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ジャンル入り混じります。ご了承ください。
趣味のクロスオーバーもあるかも
・完結見込みのない話も置いてあります。


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The last final 32
(ロキド) 2017/03/11


「トラファルガー…」

涙の滲む声が呼ぶ。

「…トラ…ファルガー……」
「……キッド」
「っ……うう……」
何度も繰り返し呼ぶ声に応えると虚ろだった瞳に光が戻る。
何処を見ているかわからなかった目が夢から覚めるようにおれを映し、くしゃりと顔を歪めて嗚咽を上げた。
それでも泣くのを堪えようとする素振りを見せる男の身体を強く穿つ。
「…っあ!…っ、ふ…あっ、ああ…」
堰を切ったように熱に浮かされた喘ぎと涙を溢れさせながら、ユースタス屋はおれの背中を掻き抱いた。
ぐずぐずと鼻を啜り、身体を穿つたびに漏れ出る声を震わせて、そろりそろりと爪を肉に食い込ませながら。
「トラファルガー」
肩口に顔を埋め、歪な傷に唇を寄せてユースタス屋は おれ を呼ぶ。
ユースタス屋の乱れた髪を梳かし、泣き腫らした瞼に、濡れた頬に、苦しげに開く唇に口づけた。




籠っていた部屋の空気を息苦しく感じて窓を開ける。いつの間にか降りだしていた雨が、まだ夜が明けきらぬ街を濡らしていた。
風は無く、雨水が吹き込んで来ることはないが部屋と変わりのない湿った空気では窓を開けた意味も無くしてしまった。
男は…。ユースタス屋はすっかり寝入ってしまっている。

汗の通る隙間もないほどに身体を重ねて、言葉の代わりにキスを交わした。
意外と。そう…意外と。熱烈に求められたお陰でおれの背中はひっかき傷だらけだろう。
熱を晴らしたユースタス屋は、ここ最近の生活も祟ってかぱたりと意識を手放して無防備に眠っている。
うっすらと隈の浮かんだ目元は明らかな疲労の所為だ。
「…夢も見ねェだろうなこの様子じゃあ」
今日ばかりは夢を見たところできっと見たことすら忘れるだろう。
涙の痕も残っている頬に触れても眠りの妨げにはならなかった。
「………」
「フフ……」
唇が音にならない寝言を言っている。

開けた窓から聞こえてくる雨音が少し強くなった。恐らくこの雨は一日中降り続けるだろう。
窓を閉めると雨音は少し遠ざかる。
代わりにゆっくりとした規則正しい寝息が良く聞こえてきた。
「流石に狭いな…」
今日はゆったりと身体を仰向けにして寝ているユースタス屋の横に寝転ぶ。
もう少し壁際に追いやりたいところだが、流石に起こしてしまうだろう。
身体を横向きにしてユースタス屋の上に片腕を被せて目を閉じる。

目が覚めた時、ベッドの下に寝てたら男に蹴落とされたのだと思おう。





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とてつもなく久々の更新でした。




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