小ネタ集
劉飛

(現代パロ)


明るい日差しに照らされた部屋で彼は安らかに眠っていた。

美しい水色の瞳は、白い瞼によって閉ざされ開け放たれた窓から入ってくる風が彼の鳶色の髪をさらさらと揺らした。

庭に美しく咲き誇る百合の香りが漂う。

床に錯乱した紙が晴れた空へと舞い上がっていった。

「翼徳…」

観葉植物の多い室内を床に錯乱するものを踏まないように歩く。

ようやくたどり着いた寝台の上で眠る程好く日に焼けた陶器のような彼の頬に触れると彼の睫毛が揺れた。

ベットの脇にひざまずき、美しい手の甲に唇を押し当てる。

忠誠の証。

そして、私の独占欲ゆえの所有の印。

まだ恋愛に不慣れな私には貴方を独占する権利などないとは思うけれど。

それでも。

この思いを伝えることはできなくてもあきらめることなどできない。

この思いは…捨てられない。

ベッドに片足を乗せて身を乗り出すとギシッ、とベッドが軋んだ。

眠っている彼の、薄く開いた唇にそっと唇を重ねる。

一瞬だけ、触れ合う唇。

昔からの習慣。

誰も、知らない。

彼の額にかかった髪をかきあげ彼の耳元で囁く。

いつもと同じ、朝の風景。

「おはよう、翼徳…」
「おはよう…玄徳…」

ああこの時が私にとって幸せなのだと感じる時間なのだと実感した。

そして目覚めた張飛にゆっくりとおはようのキスを落としたのであった。





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18th.Jun.2011


 
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