵にしてはな」
由絵
「もう果帆言い方トゲがある〜ばかばか〜」
空太
「ぷぷ」
冬司
「筒井くん、今日はふざけるなって言わないんだね」
惣子郎
「まあ、こうして平和に朝食をとれてるんだ。
 浮かれるのも仕方ないだろう。
 俺もそこまで野暮じゃないさ」

「ま、話しておきたいことはあるんだがな」
結翔
「…………なんだよ?」
朔也
「アキラ?」
直斗
「どうした?」

「ま、俺も一晩考えたわけよ。
 例えば…………誰がなんの目的で俺たちをここに集めたのか」
小桃
「………………」
美海
「アキラ…………あたしも考えたけど、
 …………全然、わからなかったわ」
果帆
「あたしもだな。
 だいたい、こんなイカれたこと考え付く方がどうかしてる」
勝平
「それもそうだな」
空太
(…………俺も考えようと思ったけど、
 その前に寝ちゃったんだよな…………)
冬司
「……それで? アキラは、どう思ったの?」

「…………ま、それは追々話すよ。
 夕食の時間にでもな」
冬司
「引っ張るね」

「俺も考えがまとまってないんだよ」
朔也
「………………」
小桃
「………………?」
惣子郎
「…………俺も、誰がなんの目的でこんなことを思い付いたのか、
 考えようと思ったけど、さっぱりだったな。
 ……小田切は、学校の関係者じゃないかって考えもあるみたいだが」
勝平
「なに?」
冬司
「あ、なんとなく、そう思っただけだよ。
 ……ほら、部屋の前に顔写真があったでしょ? それに、カードにも…………。
 どこから俺たちの写真を調達したのかなって。案外、学校の関係者だったりしてね、って」
勝平
「…………なるほどな」

「いい線行ってると思うぜ。
 さすがだな、小田切は」
冬司
「アキラにそう言ってもらえると嬉しいね」
美海
「…………でも、まさか」

「可能性の話だ。…………あまり気にするな」
美海
「…………そうね」
朔也
「…………?」
由絵
「由絵もさ〜っぱりわからないなあ……」

「…………わたしは、怨恨なのではと思ってるけれど」
果帆
「怨恨…………?」

「そう。
 …………心当たりがある人もいるんじゃない?」
勝平
「……なんで俺を見るんだよ」

「…………あなたが一番可能性が高そうだから」
勝平
「…………お前なぁ……」
由絵
「サキちゃん!
 勝平のこと悪く言ったら由絵が怒っちゃうんだからねー!」

「ふふ、ごめんなさい。他意はないわ」
花菜
「とととりあえずさ!
 この話は保留なんでしょ?
 いいじゃん、ご飯食べよう!

 …………うん! 美味しい!」
美海
「…………うん! 難しい話は今は抜き!
 食事を楽しみましょう!」
勝平
「……そうだな」
由絵
「うん! ほんと、美味しい〜!」
和華
「喜んでもらえて嬉しいわ」
小桃
「ふふ」
圭吾
「俺もう食い終わったわ」
結翔
「俺も。…………そこに残ってるの食っていい?」
美海
「いいよ。はい、結翔くん、竜崎くん」
結翔
「あ、ありがと///」
圭吾
「さんきゅー!」
空太
(すこし険悪になりかけた雰囲気が柔らかくなった。…………よかった。
 …………和歌野。意外と場を乱すってゆーか、空気読めないんだな……。
 この状況じゃ、仕方ないのか…………)
直斗
「夜の投票までどうする?」
果帆
「そうだよな、時間はかなりあるし」
朔也
「…………各自、自由に過ごすって形でいいんじゃないか?」
小桃
「…………ねえ、提案なんだけど」
和華
「どうしたの?」
小桃
「カラオケセットがあるんでしょ?
 気晴らしに、どうかしら」

「カラオケか。まあ俺は構わないけど」
結翔
「いいんじゃね?
 やろーぜ!」
花菜
「いいじゃん! やろうやろう!
 ね、サキ」

「わたしは歌うより演奏する方が好きだわ」
美海
「サキちゃん、せっかくだしやらない?
 声を出せば、もうすこし気が楽になるかも」

「美海は歌うの上手だものね。
 …………いいわ、やりましょうか」
直斗
「お、サキちゃんが乗ってきた」
惣子郎
「まあいいだろう。
 時間はあるし、俺は賛成するよ」
和華
「筒井くんがそう言うなら、わたしも構わないわ」
圭吾
「ひゅー、いいねえー!
 ま、今日からは何事もないだろうし、楽しもうぜ!」
空太
「えぇえ〜……俺、聞く専門ならいいけど」
果帆
「バーカ、空気読め! やるぞ!」
空太
「えぇえぇ〜、そんなぁ〜」
勝平
「とりあえず片付けるか」
直斗
「そうだな」
勝平
「じゃ、俺らに任せろ」
冬司
「そうだね。一仕事してくるよ」
圭吾
「おーし、やるぞ〜」

「空太、行くぞ」
空太
「お、おう!」
(俺も料理手伝ってないから片付けくらいはしないと)
果帆
「それじゃ、あたしらはリビングにいるな」
美海
「ふふ、よろしくね」

「わたしと花菜もリビングで待ってていいかしら?」
花菜
「あ、いや、うちは手伝うけど」

「花菜…………」
花菜
「サ、サキ…………わかったよ。
 頼んでいいかな?」
惣子郎
「いいぞ。女子はリビングにいてくれ」
由絵
「由絵は手伝う〜!
 勝平〜、これ持ってって〜」
惣子郎
「おいおい」
果帆
「由絵は言い出したら聞かないから。
 コキ使ってやってよ」

「由絵、これも持ってけー」
由絵
「アキラが自分で持ってってよーもう〜」
果帆
「じゃ、あっちにいるな」
和華
「よろしくね」
美海
「ふふ、みんな、ありがとう」
空太
「ちょちょちょ、みんな待ってよ」
(誰もいなくなってしまった…………。
 ちゃんと持ってけよな、まったく……)
小桃
「本堂くん」
空太
「わっ、さ、佐倉!
 なに? どうしたの?」
小桃
「…………あのね。
 乃木坂くん、すこし様子がおかしいみたいなの。
 ……気を遣ってあげてくれる?」
空太
「え? そう? う、うん、わかった」
小桃
「よろしくね」
空太
「…………どうして俺に?」
小桃
「…………話しやすいから、かな?
 心配なの。…………よろしくね」
空太
「あ、ああ。わかった」
(朔也…………? 特別、変わった様子はないと思ったけど…………、
 佐倉がそういうならそうなのかな。
 …………佐倉はやっぱり、まだ朔也のことが……?

 いや、俺には関係ないだろ。
 今は俺には、果帆がいるんだからな!
 …………そこは、気にしないでおこう)

空太
「よい、っしょ…………あ、朔也」
朔也
「ん?」
空太
「なんか、…………もしかしてだけど、疲れてる?」
朔也
「うん? そう見えるか?」
空太
「うん。すこしだけど…………」
(佐倉が気にかけてるからなんだけどな)
朔也
「昨日中々寝れなくてさ。
 それだけだよ。ありがとうな」
空太
「あ、うん。わかった。
 無理、しないでね」
朔也
「ああ」



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