惇淵
(学園パロ)
毎日繰り返す日常は、新鮮な出来事を突然もたらす。
保健体育を担当する夏侯淵は受け持つクラスの体育の授業をしていた。
内容はサッカーで夏侯淵が見守る中で生徒はサッカーの試合を楽しんでいた。
授業とはいえ、本格的な試合と何等変わらない。
全てに対して真剣に取り込むという授業内容。
曹操が優秀な人材を輩出する理由の一つであろう。
夏侯淵はその試合を見守りつつ腕時計を見ていた。
(そろそろ終了時間だな…)
夏侯淵は決められた時間内に試合を終わりを告げる為に腕時計を見ていた最中であった。
生徒が蹴ったボールが夏侯淵に向かっていき、そして側頭部にヒットした。
「あぐっ…!」
突然の痛みにぐらつき地面に倒れ附した。
倒れた夏侯淵に生徒が集まる。
「先生、夏侯淵先生、しっかりして下さい!」
生徒が声を掛けるが夏侯淵はピクリとも反応しない。
「どうしよう、先生が…」
「俺、先生を呼んでくる!」
生徒の一人が職員室に向かった。
向かった職員室には調度休憩中の夏侯惇がいた。
「先生、大変です!」
「どうした、そんなに慌てて?」
「夏侯淵先生が授業中に倒れて動かないんです!」
「何だと!直ぐに案内しろ」
「はい!」
夏侯惇は生徒の後をついていき、グランドに向かった。
グランドでは未だに夏侯淵は地面に横たわり動かない。
そして心配する生徒達が見守っていた。
「淵、しっかりしろ…」
夏侯惇が駆け付けると身体を起こし声を掛ける。
「一体何があった。説明しろ…」
「サッカーの試合をしていたのですが蹴ったボールが先生の側頭部に当たって倒れたんです」
不良の事故とはいえ、ピクリとも動かない夏侯淵に生徒は泣き出す者もいた。
「心配するな…ただの、脳震盪だ。とりあえず保健室へ連れていく、お前達は教室へ戻れ。次の授業があるだろ」
「わかりました…」
生徒達にそういうと夏侯惇は夏侯淵を姫抱きして保健室へと連れて行った。
生徒達は二人を見送ると教室へと向かった。
保健室に辿りついた夏侯惇は用意された簡易ベッドに夏侯淵を横たわせた。
夏侯惇はベッドの側にあった椅子に腰掛けた。
横たわる夏侯淵を静かに見ていた。
まさかあの淵がこんなヘマをするとは。
生徒ならともかく、教える側である教員が倒れるのはあってはならない。
生徒に心配させて不安になるからだ。
(とりあえず頭を冷やして楽にさせるか…)
夏侯惇は夏侯淵のジャージのチャックを開くと胸元を解放させた。
そしてタオルを見つけると水で濡らしよく絞り濡らしたタオルを夏侯淵の額に置いて冷やした。
それから暫くすると夏侯淵は意識を取り戻した。
「…あっ、…っ」
「目覚めたか淵?」
「惇兄…俺、何で寝ているんだ?」
意識が朦朧としていて意識を失う前の事を覚えていないようだ。
「試合中にボールが頭に当たって脳震盪を起こしたんだ。覚えてないのか?」
「ああ、そういえばそうだったな…」
やっと意識を回復した夏侯淵は寝ていた状況を把握した。
「全く、生徒達を心配させるな。不注意も程があるぞ…」
「たはは、面目ないな…」
「それに俺に心配掛けさせるな。倒れた姿を見て心臓が止まるかと思ったぞ…」
「うん、ごめんな…」
「淵が目覚めて本当に良かった」
夏侯惇は夏侯淵の頬を撫でた。
「暫くは安静に寝ていろ…側にいてやるから」
「ありがとう惇兄…」
夏侯淵はニッコリと笑顔を浮かべた。
その笑顔を見た夏侯惇は安心した。
この様子だともう安心だと感じた。
「淵…」
「何、惇兄…?」
夏侯惇はゆっくりとキスをすると夏侯淵は驚きに目を見開いた。
深くキスをされて夏侯淵は夏侯惇にされるがまま相手をする。
口内に差し込まれた舌に絡み付き強く吸っていく。
「んっ…んんっ…ふっ」
夏侯惇が唇を離すと夏侯淵はベッドの中でぐったりしていた。
「んあ…はっ、何で?」
「俺を心配させた罰だ…文句は言わせんぞ」
「そんな…惇兄の馬鹿ぁ」
「聞く耳はもたんぞ…」
「恥ずかしいからこんな所でするなよな」
「拗ねるな…此処は二人っきりなんだから。後で生徒達に謝罪しておけ、随分心配していたからな…」
「了解した…」
夏侯惇は夏侯淵の髪を指先で梳いた。
夏侯淵はもう暫くは此処で横になっておこうと、目を閉じたのであった。
終
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12th.Jun.2011
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