NOTE
ジャンル入り混じります。ご了承ください。
趣味のクロスオーバーもあるかも
・完結見込みのない話も置いてあります。


CATEGORIES

雑記
ロキド
いつも隣りに
ロキド以外
クロスオーバー
JOJO
DMC
BSR


ARCHIVES

2017年3月
2016年5月
2015年7月
2015年5月
2015年4月
2015年3月
2015年1月
2014年1月
2013年9月
2013年4月
2013年3月
2013年1月
2012年12月
2012年11月
2012年9月
2012年8月
2012年7月
2012年6月
2012年5月
2012年4月
2012年3月



The last final 21
(ロキド) 2013/09/13

夢を見た。細部まで覚えてはいないけれどそれはローの夢だった気がする。
何かを話すローの声は聞こえなかった。パクパクと動く唇を読み解こうとおれは必死になっていたような気がする。
手を伸ばしてもローは遠ざかるばかりなのに、おれの頬を拭ったのは、誰の指だったのだろうか。




差し込んできた朝の光に起こされる。窓を見ればカーテンが少しだけ開いていていた。しっかり締めなかったのだろうかと昨夜のことを思い出しながら、ふと己の横を見る。
トラファルガーの姿がなかった。
「…いない…」
シーツを撫でてみても温もりは残っていなかった。先に起きているのだろうかと耳をそばだてても部屋のどこからも物音や気配を感じられなかった。
「彼奴の世界に帰ったのか…?」
その呟きに帰ってくる声もなく、外から聞こえる車や生活音に掻き消される。
ローの夢のあとに、似た存在とは言え彼が居なくなっていることが哀しく思えた。胸に冷たい何かか流れ込んでくるような気さえする。
「……」
動かなければ。仕事もあるし、と立ち上がるとそれが目に入った。トラファルガーの刀だ。
これを持たずに帰ったのか…?手を伸ばしかけたところで、玄関のドアノブが回る音がした。
「…!…トラファ…」
「あぁ…。起きてたか」
外に出ていたのか、トラファルガーは部屋に入るなりドサリとベッドに仰向けに寝転んだ。その時丁度アラームが鳴り、トラファルガーはその方向を見ずに少しだけ後ろに伸ばした手で煩わしい音を止める。
「何処…行ってたんだ…?」
「その辺だ。…お前には関係ない」
そう言って目を閉じてしまった彼は、今から寝るつもりなのだろうか。詮索をするなと暗に言われたその言葉におれの言葉は続かなかった。

朝の支度をして、ベッドに寝そべったきりそのままの姿で動かない彼をチラリと伺う。目を閉じてはいるがきっと寝ていないだろう。
軽い朝食を飲み物と共に流し込み、居心地の悪い部屋から彼に声を掛けることなく出た。
彼の分の朝食はテーブルにそのまま…気が向けば食べるだろうし、食べないならそれでいい。

彼は同じベッドで過ごすことに飽きただけだろう。怪我も治ったと自分で言っていたし。行こうと思えば何処にだって…だから、何処へでも行けばいいんだ。


(ロー…)
お前を焦がれる思いだけが膨らんでいく。






The last final 20
(ロキド) 2013/09/12

「…ロー…」
ぽつりと閉じた瞼から水が落ちていく。暗がりに慣れた眼でそれは十分に見て取れた。
ぐずりと涙にぬれた声音がおれのものではない名を呼ぶ。
夢の淵での再会を果たしているのか、それとも別れの際を繰り返し見ているのか…男の夢を覗き見ることなんてできないので、泣いている理由もわからなかった。
時折動く指先は何を求めているのだろうか。
だが、夢の中の『ロー』は男を連れて行くことはないだろう。姿を見せては離れて行くはずだ。
男を…ユースタス屋を置いて。
「苦しむなら見なければいい…」
夢は記憶の焼回しだ。
「そいつを焦がれて今さら何になる。夢に逃げてその度に泣くつもりか」
眠る男に語りかければ固く拳を握っていた。浅い夢に眼球が動き瞼を震わせている。
「馬鹿な男だ」
濡れた目尻に指を這わせ、涙を拭ってやった。
ふ、と息を吐きくたりとこちらを向く横顔を異様に明るい月明かりが映し出していた。




HOME

×