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ジャンル入り混じります。ご了承ください。
趣味のクロスオーバーもあるかも
・完結見込みのない話も置いてあります。


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The last final 4
(ロキド) 2012/12/12

目の前で散った鮮やかな赤。
バタバタと顔に降り注ぎ、視界を眩ませた。咽返るような生臭い鉄錆の臭いは返って己を冷静にさせる。
ぐしゃりと地に這った赤色はそれきり動くことはない。
もう、二度と動かないのだろうな…と、妙な確信があった。


「ぅ、ぐ…げほっ、げほ…!」
ばちりと開けた視界に見覚えのない天井が飛び込んでくる。詰まった呼吸に盛大に噎せて慌てて身を起こし咳込んだ。
途端に躰のあちこちが痛みギシギシと軋み、吐くばかりの息を無理やり吸い込むと喉がヒュッと高い音を出した。気管が冷たく傷むが、徐々に呼吸が落ち着くと視線だけで辺りを見回した。
見知らぬ部屋だ。薄暗く灰色の世界。閉め切られているが遮光ではないカーテンは外の明るさがほんの少しだけわかる。耳が拾うシトシトと濡れた音に今は雨が降っているのだと気づいた。
どうやら少なくとも夜ではない、雨の日よりで薄暗い時分らしい…。
様々な気配を探りながら、自分の現状を確認する。躰のあちこちが突っ張るのは巻かれた包帯やテーピングの所為らしかった。
その中で、右の肩がジクジクと熱を孕んだ痛みを持っている。薄らと白に溶け込んだ色を見るに塞がっていない傷から今も血が流れているんだろう。
それから思考を散らかそうと邪魔をするのは熱だ。雨のせいか湿気と自分の体温が生ぬるく感じられる。どうやら自らの熱でのぼせているようだった。
「それにしても…」
どこだここは。意識を失う前のことを思い出そうとして、先ほど見ていた夢を思い出した。
夢…ではないか。確かに目の前で散った赤色に、あちこちで上がる怒号、臭いさえ覚えている。どうしようもない、ありのままの光景が記憶に残っていた。

汗の伝う頬を手の甲で拭い寝かされていたベッドから降る。ふと部屋の真ん中にあるガラステーブルに視線が行った。一冊だけ出されている本が妙に目に付き手が伸びる。
自分が身を置く現状と、見知らぬ場所に居る焦燥を募らせながら、何かの手掛かりになればとそれを開いた。






The last final 3
(ロキド) 2012/12/11

低く唸るように轟く雷鳴は少し遠くにある。
暫くもすれば寄り近づいてくるだろうと、窓から黒い空を眺めた。


恋人が…死んだ。1年前の今日。
命日の今日、墓参りとあいつが逝ってしまったその場所へ参ってその帰り。
ザァザァと激しい雨の降る中で道に倒れ込んでいる人間がいた。人の通りも車の通りもないそこに臥して雨に打たれる姿を勿論見過ごせるわけもなく、声を掛けた。
遠目から見た力なく倒れているその姿は嫌でもあの日の恋人を思い出させ、焦り、強張る己を叱咤して手を伸ばした。
雨に濡れた躰を刺激しないようにそっと仰向けにさせて容体を確認する。
薄汚れた頬や雨に溶けてはいるがひどく汚れた衣服。だが、それよりもまず驚かされたのはその人間の顔に、だった…。
完全に気を失い生気の感じないその顔は、とても…似ていたのだ。


