惇淵
夜空に流れる天の川(惇淵編)
満点の星空の下の元、二人は寄り添って星空を見ていた。
どんなに忙しい日々を送ろうとも夜になれば一緒に居られる時間を大切にしていた。
「今日は七夕だったな。天の川が綺麗だ…」
「本当だね…ねえ、惇兄…」
「何だ淵?」
「もし、天の川の伝説のように俺達が別れ別れになって会えなくなったらどうする?一年に一度しか会えなくなったら惇兄はどうするんだ…」
「そうだな、俺だったら。一年に一度しか会えないと言う決まりなんて破ってでも俺はお前に会いに行く…」
「惇兄らしいな…」
「淵は平気か。俺と会えなくなるのは?」
「嫌だよ、俺は惇兄の側から離れるなんて絶対に嫌だ…」
「ふっ、可愛い奴だ…」
夏侯惇は夏侯淵を優しく抱きしめる。
こんなにも引かれ合い、愛し過ぎているのに別れ別れなんて出来る訳ない。
「惇兄、俺も別れ別れになっても惇兄の元に行くから…」
「嬉しい事を言うな…」
「だって、俺は惇兄が、元譲が大好きだから…」
「俺も妙才を愛してる」
「元譲…」
二人はゆっくりと唇を重ね愛情を確かめあったのであった。
終
お題配布元:ALLODOLA
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惇淵
(学園パロ)
毎日繰り返す日常は、新鮮な出来事を突然もたらす。
保健体育を担当する夏侯淵は受け持つクラスの体育の授業をしていた。
内容はサッカーで夏侯淵が見守る中で生徒はサッカーの試合を楽しんでいた。
授業とはいえ、本格的な試合と何等変わらない。
全てに対して真剣に取り込むという授業内容。
曹操が優秀な人材を輩出する理由の一つであろう。
夏侯淵はその試合を見守りつつ腕時計を見ていた。
(そろそろ終了時間だな…)
夏侯淵は決められた時間内に試合を終わりを告げる為に腕時計を見ていた最中であった。
生徒が蹴ったボールが夏侯淵に向かっていき、そして側頭部にヒットした。
「あぐっ…!」
突然の痛みにぐらつき地面に倒れ附した。
倒れた夏侯淵に生徒が集まる。
「先生、夏侯淵先生、しっかりして下さい!」
生徒が声を掛けるが夏侯淵はピクリとも反応しない。
「どうしよう、先生が…」
「俺、先生を呼んでくる!」
生徒の一人が職員室に向かった。
向かった職員室には調度休憩中の夏侯惇がいた。
「先生、大変です!」
「どうした、そんなに慌てて?」
「夏侯淵先生が授業中に倒れて動かないんです!」
「何だと!直ぐに案内しろ」
「はい!」
夏侯惇は生徒の後をついていき、グランドに向かった。
グランドでは未だに夏侯淵は地面に横たわり動かない。
そして心配する生徒達が見守っていた。
「淵、しっかりしろ…」
夏侯惇が駆け付けると身体を起こし声を掛ける。
「一体何があった。説明しろ…」
「サッカーの試合をしていたのですが蹴ったボールが先生の側頭部に当たって倒れたんです」
不良の事故とはいえ、ピクリとも動かない夏侯淵に生徒は泣き出す者もいた。
「心配するな…ただの、脳震盪だ。とりあえず保健室へ連れていく、お前達は教室へ戻れ。次の授業があるだろ」
「わかりました…」
生徒達にそういうと夏侯惇は夏侯淵を姫抱きして保健室へと連れて行った。
生徒達は二人を見送ると教室へと向かった。
保健室に辿りついた夏侯惇は用意された簡易ベッドに夏侯淵を横たわせた。
夏侯惇はベッドの側にあった椅子に腰掛けた。
横たわる夏侯淵を静かに見ていた。
まさかあの淵がこんなヘマをするとは。
生徒ならともかく、教える側である教員が倒れるのはあってはならない。
生徒に心配させて不安になるからだ。
(とりあえず頭を冷やして楽にさせるか…)
夏侯惇は夏侯淵のジャージのチャックを開くと胸元を解放させた。
そしてタオルを見つけると水で濡らしよく絞り濡らしたタオルを夏侯淵の額に置いて冷やした。
それから暫くすると夏侯淵は意識を取り戻した。
「…あっ、…っ」
「目覚めたか淵?」
「惇兄…俺、何で寝ているんだ?」
意識が朦朧としていて意識を失う前の事を覚えていないようだ。
「試合中にボールが頭に当たって脳震盪を起こしたんだ。覚えてないのか?」
「ああ、そういえばそうだったな…」
