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君一路


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ゆらゆら、

惚れさせ上手なあなたのくせに
諦めさせるの下手な人

赤い顔してお酒を呑んで
今朝の勘定で青くなる

どこがいいのと尋ねる人に
どこが悪いと問い返す

逢うたあの日の心になって
逢わぬこの日も暮らしたい

バラバラ、

井戸の蛙が空うち眺め
四角いものだと議論する

人の口には戸は立てながら
門を細めに開けて待つ

金の屏風に墨絵の牡丹
中に二人の狂い獅子

こうしてこうすりゃこうなるものと
知りつつこうしてこうなった

「諦めましたよ」「どう諦めた」
“諦めきれぬ”と諦めた

きらきら、

察しておくれよ、花なら蕾
咲かぬところに味がある

喧嘩した時この子をご覧
仲の良い時できた子だ

これほど惚れたる素振りをするに
あんな悟りの悪い人

恋に焦がれて鳴く蝉よりも
鳴かぬ蛍が身を焦がす

異見きく時ゃ頭を下げな
下げりゃ異見が上を越す

入れておくれよ、かゆくてならぬ
私ひとりが蚊帳の外

上を思えば限りがないと
下をみて咲く百合の花

ひとりで差したる唐笠なれば
片袖濡れよう筈がない

どうせ互いの身は錆び刀
切るに切られぬ腐れ縁

積もる話が仰山おすえ
それに今夜は雪どすえ

逢うて心のくもりも晴れて
ふたり眺むる蚊帳の月

昔馴染みとつまずく石は
憎いながらもあとを見る

白だ黒だと喧嘩はおよし
白という字も墨で書く

意見するのは親身の人と
思いながらも恨めしい

雷の光で逃げ込む蚊帳の
中でとらるるへその下

つねりゃ紫、喰いつきゃ紅よ
色で固めたこの体

お前の為にと結いたる髪を
今宵乱すもまたお前

不二の雪さえとけるというに
心一つがとけぬとは

星の数ほど男はあれど
月とみるのは主ばかり

出せぬ手紙が積もり積もって
いつしか字だけがうまくなる

論はないぞえ惚れたが負けよ
どんな無理でも言わしゃんせ

嫌なお方の親切よりも

back to main/2016.05.01~