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「悪い頭でごめんなさい!」 「俺の頭のことなんつったア!?」
(JOJO) 2016/05/07

*仗助くんと億泰くん



億泰は馴染んできた風景を視線の端に捉えながら学校からの帰りの道をのんびりした足で歩いていた。
ポケットに手を突っ込んで歩く姿は、肘が張り無駄にエラそうに見えるし猫背気味な姿勢の悪さも相まってガラも非常に悪く見える。
天気もいいし日も長くなってきた空はまだまだ明るくこのまま、まっすぐ家に帰るのももったいないような気もした。
どこかへ寄り道でもしようか…そう、隣りを歩く友人に声を掛けようかと思っていると肘がその友人の仗助の腕に当たった。
ふと仗助を見ると、肘が当たったことなど気にも留めてないのかぽかんと口を半開きに、どうも気の緩んだ様子で空ともどこともつかない遠くの景色を見ながらだらだらと歩いている。
「………」
まじまじとその横顔を眺め、億泰は感心してしまった。
整った顔である。それはもう、嫌味とも思えない…ただ感心するばかりだ。自分がこんな顔して歩いていたら本当に絵に描いたようなアホ面であることだろう。
兄貴にこんな面を晒したら「マヌケ面」に始まる耳に痛い悪口(一口に罵詈雑言と言う言葉があるのだが億泰には咄嗟にでない言葉である)を言われるはずだ。
億泰は遠慮のない視線で仗助を改めて足元から天辺までを見る。
身長は同じくらいだが、まあ多分姿勢の悪さを抜きにしても仗助の方が少しばかり高いだろう。
不良の出で立ちではあるのに野暮ったくなく、まあ少し理解のできない部分もあるがこれは絶対口には出さないでおこう。

「えーっと、億泰?」
「あ?」
「なにジロジロみてんだよ穴が開きそうになるぜ」
「穴ァ?俺には穴開ける能力なんかねえぞ?」
「知ってるよぉ…そーじゃなくて…あー…。ま、いっか」

大分前から億泰の視線には気づいていた仗助が、とうとう耐え切れなくなって億泰の方を振り返る。
困ったような素振り首の後ろを掻きながら、億泰に一から説明するのをすぐにあきらめた。

「で、なに?」
「なにが?」
「ずっと見てたからよぉ。俺になんかついてんのかと思うだろ」

何もついてないよな?と仗助は自分の身体を見える範囲で見まわしてみるが特にこれと言って見つからない。首を傾げながら億泰が熱心に寄こしてきた視線の理由を考えてみるがスタンドの気配もないし思い当たることもなかった。

「なんもついてねえよ?」
「そうかよ……今、俺の頭見たか?」
「違うチガウ!!……仗助ぇ」
「なんだよ?」
「おめー、なんっか顔エロいよな〜〜」
「は!?っはぁ〜〜〜!??」
「女顔じゃあねぇのになんでだろうな?」
「知らねえよ!なんだ急に」
「唇かなあ?唇がよ〜〜こう、こ〜〜なんつーのかな、ぽてっとしててよぉ」
「お…おいおい…」

億泰は身振り手振りに加え、ニュアンスを出したいのか唇を突き出す真似もする。
仗助は堪ったものではない。こんな距離でそんなことをされては…

「おめーの母ちゃんも美人だしな〜」
「……おい」
「ぅおっ…」
「いい度胸だな億泰ぅ〜〜〜〜〜〜」

仗助は笑顔こそ浮かべているものの、両手で億泰の両肩をガッシリを掴む手にはそうとうな力が籠っていた。
やっべー、と思わずギクリと固まる億泰は後ずさりもできずに強張った笑顔を晒したまま心持仰け反ることが誠意いっぱいだ。

「グレートだぜ」
「じょ、仗助ぇ…?」
「よぉ、それならよお…億泰」

吐息がかかるほど近い距離で、仗助の這うような低い声がする。億泰は息を呑み汗を流しながらこれで頭突きでもされようものなら更なるバカになりそうだとただただ身構える。

「もっと近くで見てみろよ…俺の顔をよ」
「じょうす…っ!!?」



もしかして時間が止まったのではないかと億泰はない頭で考えた。
瞬きをすると仗助は先ほどと変わらない位置にいた。

「うわーーーー!!」
「うおおお!?でっけぇ声出すなよ仗助!」
「いいいい、いや、ごめん…マジでごめんっなんかゴメン!」
「なに謝ってんだ?つーかおめーがあんまり顔近づけるからなんか触ったぜ?」
「いや…触ったっつーか」
「頭突き食らうかと思って目ぇ閉じたから顔なんて見なかったけどよぉ、別に馬鹿にしたんじゃあねーんだから怒んなよ〜〜」
「えーーー…」
「それによぉ、母ちゃん美人っつっただけで」
「もー、いいよ…」
「なんだよ機嫌悪ィな…」
「だって肘でつっついて来たりよぉ、じっと見てきたり顔がどうだとか言って来たりされたらよ〜〜そう言う…アレかと思うだろうが」
「そう言うアレぇ…?喧嘩か?喧嘩は売ってねェぞ?」
「違うよ!そうじゃなくて…」
「あー?仗助。俺、頭悪いんだからよぉわかるように言えよ」

話が見えないと困惑顔で自分の馬鹿を棚に上げ非難する億泰に、仗助はマジかよとがっくりと項垂れた。
整った顔を盛大にへたれた情けないものに変え途方もない恋慕の情に嘆きを入れ深い深いため息を吐いた。


「…こいつぁ…グレートに………手ごわいぜ」
「??」




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