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ジャンル入り混じります。ご了承ください。
趣味のクロスオーバーもあるかも
・完結見込みのない話も置いてあります。


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The last final 30
(ロキド) 2015/05/03

ローの息がすっかり落ち着いて、気が付けば公園を囲んでいる木の向こうに見える家に明かりが灯っていた。
お互い一言も発さないままで何してるんだろ…と、馬鹿らしい気持ちになってきた。
喧嘩の続きをしたいとは勿論思わない。でも謝るのも嫌だった。
気になるのはローのことだ。なんでここに来たんだろう…チラリと横目で見れば、まだ不服そうな仏頂面をしていた。ローにも謝る気はなさそうなのはその表情で分かった。
「バカみたいに根競べってやつ?いい加減腹も減ってたし、お互いに腹ん中ですっげー文句言ってたと思う」
足を組みなおしたり、意味もなく頭を掻いたり…次第に落ち着きなくなっていった。



そしたら段々…心配になって来たんだ。あいつも腹減ってんじゃねーのかとか、早く帰った方が身の為なのに…と。
足元の砂利をざりざりと鳴らしながら、ついに痺れを切らしたおれはボソボソと声を出した。
『んだよ…』
『なにが』
ローが横目でおれを見ながら返事を返す。どっちも不機嫌で掠れた声だった。
『なんで居んの』
『…お前が出てったからだろ』
『…はァ?』
『お前が帰らねェならおれも帰れねェ』
『意味わかんねーし』
『折半してんのに片方だけ出てって外に居るんじゃ不公平だろ』
『んだよ…それ』
『うるせぇ』
舌打ちとため息を散々聞かせ合って平行線のままただ時間が過ぎた。隣りでくしゃみをしたローが鼻をすする。
息を切らしてここに来たし汗が冷えたのだろうか。携帯で時間を見れば20時が回りそうで、思わず『帰れば?』とローに向かって言った。
無言で、睨むような視線だけを寄越すローにしかめっ面を返す。
『……何時だ』
ローが時間を聞いて来たので大凡の時間で『8時』と教えてやる。ここで無意味に過ごした時間を嘆くように顔を仰向けにしたローがぼんやりと空を見る。
『ここに居るって何で分かった?』
『…そっち…通った時に誰かいるのが見えた』
『おれじゃなかったらまだ探してたのかよ』
『思い当たりが全部潰れるまではな』
『…電話した方がはえーんじゃねぇの』
『したってどうせ出ねェくせに…、…?』
ローは呆れたように溜息を混ぜ言い捨てながら、はたとジーンズのポケットを弄った。一通り確認してから盛大に舌打ちをする。
『…家か?』
『ああ。……暫く待っても帰って来ねーし…傍で救急車走るし…慌ててたからな』
心配した。と呟くローにおれは急に泣きそうになった。引っ込みがつかなかった気持ちが萎れておれは何に対してかはっきりしない『ごめん』を言った。
そんなおれの顔を見てローは漸く顔の強張りを解いてベンチから腰を浮かす。
『帰るぞ…キッド』

ぎこちなく名前を呼ばれて見上げるとローの後ろには月と星が綺麗に見えていた。街灯の届かないところまで薄ぼんやりと輪郭を確認できるのは月や星が明るいからだった。
公園に入ってきたのが、ローだとわかったのもこの明るさだったから。

「結局…そのケンカした理由にケリは着かなかった。でもそれを通り越して生活に慣れてくりゃどうでもよくなってケンカしたことすら忘れっちまってたけど」
あの日、明るい夜道をローに手を引かれて歩いて帰った。小言を言い合いながらだったけど……

「……トラファルガー」
「………」
「帰ろうぜ」
重い腰を上げて立ち上がる。空を見上げても街灯の光に目を焼かれただけだった。
踏み出した酒に酔った足は小さな小石にも足を取られそうになる。
大きく力の強い手に腕を引かれて暗い夜道を進んだ。

どの道を歩いて帰っているのか…霞んだ目にはよくわからなかった。






The last final 29
(ロキド) 2015/05/02

「一々おれの言動を真に受けるな。おれはお前の知る男じゃないと言ってるだろ…世話になってるのはこっちだが、諂うつもりはない」
そう言って彼はおれの隣りに座りベンチの背に凭れかかった。
小さな子供が一人座れそうなほどのスペースを隔てて肩が並ぶ。
「さっさと帰れ。……顔色が悪い」
まるで独り言のようだったが、彼はそうおれに促した。
一人で帰れと言うことだろう…そして彼はまた外で夜を明かすのだろうか。
打って変わり、彼は黙ったままでいた。虫も鳴かない夜に雨の匂いを思わせる風が吹き抜けた。
このまま一人で帰れば、狭いと文句を垂れることなく悠々とベッドで休める。彼の気配を気にして過ごさずに済む。
その代わり、彼は…。どこで過ごすのだろうか。さっき宛ても目的もないこの世界で気を紛らわせたかったと言ってた。
昨日はそれで気が紛れたのだろうか。見知らぬ場所を歩き回るだけで、本当に…。

