並行世界.3

※注意※
『』の表記が咲夜≠フところの三蔵一行、清蘭、朱麗
「」の表記がわたくし黒音側の葵を含む三蔵一行の会話になります。

今回の視点は主に 黒音 側の三蔵一行になります。


序章









ちょうど清蘭、朱麗達はが自分たちが置かれた状況についた話し合っていた頃、同じように葵達も話し合っていた。





「だからそれってどーゆーコトよ」
「つまりパラレルワールドですよね」
「いや、つまり、って言われてもわかんねぇよ?あ、猿!俺の春巻き!!」
「へへーん」
「猿って言われたことはいいのか」
「あ、猿じゃねぇ!!」
「うるせぇドアホ!!」





暴言にすら気づくのが遅れるぐらい食べることに一生懸命の悟空…。葵にしてきされてやっとこさ気づいた。そんな葵はひと通り食べてお腹を満たしたらしくデザートに杏仁豆腐を食べていた。





「杏仁豆腐!ずりい!」
「ずるくなんかない。で、そのパラレルワールドってどーゆーやつなのよ」
「なんといいますか…別世界があってそこには僕らと全く同じ人がいるのですが、それは僕らではない全く別の人格なんですよ。感じるものや考えることがちょっとずつ変わってくるので…。これ、伝わるんでしょうか…」
「俺が三蔵法師になってない異世界もあるかもってことだろ?」
「あ、そうですそうです!」
「…だからか」
「ん?葵どーかしたか?」




三蔵の一言で謎がなんとなく溶けた。そう、向こうの世界の自分は三蔵達に出会うことなく、暮らしているのだということ。その代わりに彼女達が三蔵達に出会い、旅をしているのだということ。





「いや、なんでもない」
「変な葵」
「…おい、そろそろいくぞ」
「へーい」
「すいませーん、お勘定おねがいしまーす」
「ちょ、待って!」






悟空は残された食べ物を次から次へと口の中へ放り込んでいく。悟浄は勘定が終わるまで一服し始め、八戒がてきぱきと済ませる。三蔵は先程まで吸っていたタバコを灰皿に押し付けると席を立ち「先にでている」と八戒につげ店を後にする。そのあとを追うように葵も店を出た。






「……」
「あんま気にすんな」
「なんの話?」
「お前は今ここにいる。別世界がどうだって関係ねぇだろ」
「……ん」





結局この男には全てお見通しなのだ。最初から今まで嘘をつくことはできやしない。
少し不安そうな顔をしていた葵は、見事(?)三蔵の言葉で前を向いた。



***
三蔵と葵が表に出てきたその同時間



葵の姿を発見し物陰に隠れる清蘭、朱麗。



『いたよ!朱麗!!』
『ちょ!声が大きいわよ!』
『ごめん…。でもなんであの人≠ィ引きだきしたいの?』
『確かめるためよ!』
『でもそれって直接聞けばいいことじゃないの?』
『やりたいことがあるのよ。ちょっと、ね。とりあえず良さそうなときに仕掛けてみてよ!』
『なんで私が〜…』
『いいからいいから!葉月もよろしくね!』




清蘭によって召喚されているヒグマの精霊葉月≠トン、とたたく。
あろうことかGOサインと勘違いしたらしい葉月≠ヘ葵へと一直線…。




『あっ、ちょ!』


***




「お待たせしました、三蔵、葵」
「ん」
「あーぁ、俺も杏仁豆腐食いたかったなー」
「ふざけんな!てめぇ俺の春巻き食っといてよく言うぜ!!」
「そんなんさっさと食わない悟浄が悪いんじゃーん」
「まぁまぁ、もうお店出てしまいましたし」
「なぁ、悟空…。アレ、なんだと思う?」
「え?…熊?」
「なんかめっちゃ葵一直線じゃね?」
「退いてろ」
「いい。自分でやる」





三蔵が懐から銃をだそうと懐へ手を入れかけた瞬間、葵は前へ半歩踏み出すと青龍偃月刀(せいりゅうえんげつとう)を呼び出し、走り出す。



『グルルアァァ』
「真刃閃!!!」




助走をつけると柄の方を地面に勢い良く押し付け、空中へ舞う。あとは本体の重さと勢いに任せ刃を振り下ろす。
だが紙一重でその攻撃をよけられる。そのまま右へとはらった刃を切り替え、左側から右上へと振り上げる。すると今度はジリッと刃が身体と擦れる感触が伝わる。


