典許♀
ある日の休日、許チョは久しぶりに街に出て露店巡りを楽しんでいた。
見た目はぽっちゃり体型な許チョは小さな身体では思えない程の大きな胸を持っていた。
普段は活発に動けるような衣装を纏っていたが、今日は休日なのか珍しく女性物の服を着ていた。
やはり許チョも年頃の女の子だろう。
髪飾りや耳飾りを販売している露店に立ち寄っていた。
自分には派手なものは向かない。
見た目でも派手ではないものを選んでいた。
「う〜ん、どれが良いんだろうか…」
許チョは耳飾りを見ながら呟く。
任務中では邪魔にならないものを選んでいるのだが、やはり多種多様で様々な耳飾りがあって目移りしてしまう。
「何を悩んでいるんだ?」
許チョは声を掛けられ、振り向くと典韋が立っていた。
「なっ、典韋、びっくりした…」
「許チョ、お前…その格好…」
典韋は許チョの姿にドキドキしていた。
チャイナドレスに身を包んでいる許チョ。
その巨乳や微かに露になっている太股に目がいく。
「今日は休日だし、任務もないからたまには女の子らしい格好をしたんだが、やっぱり変かな?」
「いや、凄く似合っているぞ…」
「そうか。ならたまにはこんな格好もいいだな…」
許チョは嬉しそうに笑う。
いつもは男っぽい格好でいる許チョに典韋は見とれてしまう。
(やばい、可愛い…。抱きしめて連れて帰りたくなる)
「なあ、典韋…」
「な、何だ許チョ?」
許チョは典韋に近づくと問い掛けた。
「実は耳飾りを選んでるんだけどどれが似合うかな…」
「そうだな…これなんてどうだシンプルだが、青い石が綺麗だぞ」
「あっ…本当だ、これなら小さいし。普段でも付けられそう」
小さい青い石が嵌め込まれた耳飾りを許チョは見ていた。
「なんなら、俺が買ってやろうか?気になるんだろ…」
「えっ、でも…」
「遠慮するな…いつも一緒にいるんだ。たまには俺がお前に買ってやらないとな」
典韋は店の男に耳飾りの代金を払った。
そして典韋は許チョに耳飾りを渡した。
「あ、ありがとう典韋…」
許チョは典韋から耳飾りを受け取り嬉しそうに笑った。
許チョは早速、耳飾りを耳につけた。
「に、似合うかな?」
「ああ…可愛いぜ、許チョ…」
「あ、ありがとう…」
許チョは恥ずかしくなり顔を伏せた。
顔だけではなく耳まで真っ赤に染めて恥じらう姿に典韋は思わずその身体を抱きしめた。
「!!」
「許チョ…可愛いぜ。なあ、もしよかったら俺と付き合わないか?」
「えっ、それって…」
「ずっとお前を見ていたし一緒にいたが、今日は改めて許チョが可愛いと思った」
「典韋…」
「許チョ、俺で良ければ付き合わないか。恋人同士として」
「オラでいいのか?こんなぽっちゃりな体型だし、美人でもないけど…」
「俺は許チョだから好きだし、付き合いたいと思っている」
「典韋…」
「駄目か?」
「嬉しいよ、典韋…」
許チョは典韋の背中に腕を回した。
「オラ、典韋となら付き合ってもいいよ」
「許チョ…」
「今日からオラ達は恋人同士として付き合っていくんだな」
「ああ…」
(柔らかな胸が当たってる。なんて気持ちいいんだ…)
「なら、今度はオラが典韋が好きなものを買ってあげるだ」
「そうか…なら俺は許チョが側にいるだけで充分だ…」
典韋は許チョに軽く口づけを落とすと直ぐさま、許チョを連れて露店を後にした。
「何処に行くんだ、典韋?」
「何処って、俺の屋敷だ…」
「あんまりその身体を他人には見せたくないんでね」
「ちょ、何処見てるだ。典韋のエッチ!」
「なんとでも言え、俺は独占欲が強いんだ、覚悟しておけ…」
「ひっ、やああ〜!」
典韋は許チョに呟くと、典韋は自分の屋敷へと許チョを連れ込んだのであった。
その後、許チョは典韋の猛烈なハグに襲われたとかないとかその真実は本人達しかわからなかった。
終
典許
