りんさく+翼

2015.04.08 Wednesday


午後の体育は昼食後のいい運動になる。広いグラウンドでサッカーボールを追う翼は生き生きとしていた。対照的なのは、腹ごしらえをしていないりんねだ。翼とは敵のチームなので翼には知ったことではないが、動きが恐ろしく鈍くまるで勢いがない。「なるべく余計な体力を使いたくないんだが……」ボールをめぐる小競り合いからは少しはなれたところで、空腹をかかえたりんねはひもじそうに呟いていた。さらにもっと遠くから、桜を含める女子たちがその試合を眺めている。「十文字くん、頑張ってるね」「桜ちゃんのこと、ちらちら見てるよ」桜の視線を感じたらしい翼は、調子よくゴールを目指すが、惜しくもシュートは逃してしまう。敵のプレイヤーが横やりにボールを奪い、遠くへ蹴り飛ばした。あっ、と皆の視線が距離を伸ばすボールを追う。ボールが向かうところにはりんねしかいない。「六道くん、頑張って!」桜はつい声を張り上げてしまう。するとボーッとしていたりんねが、しゃきんと姿勢を正した。空からとんできたボールをうまく受け止め、くるりと振り返って、シュートを決める。「よくやった、六道!」りんねのチームメートがわらわらと駆け寄ってきた。遠くから桜がこっそりVサインを出すと、それを見届けたりんねは少しだけ自分が誇らしくなった。


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