りん+翼
2015.04.02 Thursday
(※行き触れネタ)
「えーっ、やっぱり桜ちゃんと六道くんって付き合ってたの!?」リカの大袈裟な驚きぶりに、一年四組はにわかにざわめいた。突然の告白のあまりの打撃に翼はめまいがしたらしく、病人のように青い顔をしてふらふらと机に手をつく。「あの──。嘘だよね、真宮さん?」当の桜が答えるよりも先に、隣のりんねがとどめを刺した。「嘘じゃない。俺と真宮桜は付き合っているんだ」「い、いつから?」「一ヶ月ほど前から、だったか?」とぼけた顔で桜を見やるりんね。目配せする二人はすっかり距離を縮めている様子だ。なぜ今の今まで気付かなかったんだろう?失ったものの大きさに翼は半泣きになった。「くそ、抜けがげしやがって──!許さんぞ、六道!」自分のほうが、ずっと好きだったのに。片時も、忘れたことはなかったのに……。そう言ってやりたかったのに、どことなく照れているような桜の顔が視界の端にあって、その目がとても穏やかで満ち足りていて、ああ、これはもう、横恋慕でしかなくなってしまったんだと、思った。