実写秋直

2015.04.03 Friday


(※LGF放送記念)
「キスされると思ったか?」口角を持ち上げてしらじらしく笑う秋山に、直は顔を赤らめて反論する。「あの状況だったら、誰だって勘違いしますよ!」「そうか?」「当たり前じゃないですか!秋山さんって、本当に人を騙すのが上手なんだから──」でもこんなふうに騙され続けていたら、心臓がもたないです。背中を向けた直がこぼす一言に、秋山はふとまじめくさった顔になる。彼とてあれは意図してとった行動ではなかった。リップクリームがほしいなら、素直にそう頼めばよかっただけのこと。わざわざあんな風に近付いて触れたりする必要はなかった。あらぬ期待を抱かせることはわかっているのに。元来合理的なたちのはずが、なぜああして回りくどいことをしなければならなかったのか。「……たとえ嘘でも、ドキドキしちゃいました。思い出すと、ほら、まだ心臓がうるさいです」胸をおさえてささやく直。背中を向けてはいるが、どんな顔をしているかは手に取るように分かる。こんな時に限っては、馬鹿正直な彼女が羨ましくも思える秋山だった。


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