りんさく+鯖

2015.04.16 Thursday


「りんね、お前弱いんだなあ」父親の苦笑混じりのからかいに、言い返そうとするりんねだがしゃっくりが出て「うるひゃい」と間が抜けてしまう。心配そうに見守っていた桜がとうとうりんねの手からビール缶を取りあげた。「ダメだよ六道くん。お酒なんてまだ早いよ」「真面目だなあ、桜ちゃんもりんねも。ぼくなんて、初めて酒の味を覚えたのは中学の時だよ?」「この非行オヤジっ」「親に向かってその口の利き方はなんだ!」にやにやしながら鯖人はまた新しい缶を開ける。「飲めよ。これくらいできなきゃ、男がすたるぞ?」「おとうさん、もう六道くんをけしかけないでください」さすがにたしなめる桜に、大丈夫だと言いたいりんねだったが、出てきたのは「らいひょうぶら」。とうとう口が回らなくなった、と思った瞬間、頭がくらりとした。「六道くん!」桜の声が遠く聞こえる。ふらふらとからだの支えがきかなくなり、何か柔らかいものの上にぱたんと倒れ込んでしまった。これは一体何だろう?まあ気持ちいいからいいや、もうこのままで。


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