NOTE
ジャンル入り混じります。ご了承ください。
趣味のクロスオーバーもあるかも
・完結見込みのない話も置いてあります。


CATEGORIES

雑記
ロキド
いつも隣りに
ロキド以外
クロスオーバー
JOJO
DMC
BSR


ARCHIVES

2017年3月
2016年5月
2015年7月
2015年5月
2015年4月
2015年3月
2015年1月
2014年1月
2013年9月
2013年4月
2013年3月
2013年1月
2012年12月
2012年11月
2012年9月
2012年8月
2012年7月
2012年6月
2012年5月
2012年4月
2012年3月



Place of my heart
(ロキド) 2015/03/20

たまに抱かれる男に、好きとか愛しいとかそんな言葉を吐かれる。
自分のモノになれ、好きなものを与えてやるからとヤった後の気怠い微睡みの中に笑いたくなるほど真剣に説く。
折角、気持ちのよい微睡みに身を任せていたのに。そんな残念な気持ちになりながら横たえていた身を起こしてさよならを言う。
次はもうない。用なしの携帯をテーブルに置き去りにして、代わりに煙草とライターを貰って行く。

「そう言うのは間に合ってる」


薄暗くなって行く街中にネオンが映え出す頃。
暗がりに紫煙を漂わせながら、目的の場所へと足を運ぶ。
いかにもオッサンが好みそうなキツイ煙草が不味く煙草を吸ってるのにイライラしだす。がじ、とフィルターを噛んでみてもちっとも気が張れなかった。

にゃお。
愛相程度の鳴き声に足下をみる。見知ったネコが尻尾をくねらせながら、靴先に頬擦りした。
しゃがみこんで猫の額を指先で掻いてやり、ふと前に言われた言葉を思い出した。

お前の吸う煙草の煙は、猫のしっぽみてェだな

ふうわりと帯がたなびくように煙る。うねり、揺れながら行き先を探す煙りが目の端へ流れてはスゥと消えた。

ボイラーと排気ダクトの唸りが繁華街の賑やかさを追いやる路地裏。
酒瓶のケースやゴミの積まれた小汚ない場所に、見知った猫は4匹に増えていた。

「おっと…今日は1匹多いな。フフ…お前らの取り分が減るァ」

ギッ、と耳につく軋んだ音をたてて店の裏口が空く。
中の灯りが外に漏れ出して、おれは眩しさに目を細めた。
猫たちは尻尾を立てながら、店の中から出てきた男の前に集りだす。

「久しぶりだな。誰かに拾われたのかと思ってた」

毛色だけは良いからな…なんて声を聞き、腰エプロンの長い裾が見える足下から視線を上げればゆるりと笑っている顔があった。
男は猫に擦り寄られないように注意しながら上背を屈めて猫たちの前に皿を置いた。途端に群がる猫がカツカツと皿に盛られた餌を頬張りはじめる。
あれほど男に愛想振り撒いていたのに、餌を与えられればもう男の方を見向きもしない。

「お前ももう少しまめに愛想を振り撒きにくれば可愛げもあるのにな」

揶揄されて苦い顔をするおれにもう一度声に出して笑い、吹かすだけの煙草を取り上げた。
一口吸って溜め息混じりに紫煙を吐き出す。

「こんなオッサンしか吸わねェようなキツい煙草…趣味が悪ィ」

そう言うなり外の水道脇にあったバケツの中に煙草を投げ捨てた。
じゅっと火の消える音を微かに聞き咎めて、すっかり皿を空にした猫たちはダクトの下で顔を洗い始めていた。

「入れよ。食いっぱぐれのままじゃ可愛そうだからな」

猫には触れなかったその手でおれの頭を一撫でして中へ促す。


「おかえり。ユースタス屋」

おれが来る度そう言って迎えながら。


ーーーーーーーーー
猫のようなキッド。
携帯は遊び相手がまるで首輪代わりに持たせてやってる設定。要らなくなったら返すか捨てます。
エプロン男は勿論ロー。最近上がり込んでくるようになった猫が可愛い。





HOME

×