やっと意識を回復した夏侯淵は寝ていた状況を把握した。
「全く、生徒達を心配させるな。不注意も程があるぞ…」
「たはは、面目ないな…」
「それに俺に心配掛けさせるな。倒れた姿を見て心臓が止まるかと思ったぞ…」
「うん、ごめんな…」
「淵が目覚めて本当に良かった」
夏侯惇は夏侯淵の頬を撫でた。
「暫くは安静に寝ていろ…側にいてやるから」
「ありがとう惇兄…」
夏侯淵はニッコリと笑顔を浮かべた。
その笑顔を見た夏侯惇は安心した。
この様子だともう安心だと感じた。
「淵…」
「何、惇兄…?」
夏侯惇はゆっくりとキスをすると夏侯淵は驚きに目を見開いた。
深くキスをされて夏侯淵は夏侯惇にされるがまま相手をする。
口内に差し込まれた舌に絡み付き強く吸っていく。
「んっ…んんっ…ふっ」
夏侯惇が唇を離すと夏侯淵はベッドの中でぐったりしていた。
「んあ…はっ、何で?」
「俺を心配させた罰だ…文句は言わせんぞ」
「そんな…惇兄の馬鹿ぁ」
「聞く耳はもたんぞ…」
「恥ずかしいからこんな所でするなよな」
「拗ねるな…此処は二人っきりなんだから。後で生徒達に謝罪しておけ、随分心配していたからな…」
「了解した…」
夏侯惇は夏侯淵の髪を指先で梳いた。
夏侯淵はもう暫くは此処で横になっておこうと、目を閉じたのであった。
終
惇淵
貴方を独占したいと思った。
優しい貴方を自分だけ見て欲しかった。
自分は一応は恋人なのだけど。
優しい貴方には、ふさわしくないかもしれない。
「ねえ…惇兄」
夏侯淵が話し掛けた。
「何だ、淵?」
夏侯惇は、目線を合わせてくる。
「あのね、抱き締めてくれる?」
夏侯淵は恥ずかしそうに話す。
「どうしたんだ?」
夏侯惇、訳がわからないが否定はしなかった。
無言で優しく夏侯淵を抱き締めた。
「暖かくて気持ちいいや…」
「寂しかったのか?気付かなくてすまん…」
「ああ、寂しかったよ。惇兄が俺にかまってはくれない。俺はもっと惇兄と一緒にいたいのに」
夏侯淵は寂しい思いを夏侯惇に伝えた。
「もう、寂しい思いをしなくて良い。俺が淵の側にいてやるから」
夏侯惇は夏侯淵に微笑んだ。
広い心の持ち主な夏侯惇に感謝したい。
「ありがとう、惇兄…」
嬉しさのあまりに涙を流した。
小さい月は暖かい太陽に抱かれる。
もう、寂しくはない。
側には優しい貴方が居るから。
それ以来、夏侯淵は夏侯惇の側で笑顔を絶やさずに浮かべていたのであった。
終
惇淵
時として、休息は必要だ。
無自覚なのはどうであろうか?
仕事をこなすのは良いのだが。
休みをあまり取らないのも困者だ。
夏侯淵の心配をよそに夏侯惇はいくつもの仕事をこなそうとしている。
いくらなんでも、無理をしているのは分かった。
「惇兄、こちらの仕事は俺がやっておきます…、少し休んでくれよ」
夏侯惇の隣にいた夏侯淵の制止の声がかかった。
「すまない淵、頼む…」
夏侯惇が夏侯淵に竹簡を渡す。
その後、椅子に持たれ架る。
「少し休む、終わり次第起こしてくれ」
「解った…」
炎山は瞼を閉じて眠りに入った。
夏侯淵は渡された竹簡を処理していった。
これぐらいなら、そんなに時間はかかるものではない。
暫くすると仕事は全て処理し終えた。
夏侯惇を起こさないと。
ふと夏侯惇を見るとすっかり眠っていた。
何だか起こすのは可哀想にだ。
暫くはこのままにさせたい。
でも、起こさないと。
「惇兄…仕事の処理が終わったぜ」
夏侯淵が声をかけるが反応が無い。
もう一度声をかけた。
「惇兄…」
声が届いたらしく閉じられていた瞼から漆黒の瞳がこちらを見つめる。
「ああ、すまない淵。つい眠ってしまったようだ」
「疲れてるな?ここの所ろくに眠っていないのに」
「心配かけてすまないな淵…」
「少し御自分の事を大切にしてくれよ惇兄」
「ああ、お前の言う通りにしよう」
夏侯惇は夏侯淵に微笑んだ。
「惇兄…」
「これからも頼んだぞ淵…」
「ああ…」
夏侯惇が楽になるならこれからは、多くこなしていかなくては。
そう誓った夏侯淵であった。
終
惇淵←覇
ねえ、僕に見せてよ。
貴方が心許した相手に見せる笑顔を。
どうして僕には見せてはくれないのであろうか?
