ハク千

2017.07.05 Wednesday


今日も外は雨が降っている。昨日の繰り返しのようなやり取りの中で、ただ一つ、決定的に違うことは、彼が部屋から出ていこうとする千尋を引き留めたことだ。「──寒くないかと、聞いたね」髪から雨水を滴らせながら、静かに問う。千尋の背後から伸びた手は、戸を開けられないように押さえつけている。


かごめ+?

2017.07.05 Wednesday


「母上」振り向きざまに強く抱き着かれ、かごめは目尻を下げた。「どうしたの?」少年は柔らかく微笑んで小首をかしげる。「母上の匂い、落ち着くなあ」あどけなさの残る声で甘えてくる息子が可愛くて、つい甘やかしてしまいがちな彼女。少し離れたところで夫がやきもきしていることには気付かない。


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