『!!』


それとほぼ同時に目の前に立ちはだかっていた熊は姿を消した。




「……」
「いつ見てもそれすっげぇよな!!俺も真似したら空に飛べそうだよな!!」




目を輝かせて褒める悟空など気に求めずに手のひらを長めなにかを考えている。




「どうした」
「…なかった」
「は?」
「斬り割いた感触が」



***
『ご、ごめん。あの子大事なときに緊張しぃなのよ…』
『精霊って緊張するのね…覚えとくわ…』


どうやら斬り割かれる前に術を解いて引っ込めたようだった。


***


葵はなんとなく疑問が残るような顔をしていたものの、消えてしまったものを追うことも出来ずにそのまま次の出発に向けて買い出しへと行くことになった。





「うまそ〜!な!三蔵アイス!!なぁ!!」
「買うわけねぇだろ」
「えーケチー」
「悟空の宇宙胃袋に食わせてもなー」
「ちぇ、なんだよ葵だってアイス好きだろー?」
「別お腹すいてねぇもん」
「別腹っつーじゃん!」
「俺はデザートまでちゃんと食った」
「あーーーー、やっぱ杏仁豆腐ーーーー」




次々と荷物を八戒から託されながら悟空は空を仰ぎ、声を大に訴える。杏仁豆腐を食べたからと言って悟空のお腹が完全に満たされる、とはなりそうにないが気持ちの問題なのだろう…。
隣で自分たちのタバコを買い足す2人。振り返らずに葵に話しかける。



「そーいや葵、タバコ買いたさなくていいのか?」
「別に吸わなくてもいいとか言ってたしいいんじゃねぇの?なぁ?……ってアレ?葵?」
「どこに行きやがった」
「…さぁ。お前見てなかったのか?」
「え?杏仁豆腐?」
「バカか…。葵どこ行ったんだって聞いてんだよ」
「え?知らねぇよ?」
「どうかしましたか?」
「葵が居なくなった」
「本当ですか…?僕は品物を見てたので見ていませんが……」
「残念なことに俺とさんぞーサマはタバコ屋のおっさんと話してたし、一緒にいたはずのコイツはなーぜか見てねぇっつーし」
「困りましたね…荷物運びが足りませんね」
「え、お前そこなの?」
「なんて冗談ですよ」
「…おい」
「まぁそうは言いましても心配は心配ですよね。あ、悟浄これ持ってくださいね」
「…っと。容姿は割と男だけど身体は女だからなぁ。誘拐とかで売りさばかれてたらどうするよ」
「……え?」
「でも彼女なら心配しなくてもみんな倒して帰ってきそうですけどねぇ」
「早く荷物おいて来い。探しにいくぞ」
「ちょ、ちょっと待てよ!」
「あ?」
「いま男だけど女って…」
「はぁ〜?もしかして知らなかったとか言わねぇよな?」
「知るかよ!ていうかむしろじゃあいつから知ってたんだよ!」
「俺はアイツと会うようになって2回目くらい?」
「最初から知ってた」
「僕も悟浄と同じですかねぇ。そう思い返すとあの頃より演じるのがうまくなりましたよねぇ」
「相変わらず嘘つくのは下手だけどな」
「しみじみしてる場合か」
「そうでしたね、とりあえず荷物を持ってたら動きづらいので置いてきましょう」
「そうだな」
「ったく世話のかかる妹っつーか弟っつーか、なぁ?」
「ホント、いつも一生懸命過ぎて困りますね。でもそこが葵のいいところでもありますよ。ね、三蔵」
「…俺にふるな」





心配しているのかしていないのかわりとふわっとした感じだったのだが、その一方ではない頭をこんがらせていた。





「あーーーー!!!!まじかよ!!!!!」





…どうやらやっと繋がったようだった。葵が…女ということに。





***
「お前ら…!」
『やっほ〜。朱麗って言うの。よろしくね』
「は…?」
『清蘭って言います♪』
「……葵、です…?」
『葵、ね!でさ、唐突なんだけど…葵は女≠セよね?』
「!!?」

































***
あれ、読み返すと短い?でも次の切り返しがこの方がきれいだからいいかな!←

今回は葵さん一行の話し合いと朱麗による企みの決行ですね。第一弾は失敗しました!
そして第二弾でどうやら連れ出すことに成功したそうです!!その方法とは??

そして実は葵一行(悟空を除く)は知ってましたよ〜って話も混ぜこんでみました。
知ってたよ?は?何言ってんの?
って感じが好きです( ˇωˇ )多分わざわざ言わないかなって思ってる。
ちなみに葵さんのタバコはキャスターマイルドかなって。まぁ未成年なのでたいしてすいません。死ぬほどストレスのあるときだけです(それでもだめやん)


次話ではおびき出すところからひと悶着ふた悶着まで行けたらなぁ、と!思います!




以上読んでくれてありがとうございました。
2015.06.15
黒音 未唯


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