曹操の護衛がない時は、暇を持て余す。
典韋は身体を鍛える為に鍛練は欠かせないと鍛練場に向かう。
だが一人では鍛えるには限界があった。
典韋は同じ曹操の護衛である許チョを誘う。
「許チョ、一緒に鍛練をしないか?」
「典韋…オラはいいよ」
「何を言うか、鍛えておかないといざという時は殿を護れないぞ!」
「疲れるから嫌だ〜!」
「鍛練が終わったら何か奢るから付き合え…」
「わかっただよ…」
典韋は許チョを連れて鍛練場に向かった。
食い物には目がない許チョを釣るには一番な方法なんだが。
(たまには俺にだけを意識して欲しいんだが…)
典韋は密かに許チョを好いていた。
あのぽっちゃりした体型で意外に可愛い仕種をするのだ。
だからたまに抱きしめるとあの柔らかさが堪らないのだ。
周囲がどう思おうと典韋は許チョが側に居れば幸せであった。
「典韋〜、早く来いよ。早く鍛練しよう〜」
「ああ…」
典韋は急いで後を追いかけた。
それから二人は鍛練に励んでいった。
鍛練に励んだ二人は大量の汗をかいたが久しぶりに動いた為かすっきりした様子であった。
「典韋、鍛練に付き合ったんだから何か奢れよ〜」
「ああ、わかった。お茶と肉まんでいいか?」
「オラ、大好きな食べ物だからいいよ」
許チョは笑顔を浮かべた。
典韋はその笑顔を見て見とれてしまう。
「…典韋、典韋、どうしたんだ?」
「いや、何でもない。今持ってきてやるから此処で待ってろ…」
「あっ、うん…」
典韋はそう言い残し、許チョを残して厨房に向かった。
(やばい、また見とれてたなんて。やっぱり許チョは可愛いな。あの身体を抱きしめて触れていたくなるな…)
典韋は照れながらも厨房に入ると二人分のお茶と肉まんを用意してもらい許チョの元へと向かった。
「待たせたな許チョ…」
「ううん、典韋、顔が赤いぞ?」
「何でもない気にするな…」
「わかったよ…」
「ほら、お前の分だ」
「ありがとうな、典韋…」
典韋は許チョにお茶と肉まんを渡した。
許チョは嬉しそうに笑いながら受け取ると早速、待ちきれなかったのか肉まんをほうばる。
「うまいだ〜、やっぱり肉まんは最高だな」
「そうだな…」
許チョにつられ典韋も肉まんをほうばる。
ジュワリと肉まんの味が口内に拡がる。
その肉まんを味わいながら典韋は隣にいる許チョを見る。
許チョは笑顔で肉まんをほうばり、幸せそうな笑顔を浮かべている。
そんな姿を見て典韋はクスっと笑った。
「許チョ…」
「何だよ?」
「口元にお弁当がついているぞ…」
典韋は許チョの口元にゆっくりと近づくと唇を重ねた。
「うっ、んん…んう〜」
典韋は許チョの唇を舌で軽く舐めてゆっくりと唇を離した。
「なっ、何をするだ!」
「何って食べかすを取ってやっただけだろ…」
許チョは恥ずかしいのか顔を真っ赤に染めた。
その仕種が可愛いと思った。
「オラ、恥ずかしいだよ…こんな事」
「嫌だったか?」
「そんな嫌だなんて…典韋にされるのは嫌じゃなかった」
「許チョ、お前…」
「オラ、典韋の事が好きだから」
「許チョ…!」
典韋は嬉しくて思わず許チョを抱きしめた。
「俺も許チョが好きだぜ!」
「典韋…」
典韋の温もりを感じながら許チョは更に顔を真っ赤に染めた。
互いの気持ちを知りさらに嬉しくなった。
「許チョ、これからは俺の事を思ってくれたら嬉しいんだが」
「オラが典韋の事を思っていれば嬉しいのか?」
「ああ…」
(やはり恋愛よりも食い気か…)
「なら、典韋もオラの事を思ってよ」
「ああ、俺はずっと許チョを想っている。好きなんだ」
「だったら、想ってあげるだよ」
「許チョ…愛してる」
典韋は許チョの、その言葉を聞いて再び唇を重ねたのであった。
終
操仁
夢を描くのは人に生まれたから。
自分も人であったら良かったのに。
羨ましかった貴方が。
どうした自分は無様なんだろう?
