惇淵←覇
ねえ、僕に見せてよ。
貴方が心許した相手に見せる笑顔を。
どうして僕には見せてはくれないのであろうか?
なんか悔しい。
大好きな父親を取られた気分だ。
「ねえ、父さん…」
「どうした息子よ?」
鍛練の合間に夏侯覇が夏侯淵に問い掛ける。
「父さんは伯父上が好きなんですか?」
その言葉に夏侯淵は飲んでいたお茶を吹き出す。
「ゲホゲホ、突然何を言うかと思えば下らない」
「下らなくはないよ、僕にとってはとても大切な事なんだから!!」
夏侯覇は夏侯淵に抱き付いた。
「…」
「父さんは僕の事嫌いですか?」
不安そうに夏侯覇は呟く。
「どうしてそう思う?」
「伯父上と一緒にいる時が父さんは良く笑っています。僕には見せた事の無いから」
「嫌いな訳なかろう、それに邪魔ならお前を切り捨てている」
夏侯淵は夏侯覇の頭を撫でる。
「僕の事好きなの?」
「さあな…」
他愛の無い会話に見えるがあの夏侯淵が小さな子供を託っているのが不思議だ。
「父さんの意地悪。ちゃんと答えてよ」
「お前には敵わんな、その…好きだぞ」
微かに好きと言う言葉は耳元で囁かれた。
その言葉に夏侯覇は笑顔になる。
「父さん、大好きだよ」
お返しのように夏侯覇は夏侯淵に不意打ちの口付けをしたのであった。
終
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5th.Jun.2011
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