りんね+翼

2015.04.29 Wednesday


(※またまた見えないキャンディー回ネタ)
「真宮さんの等身大フィギュアか……」じろ、とりんねは横目に翼を睨んだ。等身大フィギュア、それは今の彼には禁句なのだ。「あれはそんなものじゃない。勝手に話をややこしくするな、十文字」「ふん。作った張本人が何を偉そうに」翼はモップがけの手をとめて、黒板掃除をしながらリカ達とおしゃべりをしている桜を盗み見た。「おい六道。まさかとは思うが、お前、変な気を起こさなかっただろうな?」「──は?」「だから、あの真宮さんの等身大フィギュアにだよ!」「等身大フィギュアではないと言ってるだろう、いい加減しつこいぞ」さすがのりんねも苛立ちをあらわにするが、翼は怯まない。「動かないのをいいことに、やましいことをしようと考えたんじゃないのか!?」「そんなことを考えるのはお前だけだ!この変態っ」「変態に変態と呼ばれる筋合いはない!ああ、こんなやつの隣に彼女を座らせておくなんて、危険だ──!」「お前に近寄らせるほうがよほど危険だ!」狭い教室のなか、当然二人の応酬は当の桜にも筒抜けだった。なんとも微妙な顔をする桜の隣で、ミホとリカがやれやれと肩をすくめる。「男子って、本当にばかだよねえ」


りんさく

2015.04.29 Wednesday


(※見えないキャンディー回ネタ)
「ねえ六道くん。私の等身大フィギュアを作ったって聞いたんだけど、それ本当?」桜が霊感を取り戻したことにすっかり有頂天になっていたりんねは、一瞬にして奈落の底に転落したような気がした。「あ、あれは、そういうやましいものでは──!」「別にやましいものだなんて言ってないけど……」身を乗り出してきて必死になって否定するりんねに、桜は少々気圧されたようだ。彼女に「変態」呼ばわりされないためにも、何としてでもここで誤解は解かなければと、りんねは躍起になって弁明する。「なにも趣味で作ったわけじゃない!あれは依代人形と言って、髪の毛や爪を仕込むと、その人の身代わりになって災厄を引き受けてくれる死神道具で──」「髪の毛や爪?」桜が不思議そうな顔をする。「六道くん、いつのまに私の髪の毛や爪を手に入れたの?」「はっ──いや、違う!」なんということだ、誤解を解くはずがむしろ墓穴を掘っているではないか。やましいことなど何もしていないはずなのに、りんねはどうも冷や汗が止まらない。「お前の髪の毛を取ってきたのは、おばあちゃんだ!俺は指一本お前に触れていない。指一本!だから信じてくれ、俺は潔白なんだっ」「う、うん。信じるよ、六道くん」手をしかと握られ、あまりにも力一杯説得されたので、それ以上の追及をやめてただ頷くしかない桜だった。


りんさく

2015.04.20 Monday


「なありんね。女の子は、いいぞ」いつだったか、夢見心地な顔をして彼の父がそんなことを言っていた。いい年をして相変わらず浮ついたことばかり──と冷ややかな一瞥で一蹴したことを、りんねは覚えている。「女の子ってのは、ふわふわしていて温かいんだ。いつまでだって抱き締めていたくなる。同じ生き物なのに、なんであんなに違うんだろうな。──ま、お前は知らないだろうけど」今だったら、悔しいくらいにはっきりと、父親の言っていたことが分かる。桜を腕のなかに収めている今ならば。ほかの女子のことは知ったことではないが、どうして彼女のからだは、マシュマロのようにふわふわして柔らかいんだろう。日だまりで一日中うたた寝したあとの猫のように、ぽかぽかと温かいんだろう。「六道くん、いつまでこうしてるつもり?」なかなか離してもらえず桜が苦笑する。離したくない。できることならこのまま、ひとつになってしまいたい。不埒な下心でもなんでもなく、少年は素直にそう思った。


