典許
曹操の護衛がない時は、暇を持て余す。
典韋は身体を鍛える為に鍛練は欠かせないと鍛練場に向かう。
だが一人では鍛えるには限界があった。
典韋は同じ曹操の護衛である許チョを誘う。
「許チョ、一緒に鍛練をしないか?」
「典韋…オラはいいよ」
「何を言うか、鍛えておかないといざという時は殿を護れないぞ!」
「疲れるから嫌だ〜!」
「鍛練が終わったら何か奢るから付き合え…」
「わかっただよ…」
典韋は許チョを連れて鍛練場に向かった。
食い物には目がない許チョを釣るには一番な方法なんだが。
(たまには俺にだけを意識して欲しいんだが…)
典韋は密かに許チョを好いていた。
あのぽっちゃりした体型で意外に可愛い仕種をするのだ。
だからたまに抱きしめるとあの柔らかさが堪らないのだ。
周囲がどう思おうと典韋は許チョが側に居れば幸せであった。
「典韋〜、早く来いよ。早く鍛練しよう〜」
「ああ…」
典韋は急いで後を追いかけた。
それから二人は鍛練に励んでいった。
鍛練に励んだ二人は大量の汗をかいたが久しぶりに動いた為かすっきりした様子であった。
「典韋、鍛練に付き合ったんだから何か奢れよ〜」
「ああ、わかった。お茶と肉まんでいいか?」
「オラ、大好きな食べ物だからいいよ」
許チョは笑顔を浮かべた。
典韋はその笑顔を見て見とれてしまう。
「…典韋、典韋、どうしたんだ?」
「いや、何でもない。今持ってきてやるから此処で待ってろ…」
「あっ、うん…」
典韋はそう言い残し、許チョを残して厨房に向かった。
(やばい、また見とれてたなんて。やっぱり許チョは可愛いな。あの身体を抱きしめて触れていたくなるな…)
典韋は照れながらも厨房に入ると二人分のお茶と肉まんを用意してもらい許チョの元へと向かった。
「待たせたな許チョ…」
「ううん、典韋、顔が赤いぞ?」
「何でもない気にするな…」
「わかったよ…」
「ほら、お前の分だ」
「ありがとうな、典韋…」
典韋は許チョにお茶と肉まんを渡した。
許チョは嬉しそうに笑いながら受け取ると早速、待ちきれなかったのか肉まんをほうばる。
「うまいだ〜、やっぱり肉まんは最高だな」
「そうだな…」
許チョにつられ典韋も肉まんをほうばる。
ジュワリと肉まんの味が口内に拡がる。
その肉まんを味わいながら典韋は隣にいる許チョを見る。
許チョは笑顔で肉まんをほうばり、幸せそうな笑顔を浮かべている。
そんな姿を見て典韋はクスっと笑った。
「許チョ…」
「何だよ?」
「口元にお弁当がついているぞ…」
典韋は許チョの口元にゆっくりと近づくと唇を重ねた。
「うっ、んん…んう〜」
典韋は許チョの唇を舌で軽く舐めてゆっくりと唇を離した。
「なっ、何をするだ!」
「何って食べかすを取ってやっただけだろ…」
許チョは恥ずかしいのか顔を真っ赤に染めた。
その仕種が可愛いと思った。
「オラ、恥ずかしいだよ…こんな事」
「嫌だったか?」
「そんな嫌だなんて…典韋にされるのは嫌じゃなかった」
「許チョ、お前…」
「オラ、典韋の事が好きだから」
「許チョ…!」
典韋は嬉しくて思わず許チョを抱きしめた。
「俺も許チョが好きだぜ!」
「典韋…」
典韋の温もりを感じながら許チョは更に顔を真っ赤に染めた。
互いの気持ちを知りさらに嬉しくなった。
「許チョ、これからは俺の事を思ってくれたら嬉しいんだが」
「オラが典韋の事を思っていれば嬉しいのか?」
「ああ…」
(やはり恋愛よりも食い気か…)
「なら、典韋もオラの事を思ってよ」
「ああ、俺はずっと許チョを想っている。好きなんだ」
「だったら、想ってあげるだよ」
「許チョ…愛してる」
典韋は許チョの、その言葉を聞いて再び唇を重ねたのであった。
終
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27th.Jun.2011
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