並行世界.18


※注意※
『』の表記が咲夜≠フところの三蔵一行、清蘭、朱麗
「」の表記がわたくし黒音側の葵を含む三蔵一行の会話になります。



序章









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また、1日が終わる。

始まりがあれば、終わりがある。
出会いがあれば、別れがある。


それが自然の摂理というものだ。



















いつかまた会える?

覚えてさえいれば、いつかきっと












覚えてさえいれば……















「それじゃ、また」
『うん!短い間だったけど楽しかった♪』
『女の子ひとりで大変なこともあると思うけど、たまにはみんなに甘えなさい?わかった?』
「…たぶん」
『たぶんじゃなくて、もう…。じゃあ気をつけてね』
「ん、ありがと」





朱麗は少し困った顔をしながら葵の頭をなでた。もう少し甘えたってそれは迷惑になどならない。でもやはり今まで生きてきた道からそれることは出来なくて、葵が自分から甘える、なんてまだまだ先だろうなぁと朱麗は思った。


2組の一行はそれぞれの持っているコンパスに従い、西を目指す。それはなぜかお互いを背に向けた方向。どちらにも夕日が沈んでゆく。
前も後ろも西というこの状況に皆足を止めたものの、向かうは己の道のみ。コンパスに従い自分の世界の西≠ノ向かうのだ。


どうやらこの街自体が時空の狭間≠ノ立っているらしい。
その街をあとに夕日の沈むオレンジに染まる道を行けば、しばらくして日が完全に落ちた。その一瞬緑の光が世界を包んだ。





「!?」


『悟空、どうかしたの?』

「今、光ったんだ」


『空が、緑にピカッ!!て』

「はぁ!?
光る?しかも緑とか」


『ありえねーだろ』

「でも光ったんだって!!」


『あぁ、そういう現象
ありましたよね?確か…』

「グリーンフラッシュ現象」


『そうそう』

「え、三蔵サマ
そんな難しそうな事知ってんの?」


『お前の低脳と一緒にするな
その額に風穴開けんぞ…』






つかさー! 「つかさー!」



ハラヘッター! 「ハラヘッター!」













「サル、お前ホントそればっかだよな」
「サルじゃねぇ!!!」
「……」




何かを思い出したように葵は後ろを振り返った。



「ん?葵どうかしたのか?」
「いや…あの街で、何してたんだっけ」






真新しい服。自分の好みの服。短くの整えてある髪。そしてもう隠す必要の無いという事。

そんなことは覚えているのに、誰となにかしてたはずのそのものはなにも覚えていなかった。





「何してたって、そんなんも忘れちまったのかよ」
「そういう悟浄は答えられるわけ?」
「そりゃもちろん!…………で、なにしてたんだっけ???」
「ほら」
「そう言われると思い出せませんね。三蔵はなにか覚えてます?」
「…知らん」
「え、やばくね?」
「なぁ、それより飯…っぐ」





葵1人だけでなくどうやらここにいる全員が何をしていたのかを覚えていなかった。
そんなことよりも、と食べることをゴリ押ししてくる悟空に葵は食パンを1枚とって口に押し込んだ。




「なんかわかんないけど、楽しかった…きがする」




ぼんやりと暗くなった後ろの空を見ながら思う。ただひとつ確信を持って覚えてると言えるのは自分自身が 女 だったということ。でもそれはもうすでにみんなが知っていたことで、驚きもせずにいてくれたこと。
それ以外は思い出せる気がせず、なぜこんな真新しい服を着て、髪も短くの整えてあるのかまでは分からなかった。





「なんでなにも覚えてないんだろう…」
「でもまぁ新しく食料などは買い足して積んであるようですし、コンパスによれば進む方向も間違っていないようなのでいいじゃないでしょうか?」
「俺達は西に向かう、それだけが合っていればいい」
「んだなー。昨日の俺には興味ねェてな」
「……」
「なぁパンもう一枚食ってもい…」
「殺されてぇのか」






三蔵に銃口を向けられたところで悟空がやっと静かになった。

確かにこの先に進むことが大先決で、その先へと進むための準備が整ったこの状況でわざわざ足を止めるほどのことでもないのだ。
そうはわかっていても何かを忘れているようで納得がいかなかった。




「またなーーーー!!!!あと、ありがとおおーー!!」







何を思ったか葵は体をひねり、後ろを向き叫んだ。
何に向かって叫んだのか自分でもわからなかった。きっとそこにはかけがえのないモノがあって今は忘れてしまったけどいつかまた巡り合えたら、とそう思いながら前向きに座り直した。

















何をしていたのか 覚えていない
誰といて、何を話したのか覚えていない



自分であって自分ではない
かけがえのないキミ達≠ヨのエール





また、巡り会えたなら
今度はちゃんと覚えておきたい




忘れてもきっといつか思い出せるから
また、いつか…あなたに会いたい













Go to the west





















***
いかがだったでしょうか。
序章+全18話
長かったですね!!
私自身も多分これ以上長いものはかけない気がする。
というよりは半分は咲夜のおかげなので、また機会があれはこれを超えられたりして…?

これを始めたのはいつだっけかなぁ。
まぁそのへんのあとがきはオマケと一緒にして、また今度ちゃんと書かせてもらいますね。




では オマケ+あとがきで会いましょう♪





読んでくれてありがとうございました。

2015.11.30
黒音 未唯


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