貴方の傍に居られたらどんなに良かったのに。
苦しみ悲しみ痛み全てを分かち合えたら良かったのに。
それさえも出来ない。
だから別れが来る時、貴方は私を想い涙を流すでしょう。
そんな姿を見たくはない。
ただ貴方の為だけに。
自分は貴方に誇れる武将として生きなくてはいけない。
「子孝…」
「どうしました、殿?」
「お前はどんな事があろうとも儂は子孝だけを愛しておる」
「殿…」
嬉しかった。
その一言があれば悔いは無い。
「私はいつまでも貴方の傍に…」
この世界が終わりの時が来ても私は最後まで貴方の傍に。
「子孝、愛している」
「孟徳、私も愛してます」
私は貴方の為ならこの命差し出しても構わない。
曹仁は曹操に優しく微笑んだのであった。
終
ホウ仁
…昔から
何かを望む前に
欲しかったものは
何でも手に入った。
そんな俺に人の気持ちはそうでないと
教えてくれたのは
彼女だった。
『子孝…私、結婚することになったの。よろしければ是非とも式にいらして下さい』
好きだった彼女(おんな)が全てを打ち明けた。
だが────
俺が彼女を愛したように彼女は他の男を愛した。
彼女を忘れようと
その後も数えきれない数の女性と関係したが満たされることはなくもう二度とあんな風に誰かを愛することはないだろうと────
そう想っていたはずだった…。
「曹仁、目が覚めたか?」
「─────……っ」
「よく眠っていたので声をかけなかったが、たまには空気を入れ替えないと思ったが寒いなら窓を閉じた方が良かったか?」
「いや…構わん、それよりホウ徳…」
「何だ?」
「こっちに来い…」
ホウ徳は言われた通りに曹仁の元に来る。
「どうした?」
「もっと近くに来てくれ…」
…なのにまさか、こんな男相手にここまで本気になるとは。
本当に人の気持ちはわからないものだ…。
曹仁が口づけをするとホウ徳も応えた。
与えられる快楽に喜びを覚えて更に欲しいとホウ徳に媚びると彼は優しく応える。
この肉体は容易く手に入る事はできた。
それでも本当に
欲しいものはまだこの手には入らない。
「ホウ徳、少しは遠慮したらどうだ」
「何です、いきなり」
「激しすぎるぞ…」
「それほど若い証拠と思うが」
「加減しろ…腰が痛くて敵わん」
「せっかく二人きりなんだから雰囲気を大切にしたいんだが」
「野郎同士が雰囲気を気にする方がおかしい」
「二人っきりの時ぐらいはもっとこう…甘い雰囲気を感じたい」
「本気か…」
「でも貴方が求められるのは好きです」
なかなかしない曹仁がホウ徳を誘ったのだから余計に歯止めが出来なかった。
「それは…その」
「また貴方が誘って下さい…」
「全くお前と言う奴は…」
曹仁が溜め息をついた。
求めれば求めれば
ただ笑って受け入れる人形じゃないんだ。
それが偽りのない笑顔で曹仁を受け入れてくれる。
それがホウ徳の愛情の形だと言うのならそれでもいい…。
それでも俺は願う
ホウ徳…
お前とのこんな時間がずっと続けばいいと切に願う。
この幸せが
永遠に続きますように…。
終
劉飛
(現代パロ)
明るい日差しに照らされた部屋で彼は安らかに眠っていた。
美しい水色の瞳は、白い瞼によって閉ざされ開け放たれた窓から入ってくる風が彼の鳶色の髪をさらさらと揺らした。
庭に美しく咲き誇る百合の香りが漂う。
床に錯乱した紙が晴れた空へと舞い上がっていった。
「翼徳…」
観葉植物の多い室内を床に錯乱するものを踏まないように歩く。
ようやくたどり着いた寝台の上で眠る程好く日に焼けた陶器のような彼の頬に触れると彼の睫毛が揺れた。
ベットの脇にひざまずき、美しい手の甲に唇を押し当てる。
忠誠の証。
そして、私の独占欲ゆえの所有の印。