「くっ……、…」
「……熱が…」
うめき声にはっとして窓から離れる。
連れ帰ってしまった。恋人と…ローととてもよく似た容姿の、でも見ず知らずの人間を。
寝かせたベッドに寄り、様子を見ると高い熱に魘されているようだった。
額や、首に浮いた汗が行く筋も流れる。気休めにしかならないだろうがタオルでそれを拭いながら、この、彼には悪いが「ロー」と呼びかけてしまった。重ねているのだ…この彼に。
「は…は…」
短く、忙しい呼吸を繰り返す彼をただ見ているだけで自分が辛く、苦しいような錯覚になる。見つけた瞬間には病院に運ばないとと思っていたが、それは彼を仰向けにして躰を抱き、支えた時点でその考えは消し去った。
彼の身体の下からは身の丈ほどの刀と思しきそれと、傷は浅いようだが無数に走る傷にどこか普通ではないと知った。
このまま救急車を呼んで病院に届けさえすれば人としての行いは褒められるだろう。その後この男がどうなろうとも知ったことではないで済ませればいいのだ。
でも、それができないのは先に述べた通りに亡くした恋人と似すぎているせい。助けたいが、その先の彼に不利になる要素が今時点では多すぎる。
考える暇もなく、どうにか家へ刀とともに運び入れて介抱してる。
濡れた衣服を脱がし躰の傷を手当てした。切り傷や擦り傷が多いが、右肩の傷が一番深く拭っても拭っても新しい血が滲み出た。
今は包帯で見えないが、このまま血が止まらなかったらどしたらいいのかと不安がある。
刀は、濡れた鞘を拭いた後に恐る恐る少しだけ抜いてみると眩暈がするほどの刃の煌めきに怖くなり慌てて元に戻した。
それから少し迷うが、安易に置いていていいものではないのでシーツに来るんでベッドの脇に置いた。「ぅ…」
「…、…」
言葉を掛けたいのに、掛ける言葉がない。
固く閉ざされた瞼、眉間に寄る皺が辛そうだ。傍らに膝をついてひたすら汗を拭うしか出来ずにいる。
こんなに似ているのに、名前が呼べない…。
呻く声すらこんなにも似ていると言うのに。






The last final 2
(ロキド) 2012/12/10

あの日より、強く降りしきる雨だった。
ローを引いたあのドライバーがどうなったかなんておれは知らない。ただ、生きているはずだ…ローを跳ね飛ばしてから外壁に突っ込んだ車は、フロントはひしゃげたが事故った直後にドライバーは自力で脱出して、呆然としているおれの視界は入らないところで同じようにどこか他人事のように放心していた。
顔、姿も覚えちゃいない…ローの葬儀前後に泣いて謝っていたような気がする。
謝って…なんになるのだろうとおれは思っていた。

そっと、事故が起きた道の端に花を添えた。墓参りも済ませてここにも寄った。
足元に跳ねる雨粒が添えた花をすぐに濡らしてしまう。
声に出さず名前を呼んだ。ひたと頬に冷たい水が伝い、目頭が熱くなる。
きっと、あいつはこの世に止まるとか、そんことはしないだろう。
あいつが、この世に止まっていればこの1年のうちにさっさと声を聴かせてきただろうから。いまだに夢にだって出てきやしねぇんだ。

ザァ、とまた雨脚が強まった。その音に弾かれたように足を動かし帰る方へと進む。
喪失は癒えることなく、惰性で日常を送ってきた。今日が終われば、また来年の今日まで色の無い時間を過ごすのだ。
俯けた傘で欠ける視野。足元だけを見て歩いていると バシャリ と音がした。
反射的に傘を傾ければ、雨で靄がかった先の地面に投げ出されたような人の影があった。
転倒したのだろうか?驚いてしばらく見ているがピクリとも動かない躰に1年前のあの光景が重なった。
「おい…っ」
傘を投げ出す勢いで走り寄り、躊躇う腕を叱咤してその躰に伸ばし、触れた。
「――…ぁ…!」
大丈夫か、と呼びかけながら俯せに倒れた躰を仰向けると息を飲んだ。
嘘だ、と呟く声は音にはならず雨に溶けていった。







The last final 1
(ロキド) 2012/12/09

*ローの事故死から始まる物語







さっきまで何を話していただろうか。

キッドは立ち尽くし、赤く染まる足下を見た。
じわりと広がり、靴底を濡らすそれは、濡れた地面に横たわるローから流れ出して小雨に交じり溶けていく。
あぁ、何を…話していたっけ?
思い出せずにいる脳内には警告の赤色灯が音もなく点滅していた。