りんさく

2015.04.19 Sunday


(※事後注意・診断メーカーネタ)
「──仲直りしよう」こつん、と額と額をくっつけてりんねが溜息と共に呟いた。やわらかな朝日が窓から差し込んでいる。机の上の鯖缶のろうそくはとっくに燃え尽きて縮まっている。昨夜あれだけ消してと頼んでも消してもらえなかったのに、事が終わってから消えるなんて。桜はむき出しのりんねの胸を押し返した。「俺のこと、嫌いになったか?」拒絶がこたえたらしく彼はしょんぼりとしている。一応彼女の訴えを無視して暴走したことに反省はしているらしい。それ以上は邪険にできず、桜はそっと溜息をついた。「ああいうのは、もう嫌だよ」「すまん……」かすかに震えるりんねの目蓋に、唇を寄せた。不意打ちに面食らう彼。「ああいうのは、嫌だったんじゃないのか」「こういうのは、いいの」ふふ、と笑う彼女に耳まで赤くなる彼。「だから、次は優しくして?」


りんさく+鯖

2015.04.16 Thursday


「りんね、お前弱いんだなあ」父親の苦笑混じりのからかいに、言い返そうとするりんねだがしゃっくりが出て「うるひゃい」と間が抜けてしまう。心配そうに見守っていた桜がとうとうりんねの手からビール缶を取りあげた。「ダメだよ六道くん。お酒なんてまだ早いよ」「真面目だなあ、桜ちゃんもりんねも。ぼくなんて、初めて酒の味を覚えたのは中学の時だよ?」「この非行オヤジっ」「親に向かってその口の利き方はなんだ!」にやにやしながら鯖人はまた新しい缶を開ける。「飲めよ。これくらいできなきゃ、男がすたるぞ?」「おとうさん、もう六道くんをけしかけないでください」さすがにたしなめる桜に、大丈夫だと言いたいりんねだったが、出てきたのは「らいひょうぶら」。とうとう口が回らなくなった、と思った瞬間、頭がくらりとした。「六道くん!」桜の声が遠く聞こえる。ふらふらとからだの支えがきかなくなり、何か柔らかいものの上にぱたんと倒れ込んでしまった。これは一体何だろう?まあ気持ちいいからいいや、もうこのままで。


犬かご

2015.04.15 Wednesday


朝起きると、隣にかごめの姿がなかった。まだほのかにぬくもりが残っているから、きっと近くにいるだろう。犬夜叉は戸口の菰を押し上げて外に出た。もやもやと朝霧の立ち篭めるなか、さああ、と糸のような細い雨が降っていた。「かごめ?」雨の匂いでかごめの居場所がわからない。きょろきょろとあたりを見回していると、視界の端で赤いものがゆらめいた。唐傘を差したかごめが少し離れたところで、犬夜叉に背を向けて佇んでいた。「かご──」名を呼びかけて犬夜叉は口をつぐむ。雨音に混じって、かすかな嗚咽が聞こえたようなしたのだ。すっかり馴染んだ巫女装束の、緋袴の裾が雨に濡れていた。ひょっとしてこれまでも、ひとりで隠れてこうして泣いていたのだろうか?ゆっくりと近付いていくが、かごめは気付かない。押し殺した嗚咽が彼の耳を震わせる。犬夜叉は背後から、かごめをそっと抱き締めた。驚いた彼女の手から、傘がからりとおちる。「ひとりで泣くな。──何のための、夫婦だよ」かごめ。俺はいつだって、お前のそばにいる。


縁薫

2015.04.13 Monday


風呂場から出たところで、バスローブに着替えた縁と出くわした。運悪く湯浴みの時間がかぶってしまったらしい。つい先程首を締められたことを思い出して思わず身構える薫に、誘拐犯はじろりと冷たい一瞥をよこして「邪魔だ、どけ」と言った。また殺されかけてはたまらないので、さすがの薫もおとなしく従うことにする。さわらぬ神に祟りなしとばかり、あてがわれている部屋に戻ろうとすると、「おい」と背後で呼ぶ声がした。振り返ると、ドアノブに手をかけたまま縁が彼女を睨んでいる。いや、睨んでいるわけではなく、ただ観察しているだけなのかもしれないが、その奈落の底のような暗い瞳は見ていて寒気がしそうになる。「──なによ」さりげなく後ずさりながら聞けば、呼び止めるんじゃなかったとでも言いたげな苦々しい顔をして、縁が吐き捨てた。「しぶとい女だ」喉のことを言っているらしい。「剣心に会うまでは、何があったって死なないわよ」「ふん。……勝手にしろ」なぜだろう、その声にはかすかな安堵が滲んでいるように聞こえた。


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