まだ恋愛に不慣れな私には貴方を独占する権利などないとは思うけれど。
それでも。
この思いを伝えることはできなくてもあきらめることなどできない。
この思いは…捨てられない。
ベッドに片足を乗せて身を乗り出すとギシッ、とベッドが軋んだ。
眠っている彼の、薄く開いた唇にそっと唇を重ねる。
一瞬だけ、触れ合う唇。
昔からの習慣。
誰も、知らない。
彼の額にかかった髪をかきあげ彼の耳元で囁く。
いつもと同じ、朝の風景。
「おはよう、翼徳…」
「おはよう…玄徳…」
ああこの時が私にとって幸せなのだと感じる時間なのだと実感した。
そして目覚めた張飛にゆっくりとおはようのキスを落としたのであった。
終
羽飛
(獣化ネタ)
張飛が獣化してから随分とたったある日の事。
関羽は張飛に似合う首輪を密かに探していた。
やはり今の姿のままでは外には自由に出歩く事もままならない。
それに一応は、保護という事で関羽が張飛を世話している。
張飛にとっては自由にならない不満や酒が好きな時に飲めないのだから。
それに張飛は関羽とあまり一緒にいたくない理由があるようだ。
「翼徳…ただいま」
「お帰り雲長…帰ってそうそうだが悪いんだけどこれを外してくれないか?」
張飛が言うこれとは張飛の片腕に繋がれた鎖であった。
「何を言う、鎖に繋がないと逃げるではないか…」
「俺は飼い犬じゃないんだ。幾らなんでも鎖で繋がなくてもいいじゃないか!」
「そう言うが以前にも鎖を外したとたん逃げたうえに、悪戯をしたな…拙者の髯が斬れたしな」
「あ、あれはわざとじゃないんだ。信じてくれよ…」
「信じたいが、翼徳の場合は他人に迷惑を掛けている自覚がない」
「そ、それは…」
「だから今日はお主に似合うものを購入したぞ」
「俺様に似合うもの?」
「これだ…」
関羽は張飛に首輪を見せた。
「なっ、これって首輪か?」
「そうだ…お主の首に良く似合うと思うぞ…」
関羽は首輪を見せるなりいきなり張飛の首に首輪を嵌めた。
ガチャリと首輪が付けられ、腕に繋がれた鎖を解くと首輪に鎖を繋いだ。
まるで犬が鎖で繋がれた状態であった。
「ちょ、雲長、いくらなんでも酷いよ!」
関羽は鎖を引っ張ると張飛は引き寄せられ関羽の腕の中にすっぽりと納まる。
「何、拙者の髯を切った報いを受けてもらうのだ…言う事を聞いてもらうぞ」
「そ、そんなっ!」
「それに犬にはちゃんとした躾が必要だしな…」
関羽は張飛にニッコリと微笑む。
張飛はその笑顔を見た瞬間、身体は硬直した。
これからされる行為に恐怖を感じているのであろうか張飛は身じろぐ事が出来ない。
「ああ、震えておるな…心配するな。優しく愛してやるからな…」
「ひっ、嫌あああ…!」
張飛は恐怖から悲鳴を挙げた。
関羽は張飛を押し倒すとその身体に躾と言う名の愛撫を施していった。
関羽が満足するまで張飛は散々と唏かされ続けた。
それからと言うもの関羽の躾のたわものか、張飛は関羽の側で大人しく過ごしていく事になったとさ。
終
操仁
(学園パロ)
私立無双学園の理事長である曹操は悩んでいた。
教員の一人である曹仁とあまり会う機会がない日々を過ごしていた。
優秀な教員であるとともに役員会のメンバーなのだが、曹仁は曹操に対して恋人として接してはいない。
曹操は理事長としてみているが為に態度は冷たくみえる。
従兄弟だが、好きなのは変わらない。
昔からアピールしてやっと恋人として結ばれたのだが、曹仁の態度は相変わらず変わらない。
理事長としての仕事を放りなげてしまえは秘書官である司馬懿は黙ってはいない。
「たまには子孝と一緒にいたいのお〜」
思わず溜息が漏れる。
同じ従兄弟の夏侯惇や夏侯淵に愚痴った所で悩みは解決なんてしない。
見ているだけで羨む馬鹿ップルな二人に言うだけ無駄だと言う事だ。