スピードを出し過ぎた車が、雨にハンドルを取られてこの場所で事故を起したのは1年前の今日だった。
連立って、傘を差し歩いていたローとキッドに向かい突っ込んできた車。
咄嗟に反応したローはキッドを突き飛ばしたまでは良かったが、ローの身体は車を避けることが出来ずにはね飛ばされてしまった。
キッドはあの時の鈍い衝撃音を忘れる事が出来ずにいる。それだけではなくローの頭部から溢れ出る血も、血色が見る見る内に悪くなっていく様も、いまだ鮮明に網膜に焼き付いていた。
「…ロー…」
一年前、やっと呼び馴れて来た名前を今いくら呼んでも返事は返って来るはずもなく。
あの日に、全てをここで、思いでさえも無くしてしまったような気さえする。
そう思いながらキッドはじっとアスファルトを見つめた。



『そろそろ慣れろよ。キッド』
『つっても今更…なかなか変えられねぇよ』
唇を触れ合わせて、見つめ合って、名前を呼べよと優しく笑った顔。
ずっと、何年もトラファルガーと呼んできたのに、いきなり『ロー』と名前を呼ぶ事が照れくさかった。
ユースタス屋、と独特な呼び名で呼ばれてきたのに、『キッド』と呼ばれることもまた凄く照れた。むず痒くて、それが幸せだって思えた。


思い出すのはそんな幸せなやり取りだった。
今は隣りにいないアイツを漸く「ロー」と呼び慣れ始めたところだったのに。
もう少し素直になっていれば、とそんな後悔ばかり毎日のようにし続ける。
もっと、呼びたかった。返事をしてほしかった。
恥ずかしくても、照れてでも、あの声に呼ばれたら返事をしたかった。

「ロー…」

あの日から、鳴らなくなった指定の着信音。
あの日から、出てくれないアイツの携帯…
おれの気持ちも、何もかも全部、止まったままだ…






たった今おれ、遭難
(ロキド) 2012/12/05

ユースタス屋が浮気をした。
「だって、おまえもシただろ」
…うん、そうだ。心の中でだがそう返事をしてしまった。
だって、あまりにもユースタス屋は悪びれずに、無感情な声で坦々というから…ああ、よろしくない。雲行きが非常によろしくない。

どうしたって、ことの始まりはおれの浮気からだった。ユースタス屋のことは大好きだけど遊びもしたい。ばれなきゃいいかな、と…思うこと数回。完全に調子に乗っていたおれが悪い。
「お前が浮気して、3回目のとき、おれは別れるんならさっさと別れてやるって言ったよな?」
うん。そう…1回目でばれてしまった遊びの後、ユースタス屋は浮気するくらいなら別れると言った。
でもおれはユースタス屋に本気だからと別れないでくれと縋ったのだ。
ユースタス屋はわかった、と別れずにいてくれて、しばらくはおれも大人しくして…。
「で、思ったんだよ。お前、1ヶ月も待てずにさ…浮気?しだして?もう…何言っても無駄だなってさ」
だから、ユースタス屋は気づいていながらおれはわざとほったらかされていたのだ。
わざとほったらかさせれているのに気付かずに、そしてユースタス屋の浮気にも気づかずに…おれがユースタス屋の浮気に気づいたのはもう大分、ユースタス屋がその回数を重ねてからだった。
「お前がしてんのに、おれが一人でおまえのもんになってんのとか、不公平じゃねェか」
ごもっともだ。お前が何様だってんだよ、ってユースタス屋に言われるまでもなくおれは何様のつもりでいたのだろうか。
「で…?お前、さっき、おれに、なんつった?言えた義理か?」

さっきのこと。
ユースタス屋が浮気をしたと知って…それもおれの知人が相手で、その男から聞いたのだ。お前ら別れたのか?なら、今度はおれが――…なんて、そんな世間話みたいな感じで。おれは頭にキてユースタス屋のマンションへすっ飛んで行き、何食わぬ顔で出迎えたユースタス屋の胸倉を掴み詰め寄ったのだった。なに浮気してやがるんだ、と。
ユースタス屋はきょとんとして、しらばっくれるなと噛みつくおれに「いや…今更かよ、って思って」と呆れた顔で言ったのだ。
そして、この状況である。
そもそも…と切り出すユースタス屋はおれの悪行を並べた上ですんなりと浮気を認めたのだった。