なんか悔しい。
大好きな父親を取られた気分だ。
「ねえ、父さん…」
「どうした息子よ?」
鍛練の合間に夏侯覇が夏侯淵に問い掛ける。
「父さんは伯父上が好きなんですか?」
その言葉に夏侯淵は飲んでいたお茶を吹き出す。
「ゲホゲホ、突然何を言うかと思えば下らない」
「下らなくはないよ、僕にとってはとても大切な事なんだから!!」
夏侯覇は夏侯淵に抱き付いた。
「…」
「父さんは僕の事嫌いですか?」
不安そうに夏侯覇は呟く。
「どうしてそう思う?」
「伯父上と一緒にいる時が父さんは良く笑っています。僕には見せた事の無いから」
「嫌いな訳なかろう、それに邪魔ならお前を切り捨てている」
夏侯淵は夏侯覇の頭を撫でる。
「僕の事好きなの?」
「さあな…」
他愛の無い会話に見えるがあの夏侯淵が小さな子供を託っているのが不思議だ。
「父さんの意地悪。ちゃんと答えてよ」
「お前には敵わんな、その…好きだぞ」
微かに好きと言う言葉は耳元で囁かれた。
その言葉に夏侯覇は笑顔になる。
「父さん、大好きだよ」
お返しのように夏侯覇は夏侯淵に不意打ちの口付けをしたのであった。
終
惇淵
(リーマンパロ)
暑い日が続く中で夏侯淵は残業をする羽目になった。
大量の仕事が舞い込み、一日では終わる量ではなかった。
デスクの上でパソコンとにらめっこしながらキーボードを打ち込む作業が永遠と続いていた。
流石に一人でオフィスにいると寂しいと感じてしまう。
そんな時に携帯にメールの着信音が響いた。
携帯を開くとそれは夏侯惇からであった。
『今日はいつ帰れるのか?』
短い文字でも自分の帰りを知りたい従兄に対して夏侯淵は笑みが浮かんだ。
「今日は残業だから遅くなるよっと」
メールで返事を返すと再びパソコンに向き合い作業を続けた。
今日中に取引先への書類作成と見積書を作らないと明日の業務に響く。
だから必死だった。
カタカタとキーボードを打っていたがやはり集中力は途切れるもの。
休憩しようかなと思っていた時だった。
「淵、差し入れに来たぞ…」
「と、惇兄、先に帰ったんじゃないのか?」
「メールで遅くなると知ってな。わざわざ来たんだぞ…」
「そっか…」
夏侯惇が夏侯淵に風呂敷に包まれた物を手渡す。
「冷めないうちに食べろ…」
「えっ、まさか惇兄の手料理か?」
「ああ、簡単におにぎりを作った。お茶もあるぞ…やはり珈琲の方が良かったか?」
「ううん、これで充分だよ。今休憩しようと思ってたんだ」
夏侯淵は嬉しいのか笑顔が浮かんでいる。
夏侯惇は隣のデスクにあった椅子に腰掛けた。
夏侯淵は風呂敷の包みを解くとラップに包まれた少し大きめのおにぎりが三個あった。
「中身はお前が好きなものを入れた。鮭やシーチキン、明太子だ」
「惇兄、サンキュー。俺、惇兄の手料理大好きなんだよな…」
「そうか、そう言ってくれると作った甲斐があるな」
夏侯惇はクスっと笑うとペットボトルのキャップを外しお茶を飲んだ。
夏侯淵はおにぎりを頬張り嬉しそうだ。
「惇兄、ごっそーさまでした」
「淵、ご飯粒がついてるぞ…」
「えっ、何処?」
「とってやるから動くな…」
夏侯惇は手を伸ばすと口元についたご飯粒を取ると自分の口の中に入れた。
「ちょっ、惇兄…」
「何だ、勿体ないだろ残すのは?それとも妙な事を考えていたのか?」
「それは、その…」