「何とか子孝と一緒にいる方法はないか…」
曹操は思考を働かせる。
「そうじゃ…思いついたぞ。これなら子孝と一緒にいられる!」
曹操は思いつくと呼び出す為に机に置いてあった電話から受話器を取ると内線で曹仁に連絡を取った。
内線を受けとった曹仁に連絡をすると曹仁は断る事はなく理事長室へ行くと返事を返し内線を切った。
それから暫くすると曹仁が曹操の元に訪れた。
「理事長、何用か?」
理事長室に入った曹仁は曹操に声を掛けた。
「相変わらず、他人のような態度は止めよ。今は二人っきりなんだぞ…」
曹操の言葉に曹仁は溜息をついた。
仕方ないと恋人同士として話す事にした。
「で、何の用だ。孟徳…俺は忙しいのだぞ」
「忙しいのはわかるが、最近は子孝に会えなくて寂しかったんじゃ」
曹操の呆れた言葉に曹仁はまた溜息をついた。
「そんなに寂しかったのか孟徳…」
「ああ、そうじゃ…」
曹操は曹仁の側に近寄ると抱きしめた。
「子孝は冷たい。せっかく恋人同士になったのにいつまでもつれない態度でおる…なのに関羽や妙才や元譲には優しくせっしておる」
「何だ、ヤキモチを妬いているのか?」
「悪いか。儂もお主に甘えたいし、甘えられたいのだよ…」
「それは切実な願いか孟徳?」
「ああ、切実じゃ。儂は子孝と一緒にいる時間を大切にしたい」
「だが、学園内でイチャつくのは駄目だ」
「何故だ?」
「孟徳の仕事が滞るからだ。そうなれば司馬懿の雷が落ちるぞ…」
「うっ、それは嫌だ…」
「だから仕事中は上司と部下という関係を保ちたいのだ…」
「子孝、儂の為にそこまで考えていたとは…儂は嬉しいぞ」
(本当は自分の仕事が滞るのが嫌なだけなのだが、笑顔で言われたら本当な事は言えないな…)
「まあ、今回だけはイチャついてもいいぞ。時間が許す程度だからな…」
「本当か子孝…!」
「まあ、司馬懿に見つからなければ良いが」
「邪魔したら追い出せばよい」
「おやおや、強気な発言が出たな…」
「とりあえず、寂しかった分の埋め合わせをしてもらうぞ子孝…」
曹操は曹仁をソファーに押し倒した。
「こら、孟徳、昼間っから盛るな…俺は授業とかあるんだぞ」
「知っている。そんなものは後回しだ…」
「馬鹿言うな、冗談ではないぞ!」
曹仁は曹操の頭を殴った。
「痛いぞ、子孝!」
「だから、こんな所で盛るなと言っている。やりたいのであれば今日の仕事が終わったらでいい…」
「嘘ではないのだな?」
「ああ…とりあえず、不埒な事を学園内ではしないでくれ。俺もお前もよからぬ噂が立って立場を失うのはやばいぞ」
「それはそうじゃな…だがこうして抱き合うぐらいならよいじゃろ?」
「全く勝手にしろ…時間になったら俺は戻るからな…」
「ああ…」
曹操は短い時間でも曹仁の温もりを感じる事が出来て幸せであったとさ。
終
惇淵
(学園パロ)
毎日繰り返す日常は、新鮮な出来事を突然もたらす。
保健体育を担当する夏侯淵は受け持つクラスの体育の授業をしていた。
内容はサッカーで夏侯淵が見守る中で生徒はサッカーの試合を楽しんでいた。
授業とはいえ、本格的な試合と何等変わらない。
全てに対して真剣に取り込むという授業内容。
曹操が優秀な人材を輩出する理由の一つであろう。
夏侯淵はその試合を見守りつつ腕時計を見ていた。
(そろそろ終了時間だな…)
夏侯淵は決められた時間内に試合を終わりを告げる為に腕時計を見ていた最中であった。
生徒が蹴ったボールが夏侯淵に向かっていき、そして側頭部にヒットした。
「あぐっ…!」
突然の痛みにぐらつき地面に倒れ附した。
倒れた夏侯淵に生徒が集まる。
「先生、夏侯淵先生、しっかりして下さい!」
生徒が声を掛けるが夏侯淵はピクリとも反応しない。
