ハク千
2015.03.31 Tuesday
「ハク様なんて大嫌いです」
懇意にしている少女の捨て台詞に、父役に指示を出していた帳簿係の少年はきょとんと目を丸めた。
「これっ、千!お前、ハク様になんということを!」
顔を青くした父役蛙があわててとりなそうとするが、千は前言撤回するつもりはないらしい。ツンと顔を背けて、
「用事は済んだので、これで失礼します」
我にかえったハクは、この世の終わりのような絶望的な顔で駆けていく背を見送った。
「父役、私は何か千の気に障ることをしただろうか?」
父役がしどろもどろに慰めの言葉をかけていると、パタパタと足音がして、いなくなったはずの千が戻ってきた。
「ハク様!」
「どうした、千?……まだ私に何か言い忘れたことでも?」
傷心のハクが肩を落として問うと、千は先程のそっけなさが嘘のようにニッコリと笑いながら、
「明日はお昼過ぎまで会えないから。今日のうちに、エイプリルフール!」