恥ずかしくなったのか夏侯淵は顔を真っ赤にした。
夏侯惇はそんな姿が愛らしく感じた。
「早く仕事を終わらせて一緒に帰ろうな」
「ああ、俺頑張るよ…」
夏侯惇の言葉に夏侯淵はやる気が出たのか再びパソコンと向き合い作業を続けた。
それから30分後に作業が終了した夏侯淵は疲れたとぼやく。
「よく頑張ったな…お疲れ」
「惇兄が居たから頑張ったんだ。ありがとうな」
「そうか…」
会社を出た二人は夜遅い為か街灯だけが点いた道を歩いていた。
「淵、たまには手を繋いで帰ろうか…」
「うん…」
二人は手を繋いで安らげる家へと帰っていた。
終
惇淵
(獣化パロ)
朝起きたら違和感を感じた。
なんだか身体がむずむずして仕方ない。
やはり春先だからであろうか。
未だに覚醒しきれていないのか瞼を指で擦り欠伸をする。
頭を軽く掻いたら柔らかい何かに触れた。
柔らかく温かい感触に夏侯淵はもう一度触れてみた。
その柔らかな感触はまさかと思った。
それに何だかお尻の部分も痛い。
夏侯淵はお尻に触れると白くて長い尻尾が生えていた。
夏侯淵は驚きを隠せなかった。
卓上にあった手鏡を取ると顔を映すとそこには白い猫耳を生やした姿があった。
「何だこれは!?」
まさかむさい男に猫耳と尻尾が生えたなんて信じられない。
こんな姿を誰かに見られたらどうしよう。
特に夏侯惇に見られたらただでは済まされないであろう。
「まずい事になったな…」
溜息交じりに呟くと突然寝室の扉が開かれた。
夏侯淵は振り向くと入口には夏侯惇が立っていた。
「げっ、惇兄!何で此処に?」
「淵、その姿はどうしたんだ?」
夏侯惇は従弟の変わり果てた姿に驚きを隠せない様子であった。
夏侯淵の側に来る。
本来は夏侯淵の耳であった部分が猫耳になっていた。
とりあえず触れてみると柔らかな感触を感じた。
「本物なんだなその耳は…、ならこの尻尾もか?」
「ひゃあっ!」
夏侯惇が尻尾に触れると夏侯淵は驚き声をあげた。
「と、惇兄、尻尾は弱いんだ。もっと優しく触れてくれよ…」
「す、すまん。本物なんだな…でもどうしてこんな姿になったんだ?」
「解らない。俺が知りたいよ…」
夏侯淵は溜息をついた。
夏侯惇は夏侯淵の生えた耳に触れて感触を確かめていた。
「また、孟徳の悪戯に巻き込まれたか?」
「殿だったら、やりかねないな…」
二人して同時に溜息をついた。
それでも夏侯惇は夏侯淵の姿を見ていたら可愛いと思ってしまったのは言うまでもなく、突然、夏侯惇は夏侯淵を抱きしめた。
「惇兄…どうしたんだよ?」
「可愛いから、暫くはこのままでいて欲しいのだが」
「なっ、正気かよ。俺は嫌だ!」
「可愛い姿にされて嫌なのは解るが、愛でれる機会が巡ってきたと思えばいい」
「それは惇兄だけだろ!」
夏侯惇は文句を言う夏侯淵に対して、猫耳に息を吹き掛ける。
「ひゃあん!」
敏感に反応する夏侯淵に夏侯惇は何度も繰り返した。
「やはり可愛い猫には首輪が必要だな…」
弱点である耳と尻尾を弄られた夏侯淵は夏侯惇の腕の中でぐったりしていた。
「元の姿に戻るまで愛でてやろう…」
「ふにゃあああっ!」
哀れ夏侯淵は元の姿に戻るまで首輪を付けられて夏侯惇の側で生活する事になったとさ。
終
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