だけどだ…俺たちは男同士なわけで、まぁ…おれは女を抱い楽しんでいたんだが、ユースタス屋は男に抱かれて浮気をしていた。
ユースタス屋はゲイってわけじゃない。おれと付き合う前は女が好きで彼女もいたし女に苦労したことないはずだ。おれと付き合ってどっちが上になるか下になるかでも揉めたのだ。
男に抱かれるのに慣れたわけじゃないだろうに。せめて、おれと同じように女抱くとかしてくれたら…そしたら、男だから女を抱きたくなることだってあるだろうって…自分勝手だけどそう思えたのに。
だから、言ってしまったのだ。「おれへの当て付けに抱かれたのかよ」と。
「それ以外に、何があんだよ」
ユースタス屋は、そこで初めて苦そうに一瞬だけ顔をしかめた。ほんの一瞬だけ…それ以降は無表情になってしまう。
「おれが女抱いたって、お前は痛くもねーじゃん。お前とおんなじことして、男と女の抱き心地の違いをむざむざ感じて、女役のおれにとって何が楽しいってんだよ。女抱いての浮気ならカウントしねぇってそんなこと言い出すんだろ、お前」
図星と言う奴だった。ユースタス屋が女をいくら乱そうったってなにを思うわけではないが、ユースタス屋が誰かに乱されるのは……。
「みじめだろうが…そんなの。男に抱かれんのだってみじめでたまらねェ…けどな、お前に少しでもしてやったって思わせられるんならヤればキモチイイしどうってことねぇって思った」
メンソールのタバコを一口吸い込み、ユースタス屋はため息とともに吐き出した。喋るのに疲れたと言い出しそうだ。

「別れたいんなら、別れるぜ」
一呼吸おいて、ユースタス屋は言う。あの日と、同じように。
「もう…しない、ほんとに…ユースタス屋…おれは、別れようなんて……」
思っていないんだと、自然と、深々と頭が下がった。
バカみたいに首を垂れて許しを乞うた。
「今更、それ信じろって言うのか?」
「……ほんとに、しないから」
「ふーん」
勝手に頑張れば、と聞く耳を持たない様子。まったく信用されてないのはこうなってしまっては仕方のないことだ。
だが、しかしこのままでは。おれが続ける限りユースタス屋も続けるわけで。それは我慢できない。

「約束する。だから、」
「おれは約束しねぇぞ。」
「え…」
「別れたくなったら、いつでもそう言え」


短くなった煙草をもみ消し、明後日の方に紫煙を吐き出すユースタス屋はもうおれを信じるとか信じないとかの次元ではなかった。

ああ、もう取りつく島もない。


−−−−−
聴く耳もたんキッドさんとしょうもないローさん。
ローが改心するのかは謎。






へっくしゅん  松小
(BSR) 2012/12/01

くしゅんっ


「…はて。猫の仔でもいたかね」
「ああ?」
「ははは…。まるで猫の仔のようなくしゃみをするのだな、卿は」
「うるせぇ。半分しそこなったんだ…すっきりしねぇ。」
「おや、寒さには慣れているかと思ったがね。こちらで火鉢にあたるといい」
「…」
「なんだね?卿はよもや老体から火鉢をとりあげようと…そんなことは思うまい?」
「…ちっ」
「着物を着せてやったのは私だが…礼の一つあってもいいものだが、どうかね」
「礼を期待するような小せぇ男じゃねーだろ」
「…。んん…これは…ははは、恐れ入った。愉快な返しができるようになったか」
「ふん。てめぇと一々問答するつもりは…」

ふぁっ、くしょん!

「ふふふ…いや、豪快、豪快。もっとこちらへ寄ればいいのだよ…夜半の雨は雪になるだろうな」
「…そうか」
「なに、積りはしまいよ。積もったところで日が昇れば解けるだろう…。」




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練習がてらに…。
難しいなぁ久秀さん。
へっくしゅんがゲシュタルト崩壊してきたのは言うまでもない




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