「どうしよう、先生が…」
「俺、先生を呼んでくる!」
生徒の一人が職員室に向かった。
向かった職員室には調度休憩中の夏侯惇がいた。
「先生、大変です!」
「どうした、そんなに慌てて?」
「夏侯淵先生が授業中に倒れて動かないんです!」
「何だと!直ぐに案内しろ」
「はい!」
夏侯惇は生徒の後をついていき、グランドに向かった。
グランドでは未だに夏侯淵は地面に横たわり動かない。
そして心配する生徒達が見守っていた。
「淵、しっかりしろ…」
夏侯惇が駆け付けると身体を起こし声を掛ける。
「一体何があった。説明しろ…」
「サッカーの試合をしていたのですが蹴ったボールが先生の側頭部に当たって倒れたんです」
不良の事故とはいえ、ピクリとも動かない夏侯淵に生徒は泣き出す者もいた。
「心配するな…ただの、脳震盪だ。とりあえず保健室へ連れていく、お前達は教室へ戻れ。次の授業があるだろ」
「わかりました…」
生徒達にそういうと夏侯惇は夏侯淵を姫抱きして保健室へと連れて行った。
生徒達は二人を見送ると教室へと向かった。
保健室に辿りついた夏侯惇は用意された簡易ベッドに夏侯淵を横たわせた。
夏侯惇はベッドの側にあった椅子に腰掛けた。
横たわる夏侯淵を静かに見ていた。
まさかあの淵がこんなヘマをするとは。
生徒ならともかく、教える側である教員が倒れるのはあってはならない。
生徒に心配させて不安になるからだ。
(とりあえず頭を冷やして楽にさせるか…)
夏侯惇は夏侯淵のジャージのチャックを開くと胸元を解放させた。
そしてタオルを見つけると水で濡らしよく絞り濡らしたタオルを夏侯淵の額に置いて冷やした。
それから暫くすると夏侯淵は意識を取り戻した。
「…あっ、…っ」
「目覚めたか淵?」
「惇兄…俺、何で寝ているんだ?」
意識が朦朧としていて意識を失う前の事を覚えていないようだ。
「試合中にボールが頭に当たって脳震盪を起こしたんだ。覚えてないのか?」
「ああ、そういえばそうだったな…」
やっと意識を回復した夏侯淵は寝ていた状況を把握した。
「全く、生徒達を心配させるな。不注意も程があるぞ…」
「たはは、面目ないな…」
「それに俺に心配掛けさせるな。倒れた姿を見て心臓が止まるかと思ったぞ…」
「うん、ごめんな…」
「淵が目覚めて本当に良かった」
夏侯惇は夏侯淵の頬を撫でた。
「暫くは安静に寝ていろ…側にいてやるから」
「ありがとう惇兄…」
夏侯淵はニッコリと笑顔を浮かべた。
その笑顔を見た夏侯惇は安心した。
この様子だともう安心だと感じた。
「淵…」
「何、惇兄…?」
夏侯惇はゆっくりとキスをすると夏侯淵は驚きに目を見開いた。
深くキスをされて夏侯淵は夏侯惇にされるがまま相手をする。
口内に差し込まれた舌に絡み付き強く吸っていく。
「んっ…んんっ…ふっ」
夏侯惇が唇を離すと夏侯淵はベッドの中でぐったりしていた。
「んあ…はっ、何で?」
「俺を心配させた罰だ…文句は言わせんぞ」
「そんな…惇兄の馬鹿ぁ」
「聞く耳はもたんぞ…」
「恥ずかしいからこんな所でするなよな」
「拗ねるな…此処は二人っきりなんだから。後で生徒達に謝罪しておけ、随分心配していたからな…」
「了解した…」
夏侯惇は夏侯淵の髪を指先で梳いた。
夏侯淵はもう暫くは此処で横になっておこうと、目を閉じたのであった。
終
羽飛
(学園パロ)
都内某所にある私立無双学園。
幼稚園から大学院まであるエスカレーター式の学園では大多数の教員と生徒数を誇る。
理事長の曹操が優秀な生徒を育てるべくスカウト等があり実力のある若手を多く輩出させた。
そんな学園でも優秀な教員がいるからこそ生徒が育つ。
国文を担当する関雲長は生徒の中では有名で多くの生徒が尊敬する。
