犬かご
2015.03.28 Saturday
かごめが身ごもった。楓の見立てによれば、まず間違いないという。まだ薄い腹をいとおしげに撫でながら、楓の家から出てきたかごめは目を輝かせた。
「生まれるのは、きっと桜の花が咲く頃だろうって、楓おばあちゃんが──」
言葉は最後まで続かなかった。犬夜叉がそっと彼女を抱き寄せたから。
「かごめ」
「なあに、犬夜叉?」
「お前はこれ以上、今よりももっと、俺を幸せにしてくれるっていうのか……?」
ささやく声が揺れていた。かごめは、目を細める。
「ねえ犬夜叉。あたしたちの幸せに、限界なんてないのよ?」