「可愛いっスね!」
試着室のカーテンの僅かに開けた隙間から見えたデイダラさんは、長い金髪を下ろして青色のワンピース姿だ。それも、女物の。僕はいつもと違う雰囲気のデイダラさんに本心からそう思った。そもそも何故こんなことをしているのか。事の発端は出掛ける少し前のこと。非番のメンバー達がアジトに集まっていたとき、暇潰しがてらにゲーム大会が始まった。そこに居合わせた僕達も特に他にすることもなかったので何気なく参加して、時間を潰していた。途中で飛段さんが「ただやり合うだけじゃつまらない、負けた奴は罰ゲームな!」と言い出した。僕も他の皆さんもそれに合意して、もちろんデイダラさんも面白そうだと言って賛成していた。今日は偶々任務に就いていないメンバーが多くて人数も多かったため、この中で自分が最下位になるはずないと誰しも思ったのだろう。そんなデイダラさんが負けたときの表情と言ったら、思い出しただけで今にも吹き出しそうになる。罰ゲームは皆さんの提案のもと、女装して歩いてアジトまで戻ってくること。デイダラさんが逃げないようにとその付き添いとして僕も外に駆り出された。そして、今に至る。僕の言葉が聞こえていなかったのか、デイダラさんはずっと足元の丈の長さを気にしている。ひらひらと服が揺れる度にちらりと覗く滅多に拝めない細く白い足が実に煽情的だ。
「と、トビ…やっぱりオイラ恥ずかしいし、着替えてすぐにかえ「何言ってんスか似合ってますって!どっからどう見ても女の子ですよ!」
「ちょっ、」
試着室から一向に出たがらないデイダラさんの腕を引いて無理やり連れ出す。デイダラさんは僕の手を必死に剥がそうとするが、それで僕が離してやる訳もない。僕達に気付いた店員の一人が少し離れたところからやってくる。それに「少しの間だけ黙っててください」とデイダラさんの耳元で囁くと、状況を理解したのか抵抗をやめて僕の後ろにぱっと隠れた。
「サイズは如何ですか?」
「やっぱりちょうどSでピッタリでしたね」
「そうですね〜、けっこう彼女さん小柄ですし。とってもお似合いですよ」
「あは、そうっスかねっ」
後ろのデイダラさんの様子を窺えば、顔を真っ赤にして下を向いている。本当に可愛いな。少し高値ではあったが、自腹でそのまま買い上げる。靴や髪飾りも入れたらトータルで五万両は軽く越したけど、これほどまでに有効な金の使い道はないだろうと思えるほどデイダラさんの格好は似合っていた。
「お、おいっ、この服けっこうしたんじゃ…」
「僕と1日デートしてくれるならそれくらい安いもんですよ」
「…はっ!?」
人通りの中をデイダラさんと手を繋いで歩く。まあ正式には、僕が無理やり引っ張ってるようなもんだけど。それだけで僕は優越感にも似た感情を抱いた。向かい側からやって来る人が必ずと言っていいほどデイダラさんに目をやって、すれ違いざまにまた二度見する。そりゃあもう、デイダラさんは其処いらの女子よりも数段可愛いかった。
デイダラは巻いてもおだんごヘアーでも可愛いと思う←自得
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