「………おい」
「…昔…、って言ってもローと今の部屋で暮らし始めてからだったから、3年とかそのくらい前だけど」
暫く黙って肩を並べていたが、彼は動かないおれに焦れたのか口を開いた。
そんな時、なんだか懐かしいことを思いだした。思い出したら口にせずにはいられなくなって勝手にぽつりぽつりと言葉になる。
話し出したおれに、彼は取り敢えずは耳を傾けてくれた。
「一緒に暮らしだして…やっぱ、融通きかねェこととか見えてきてケンカになった」

どちらが悪いと言うことではなかった。強いて言うならどちらともが悪くてお互い引けなくなっただけだ。
初めてのケンカだったわけじゃない。付き合い始めてから何度も喧嘩したし、その度に自然と仲直りしたり謝ったり、謝られたりした。
ただ、一緒に暮らすと互いに逃げ場がなくなった。ワンルームの狭い部屋だから尚更だ。目の前に恋人がいれば気持ちは落ち着かなかった。
おれは部屋を飛び出して、散々悪態を吐いた。それでも別れようとか思った訳じゃない。恋人を嫌いになったわけじゃない。好きだからこそ食い違いが起きて、これ以上嫌いたくないと思って逃げてしまった。
謝れば済むってわかってるけど素直にそれが出来ていれば最初から喧嘩もしないし部屋から飛び出したりもしない。
結局、少ししか離れていないこの公園にふらりと逃げ込んだ。日が暮れはじめて遊んでいた子供たちも帰った後の淋しい公園だった。
時折忘れたおもちゃを取りに来た親子や犬を連れて散歩にくる近隣の住民が横切って行くのを眺めていた。
別れようなんて思わない…でも許せない。一緒に居たらもっと酷いことを言いそうで怖い。
その前に、別れようと言われるんじゃないかと思うと怖かった。酷いことを言われるんじゃないかと、仲直りできないんじゃないかと思うと彼の居る部屋に帰ることができなかった。

「どうしようって、そればっか考えてた。携帯見てもローから連絡はねェし…薄情な奴だって勝手にまたあいつのせいにして」
そしたら、仏頂面したローが大股で公園に入ってきて無言でおれの隣りに座った。
そんな風には見せないようにしてたけど、静かな公園ではローの少し荒くなった息遣いは隠せていなかった。
ベンチの端と端に座ったまま、結構長いことそうしていたような気がする。気まずくて仕方なくて顔も背けたままで。
でも立ち上がった方が負けなような気がして。








The last final 28
(ロキド) 2015/05/01

街灯に照らされた彼の表情は、濃く落ちた陰で良くは見えなかった。
同僚からの通話を無理やり切り上げるが同僚は最後までおれのことを按じてくれていた。
いつから居たのだろうか…彼はただ静かにおれを見ていた。突き刺さるような視線を感じておれは後ろめたさから彼のことを見れなかった。


「おれには関係のないことだ」
「……!」
夜の静けさに大きく張り上げたわけでもない彼の声がよく通り、急に発されたそれに驚き思わず肩が跳ねた。
「帰りの時間を咎めるつもりもねェし何をしてたかなんて一々聞きもしねェ。おれがここに来たのも……偶々だ。」
暗に、おれに興味がないと言いたいのだろうか。彼の抑揚のない声はおれの浅はかな気持ちを知っている様にも聞こえた。
バカみたいに期待してしまった…。彼は、昨夜の様に出歩いていただけなのだろう。
意味もなく強張らせていた肩の力が抜けた。

「ただ…お前が今ここに居ることも含めて、おれの所為だと言うなら話は別だ。余所者を匿うのに疲れたか?」
「っ……」
全部見透かしたような優しさを錯覚させる声だった。
「それならそう言え。お前を恨みはしねェよ……。礼くらいおれも言える」
「待てっ…違…っ!」
そのまま去ってしまいそうなトラファルガーに咄嗟に腕を伸ばしかけた。
しかし以外なことに彼はこちらへ向かって歩きあっという間に隣りに立った。手の先が彼の腕に触れる。
おれは驚きすぎてトラファルガーを見上げているばかりだった。
彼は視線を逸らすことなくおれの目を覗き見る。

