並行世界.7



※注意※
『』の表記が咲夜≠フところの三蔵一行、清蘭、朱麗
「」の表記がわたくし黒音側の葵を含む三蔵一行の会話になります。




***
戦闘シーンで使用する清蘭の武器についてはオリキャラ設定にて確認してください♪



序章















今まさに火蓋が切って落とされた瞬間である。道幅いっぱいに広がり2組の一行は左右に広がった。護り、信じるのはおのれ≠フみ。





*向かって右サイド



「また今回は随分豪勢だ、なっっっ!!!」
「豪勢なら俺はこんな奴らより肉がいい!!」




いつもより多少多い気がする敵をその錫杖で切り裂きながら悟浄は言い、悟空は相変わらずどこにいても第一変換されるものは食べ物なのであった。



「あっちには女2人いて、こっちには女1人か」
「あっち2人も随分上玉だったがコイツもなかなかじゃねぇか」

「って言われちゃってんぜ?葵ちゃん?」
「あーーーー!ホント潰ス!」

「やられる前にコイツだけもって帰ろうぜ」
「そりゃい…ぐはっっっ!!」




ニタニタと笑う妖怪の男は頭を打ち抜かれ屋根から転がり落ちてくる。もちろん仕業三蔵の仕業である。その光景に葵を奪って連れて帰ろうと企んだもう一人の妖怪は青ざめた顔をするも、もう時既に遅く目の前には葵の姿があった。




「おまっ、どこから…」

「お前には関係のないことだ。何も知りえないまま女=Aしかも人間の女に無様にやられ死ね」



…どこまでも女に間違われるのがなぜか受け入れられない葵。今の格好ならまぁ当たり前なのだけれど、だからこそ女≠ゥら逃げられないからだろうか…。

葵は怯えきったその妖怪を蹴り飛ばし、屋根から落とすと数秒をおいてそのまま自分も落ちていく。その手にはもちろん愛刀の 青龍偃月刀(せいりゅうえんげつとう)が握られ、その刃は光を青白く反射する。
地面につく瞬間、刀背(ミネ)に開けた穴に通した飾りの鈴が シャンッ≠ニ響くのと同時に男の息の根は完全に止まった。



「あー、もうやだ。もうホント無理」



そう言って編み込んだ三つ編みのゴムをとり、ウィッグを脱ぎ捨てる。そしてロングスカートの端を刃で切れ目を入れたかと思えばそこからビリビリと動きやすいようにと、スリットを入れてしまった。



「ん。これならまだ動きやすい」
「あ〜ぁ。もったいね」
「でもまぁこのほうが葵らしいですけどねぇ?」
「半分だけいつもの葵だな!」
「…悟空、一言余計」
「おめぇら気ィ緩めてんじゃねぇよ。さっさとヤレ」
「へぇーい」



三蔵の一喝と、悟浄のやる気のない声が残った。







*向かって左サイド



『出てきて!!【如月】に【弥生】!!!!』



清蘭は花札から二人の精霊を召喚する。
雪女の【如月】は清蘭を守るように凍てつく冷気を放ち、そして氷の刃を放ち妖怪を倒していく。毒を扱う【弥生】は毒矢を死角から狙う妖怪たちにふりそそいていた。
また清蘭自身も花札から炎と風を出し、炎の竜巻をつくり妖怪たちを次々と焼き殺していく。




『あっちは清蘭と精霊たちに任せておいて大丈夫そーだな』
『そらそうよ。清蘭と闘うというのは何十人と相手をしてるようなもんですからねー』
『ふん、だれが育てたと思っているんだ貴様ら』
『はいはい、三蔵様だろ』
『もう聞き飽きたっつうの』



清蘭の様子を見ていた五人は自分たちに向かってくる敵に専念することにした。
朱麗が向かってこようとする敵に向き直そうとしたその時、妊婦が逃げ遅れてしまってることをとらえた。朱麗の足は考えるよりもさきに彼女の元へと動いた。

自分と同じような悲しみを負って欲しくない。

そう心のどこかで考えていたのだった。
その時の彼女に写ったのはその妊婦の姿だけで後ろから迫る脅威には気付いていなかった。




『!!』
『助け、て…』
『三蔵、清蘭が…!!』
『!?…チッ』
『三蔵たちは清蘭の方へ!』
『八戒はどこに行くんだよ!!』



清蘭の微かなSOSに一番遠くにいた悟浄と三蔵が向かう。八戒は先に朱麗の元へと走り、後ろから迫っていた妖怪へと鉄槌(気功)を食らわせた。
誰もが清蘭が優位だと気にしていなかったものの、清蘭の出した精霊、【如月】が敵の攻撃をよけきれずに足に受けてしまった。そのダメージは本体である清蘭自身が傷を負うシステムになっている。そのために足を取られその場に尻餅をついてしまい、じりじりと後ろへと後退するしかなかった。…その目には恐怖の色を浮かべていた。



