嘉飛
「一緒にお酒を飲みませんか?」
最初に声を掛けたのは美しい金髪をした青年。
「どうして俺なんだ?」
虎髭を生やす男は青年に問い返す。
「私は貴方に興味があるのですよ…」
青年は男に微笑む。
「いけすかねえ…なにを企んでいる?」
男は青年に警戒しているのか眉間に皺が寄る。
「もしかしたら星彩に手を出す気か?」
「いえ、美しいお嬢さんよりも私は貴方に興味があります。だからそんなに警戒しないでください…」
青年は男に近づいて呟く。
「どうして俺なんだよ…?」
男は更に青年に問い返す。
「敢えて言うならば私が貴方を好きですから。美しいお嬢さん達よりも魅力的で興味を持ったのは初めてなんでね」
「好きだなんて信じられない」
男はを否定する。
「貴方をもっと知りたいのです、だから一緒に飲みませんか?」
「一緒に呑むのはよいが、俺はお前を好まねえぜ、それでもか?」
「是非、私とお付き合い下さい。戯れでも貴方と一緒にいられるのは嬉しい」
「馬鹿な奴だ…」
男は溜め息をついた。
私は貴方にとって心に刻めれる存在になりたい。
忘れる事がないように。
「今宵は楽しみましよう張飛殿…」
「勝手にしろよ…」
青年は男の手を掴み、歩みを進めた。
触れた手は温かな温もりで忘れる事が出来ないのであった。
終
蝶淵
足りない、足りない、足りない。
自分が自覚していないのが悪かった。
無意識にアナタを目に映す。
その姿を見ずにはいられない。
美しいアナタを欲している自分はなんて醜い。
自分の想いはアナタの美しさを損なう。
なんて愚かであろう。
それでも想わずにはいられない。
ああ、私はアナタを想い、無意識にアナタを見ていた。
私はアナタに恋をしている。
だから、気高いアナタに触れる事が出来るのは奇跡でしょう。
将軍の為に私は今日も美しさを極め、アナタが私を意識してくれたらいい。
私はアナタを愛しているとやっと自覚出来た。
誰よりもアナタを一番に愛しています。
だから私を見て下さい夏侯淵将軍。
私はアナタの為の華になりたいのですよ。
終
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