だが関羽には同じ教員で義兄弟の張翼徳に恋愛感情を持っていた。
関羽の想い人である張飛は家庭科を担当する教員。
見た目に反して手先は器用。
料理上手で有名で女性徒は尊敬し、昼休みや調理実習の時は張飛に指導してもらう者が沢山いる。
そして張飛は自分が作った料理やお菓子を教員仲間や生徒に振る舞う事もある。
だから男子生徒も張飛の事を密かに思う生徒は多数いるが当の本人は気づいてはいない。
たまに天然な所がある張飛を関羽は可愛いと思っている。
そんなある日の事。
関羽は授業が終わり職員室に戻ると張飛が自分の机の上で書類作りをしていた。
「どうした翼徳…?」
「あっ、雲長か。授業終わったのか」
「ああ、先程な…」
「もうすぐ中間テストだろ、その問題用紙の作成だ」
「そうだったな…拙者も問題用紙を作成しないといけないな」
「今回はどの範囲で出すかで悩んでる」
「まあ、生徒に教えた事を復習を兼ねるようなものだからな…」
「まあ、俺様なりに作ればよいか」
「今日は早く帰れるか?」
「えっ?」
「たまには一緒に帰って過ごしたいものだ」
関羽は張飛の手を握ると手の甲に唇を落とした。
「…雲長、恥ずかしいから止めろって」
「相変わらずだな…でもそんな所が可愛いぞ…」
関羽は張飛の耳元で囁く。
「そろそろ、翼徳が欲しくなった…今夜は沢山愛してやるからな」
「なっ、ちょっ、雲長っ!」
「下校時にまたな…」
関羽はそう言うと自分の席へと戻り仕事をする。
突然の夜の誘いに張飛は顔を赤く染めた。
それからは仕事処ではなくなり集中も出来なくなった。
(雲長の馬鹿、あんな事言うから…)
恥ずかしくて仕方ない。
久しぶりにみた、欲望を含んだ瞳で見られたのは。
最近は確かに音沙汰無しだったが、久しぶりに抱かれるのは悪くはない。
明日は二人とも休日だからだ。
久しぶりに一緒に過ごせるのは嬉しいものだ。
それから下校時になり、関羽は張飛の手を握り学園を出て自宅へと向かう。
「なあ、雲長…」
「何だ?」
「久しぶりに雲長に料理作ってやるからスーパーに寄っていいか?」
「ああ、構わんぞ。翼徳の手料理は美味いから好きだな」
「嬉しい事言ってくれるな…雲長の好きなものを作ってやるよ」
「そうか…」
二人は近くのスーパーに向かった。
張飛は関羽が好きな物を作る楽しみがあり食材を選んで購入した。
「雲長、早く帰ろうな…」
「ああ…」
二人は久しぶりに一緒に過ごす時間を満喫していった。
終
惇淵
貴方を独占したいと思った。
優しい貴方を自分だけ見て欲しかった。
自分は一応は恋人なのだけど。
優しい貴方には、ふさわしくないかもしれない。
「ねえ…惇兄」
夏侯淵が話し掛けた。
「何だ、淵?」
夏侯惇は、目線を合わせてくる。
「あのね、抱き締めてくれる?」
夏侯淵は恥ずかしそうに話す。
「どうしたんだ?」
夏侯惇、訳がわからないが否定はしなかった。
無言で優しく夏侯淵を抱き締めた。
「暖かくて気持ちいいや…」
「寂しかったのか?気付かなくてすまん…」
「ああ、寂しかったよ。惇兄が俺にかまってはくれない。俺はもっと惇兄と一緒にいたいのに」
夏侯淵は寂しい思いを夏侯惇に伝えた。
「もう、寂しい思いをしなくて良い。俺が淵の側にいてやるから」
夏侯惇は夏侯淵に微笑んだ。
広い心の持ち主な夏侯惇に感謝したい。
「ありがとう、惇兄…」
嬉しさのあまりに涙を流した。
小さい月は暖かい太陽に抱かれる。
もう、寂しくはない。
側には優しい貴方が居るから。
それ以来、夏侯淵は夏侯惇の側で笑顔を絶やさずに浮かべていたのであった。
終
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