「やっと、大人しくなったかこのアマ」
「しかし、いい女だよなこいつ」
「いっそ、ヤってから殺してしまおうか」

『いや……いやっ辞めて…お願い……』
「そんじゃこれ以上逃げられないようにとりあえず足切ろうか?」



もう既に敵は刃物をちらつかせどうしてやろうかと二人で考えている。



『清蘭っっ!!!!』
「でも足を切ったりしたらつまらないだろ?」
「じゃあどうする?」
「切らない程度に傷つける」
「じゃあそれで!」

『間に合えぇぇぇ!!!!!』
「大人しくしてろよ?じゃないと足、切り落としちまうかもしんねぇからな子猫ちゃん?」
『イヤァア アアアアアァァァァァァァァ!!!!!!!!!』




なんとか届かないかと悟浄は手に持っている鎖を操る錫杖、錫月杖の鎖が伸びる音と清蘭の叫ぶ声が一帯に響く。

目の前の敵が不気味に笑い、その後のことを考えるともうもがくこともできず、ただ目を思いっきり頭叫ぶことしかできなかった。いっそ殺してくれたら楽かもしれない、そう思うほどに。




「目ぇ、開けていいぞ」
『……え、…葵、ちゃん…。どうし、て…??』



目を開けていいと言われた声に驚き、目を開ければ目の前には葵の姿があった。どう考えたって距離的に難しいのになぜ彼女はここに…?



「どうしてって言われても清蘭のピンチだっつーから屋根の上から飛んできた。足だけは早いつもりだけどまぁ間に合ってよかった」
『屋根の…うえ…?』
「大丈夫、じゃないよな。ごめんな、怖かったろ」
『怖かっ…たけど、ホントどうして間に合ったの…?兄さんや悟浄が間に合わなかったのに…』
「あぁ、それ?服屋に行く時話してくれたろ?精霊のこと。だからさっき【如月】、だっけ?切られた時点でヤバイな、て思って走って来たら間に合った。そもそも一番最初はさ、急にでてきて向かってきた熊を俺が斬っちゃってその傷負わせちゃっただろ?だからそのけじめつったらなんだけど俺に護らせて欲しい」
『なんか葵、うちの男どもより男っぽいかも…』
『なっ!!ふざけんな、足引きずって歩いてやがるからどこで怪我したのかって聞いたら言わねぇし!!!そもそもはお前のせいだったのか!!勝手に俺の妹に手を出しやがって!!』
「…さすがにここまで来るとめんどくせぇなオイ」
『なんだと??』
「過保護≠通り越してまるで籠の鳥≠セつってんの」
『なんだと!?文句あんのかっ!!』
『三蔵〜そこで喧嘩する前にこれ終わってからにしろよ〜』
『猿は引っ込んでろ!!』
「そんなに失いたくないなら自分でちゃんと捕まえとけよな。勝手に精霊召喚したりして切られないように見張っとけよ。いちいち馬鹿みたいに文句つけてきてなんなの?」
『それは確かに?』
『納得してんじゃねぇよエロガッパ!!!』
「てか悪いけど勝手に手を出してきたのはそっちなんだよね。それに、これは俺自身のけじめだって言ったじゃん?聞こえなかった??そんなに気に食わなくて俺に文句があるならそちらのお義兄さんから相手するけど?」
「…なんか葵サン…キレてない?」
「まぁ人には合うあわないがありますから、ねぇ」

『ふん、じょうと…』
『兄さん!!』
『チッ、…なんのようだ』
『今回は…ごめん。私のせいでもあるし葵ちゃんにお願いしてもいい、かな』
『!!』
『あー、三蔵負けた』
『まぁ、こればっかりはねぇ…。清蘭もあぁ言ってるし引くしかないのよね。それに元はと言えば私のせいでもあるしちょっと口出せない…』
『朱麗お前覚えとけよ』
『うわ、地獄耳……』























***
こんなもんでいかがでしょ!
なんだか葵さんは清蘭のお義兄さんの三蔵様はお気に召さない感じですね( ˇωˇ )←

それでこそほら、並行世界が目立つかなって。同じ人物でも見てきてるものが、感じてきてるものが違うからだんだんと別の人格がまたできあがる、みたいな。

そこを感じ取って余計にコイツ違うわー。ってなってるんだと思う!←雑か




そしてちょっとしたポイントはなんか地味に清蘭さんに優しい葵さんですかねぇ?


そして葵さんは冒頭の方で服破って、ウィッグは捨て去ってますけど…どうなることやら〜


ではまた次回!

読んでくれてありがとうございました。

2015.07.04
黒音 未唯


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