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ホウ仁

※OROCHI2 オリジナル衣装ネタ。

世界を救う為に、妖蛇達と戦う日々が続くある日の事であった。
新しい衣装を新調するとは聞いてはいなかった曹仁は張コウにいきなり衣装を渡されて困惑していた。
「いつも同じ衣装では汚れが目立ってくるし、鎧の手入れも出来ないでしょう…この新しい衣装を是非着て下さいませ」
「確かに一利有るな。あ、ありがたく頂く…」
曹仁は張コウの迫力にたじろぎながら衣装を受けとった。
「派手な色合いだな…金色に近いような色をしてるな」
鎧を見るなり曹仁は思った。
せっかくいただいたのだ着てみる価値はある。
曹仁は誰もいない場所を探して着替えたのであった。
黄金色の鎧に包まれた曹仁。
気になったのは獣の尻尾のような部分。
これは着けるべきなのか悩む。
とりあえず張コウ殿に聞いてみるしかない。
「張コウ殿…尋ねたい事がある」
「どうされました曹仁殿?ああ、早速着て下さいましたね。似合いますよ…」
張コウはうっとりと曹仁の姿を見て呟く。
「この尻尾のような部分は着けるべきなのか?」
「ええ…、これは着けないと意味がなさないのですよ」
「何故だ?」
「ぶんぶく茶釜と言う物語に出てくる狸をモチーフにした鎧ですから」
「狸だと?」
「曹仁殿…尻尾は私が付けさせていただきます」
張コウは曹仁から尻尾を奪い取ると曹仁の背後に回り素早く装着した。
「張コウ殿、恥ずかしいから尻尾は取ってくれ」
「駄目ですよ、張遼殿も嫌がらずに猫耳と尻尾を着けてますから。
張コウが指さす方向を見ると張遼が猫耳付きの帽子と尻尾を着けている姿が見えた。
「あれは長靴を穿いた猫をモチーフにした衣装です」
張コウは自信満々に呟く。
「張遼殿…違和感なく似合うな」
「私が見立てた衣装ですからね…曹仁殿、最初は恥ずかしいですがそのうち慣れてきますよ」
張コウの言葉に曹仁は断れなかった。
「わかった…」
曹仁が折れる形で新しい鎧を着るしかなかった。
曹仁が動くと尻尾がフサフサと動いて何故か違和感を感じてならない。
「曹仁殿、その姿は?」
「ホウ徳殿…」
ホウ徳はいつもと変わらぬ姿のままであったのが不思議であった。
「張コウ殿が新しく仕立てた鎧だ。変じゃないか?」
「似合いますぞ曹仁殿…」
「鎧はともかく、この尻尾がミスマッチだと思うのだが?」
「曹仁殿だから似合うと張コウ殿が仕立てたのであろう。拙者は似合うと思うのだが…」
「ホウ徳殿がそう言うなら私はこの鎧を着ていよう…」
曹仁は顔をうっすらと紅く染めた。
「ホウ徳殿はまだ新しい衣装は用意されてないのか?」
「うむ…私の衣装はまだだと張コウ殿が言っていたのだ。どういう衣装がくるのがわからんが嫌な予感がしてならない」
ホウ徳は珍しく不安げに呟く。
「大丈夫だ。ホウ徳殿…張コウ殿を信じようぞ」
「ああ…」
ホウ徳は曹仁を抱きしめた。
「こうして二人っきりになるのは久しぶりだな」
「そうだな…ホウ徳殿が最近構ってくれないから寂しかったぞ」
「それは済まなかったな。曹仁殿…」
ホウ徳は曹仁に軽く口づけを落とした。
「拙者は離れていても曹仁殿を好いているから案ずるな…」
「ああ…」
「曹仁殿が尻尾を付けている姿がまた可愛いいものだな」
「ホウ徳殿、あまりそのような事を言わないで下され…」
「恥じらう姿も可愛いな…」
ホウ徳はクスっと笑い、曹仁の身体を優しく撫でた。
「暫くはこのままでいたい…」
「曹仁殿が望むままに」
久しぶりに二人っきりで過ごしたのであった。



後日、張コウがホウ徳の為の衣装を用意した。
ホウ徳は早速着てみたがその姿に全員、黙ってしまった。
「張コウ殿、この衣装のモチーフはなんだ?」
曹仁は張コウに聞いてみた。
「くるみ割り人形をモチーフしてみました」
「そうか…」
(ホウ徳殿、憐れだな…)
流石になんて言ってよいものか全員言葉を濁すかのように呟く事すらできない。
「ホウ徳殿、新しい衣装が出来て良かったですな…」
「ああ…だが、これは拙者には似合わないと思うのだが」
「しかし、張コウ殿がせっかく用意したのですから着てあげて下され」
「曹仁殿…曹仁殿がそう言うなら拙者は着ようぞ」
ホウ徳は曹仁に促されるように新しい衣装を着る事になったとさ。




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26th.Mar.2012



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