「……昨夜は眠れなかった。月が明るかったから外に出たが…おれにはこの世界で目的もなにもない。ただ、気を紛らわせたかった。お前が気にする必要のない気まぐれだ」
脈絡なく一方的に話す彼に呆気にとられた。早口ではなかったが口を挟む暇もなく言葉を紡ぐ。
「気が立っていたのもある。おれの世界へ戻る方法はおろか、それを見つける手立てもねェんだからな……」
淡々と話して居るように見えた彼の顔が、微かに苦く歪んだ。
この世界で何も進展することなく過ごす日常に彼が焦りを感じないわけがなかったのだ。







悪魔と出会いました 2
(クロスオーバー) 2015/05/01

DMC1のダンテ、バージル(捏造)とキッドの話。詳しくは前の話を
カテゴリ:クロスオーバーからどうぞ。





厚い雲に覆われ薄暗い道。足を進める度、濃くなる血の臭いに顔をしかめる。
帰りついた事務所のドアをいつものように蹴り開けた。

「バージル………?」



「なにやってんだ?アンタ」
「…。…遊びに付き合ってやっていた」
「ふうん?どーでもいいけど、事務所を汚すのは勘弁してくれよ。また借金が嵩んじまうぜ」

事務所を開けていたダンテが戻ってきてみると、ワックスの剥げた床…だけではなくそこかしこに血が飛び散った散々たる光景が目に飛び込んできた。
おまけに、双子の片割れである兄がその血溜まりに横たわっている。
しかし、普通ではないダンテの兄であるバージルもまた普通ではない。
仮に殺しても簡単には死なないのだ。
惨状に驚くこともせず、ダンテはバージルの側を横切った。
その間にも息を吹き返したバージルは何事もなかったかのようにむくりと起き上がり、乱れた髪を掻き上げる。

「掃除しろよな。客が来たらびっくりしちまう」
「ふん。客など滅多に来ないだろう」

ダンテは倒れた椅子を蹴りあげて起こすと素早く腰を下ろし、行儀悪くも黒檀の机に組んだ足を乗せた。

「で、何があった?」
「閻魔刀を奪われた」
「Hum...そりゃ大変だ。それで、あの坊やも一緒に取られちまったのか?」
「いいや。キッドに奪われ、序でに殺された」
「へえ。随分熱烈だったみてぇだな。素敵なキスマークなんか付けてアンタ羨ましいぜ」
「少し性急だったがな…まぁ、若いだけと言ったところか」

血に染まったシャツを脱ぎ捨て、バージルはいまだ塞がらない首筋の噛み痕に触れる。
深い穴が二つ。血は流れていないが、バージルはそこから自身に備わる魔力が抜け出ていくような気に晒されていた。
ふと、視界の端から何かが飛んでくるのが見え、パシりと掴み取る。

「高い貸しだぜバージル」
「これは?」
「毒消しさ。毒なんていつかは治るが、時間がかかるだろ?あって損はないからな」

ダンテはリベリオンの刃先を眺めながらニッと笑う。
バージルはそんなダンテを一瞥し、元より治りの速い身体は毒の消滅と共に瞬く間に傷は塞がった。
血に染まり穴の空いたシャツは丸めてごみ箱へ放り、新しくダークブルーのワイシャツにダンテの羽織る真っ赤なそれとは対照的な蒼いコートを羽織った。

「家族の誼だ。依頼料は後払いでいいぜ」
「貴様…今までいくら俺が立て替えてると思っている。安心しろ利子までとは言わん。後はこの血溜まりの掃除にまけておいてやる」
「ちぇっ…ま、掃除は帰ってから坊やにさせるとする…か!」

弾みをつけて立ち上がり、ダンテは壁に掛けてあった大振りの剣をバージルに寄越す。

「フォースエッジ…」
「無いよりはましだろ?ベオウルフはまぁ、休ませておいてやろうぜ」
「ダンテ貴様…」
「ほら、先月モニュメント壊しちまっただろ?あれの肩代わりにさ…あーあー、んな顔すんなよバージル。まとまった金が出来たら払い戻してくるさ」

帰って来たときと同様に事務所の扉を蹴り開け、一層暗さを増した空の下に出る。

「さて、悪ガキのお迎えに参るとするか」



===
正直終わるかわからない話だけどサルベージがてら。




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