殺りん

2016.06.30 Thursday


今朝からりんはどうもくしゃみがとまらない。雨露をしのぐため昨夜は岩陰で休んだものの、肌寒かったので体に障ったのだろう。「こりゃ、りん、はながたれておるぞ」邪見が呆れ顔で手ぬぐいを差し出してくる。「ありがとう、邪見さま」はなをかんでいると殺生丸がじっとその様子を見ている。「殺生丸さま?」彼はりんと目線の高さをあわせ、彼女の前髪をそっと押し上げた。「じっとしていろ」はい、とりんは従順に目を閉じる。額と額が触れた。「殺生丸さまのおでこ、冷たくて気持ちいい」くすくすと笑う子ども。妖怪はとがめることをせず、今日は阿吽の背に乗っていろ、とだけ言った。


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