並行世界.10


※注意※
『』の表記が咲夜≠フところの三蔵一行、清蘭、朱麗
「」の表記がわたくし黒音側の葵を含む三蔵一行の会話になります。



序章

















両方の悟空がまるで口裏を合わせたかのように叫んだあと、三蔵の様子を見てくる、と言い残しその場を離れた。




「やー、でもよ葵に妹がいたとはなー」
「そう言われると同い年の悟空と比べてもわかるようにいいお姉さん≠チて所は今までにもありましたよね」
「例えば?」
「そうですねぇ、よく周りのことに気がつく所なとですか?あぁ、三蔵とは言葉をひとことふたこと交わすだけで三蔵がして欲しいと思ってることを葵がやっていましたよね」
「あー、それ前に葵が外に出てる時の飯でマヨネーズはまだか≠チて言われたなー」

『兄さん、マヨネーズって…』
『いや俺だが、正しくは俺ではない』
『あ、そっか』
『なんかそれって葵のヤツそっちのさんぞーサマのコマ使いかなんかなのか?』
「そういうわけじゃないんでしょうけど、自然と身に染み付いているんでしょうね」
『人のことは籠の鳥≠ニか言ってた割には自分は甲斐甲斐しくしてたのかなぁ』
『たぶん葵はアレよ!尽くしたいのよきっと』
「なんかそれもどうだろうな?」
「こればっかりは本人に聞かなくてはわかりませんもんね」
「なー!飯はまだなのかーー!?」

『そうだよ!飯はいつになったら食えんの!もう日が沈むって、三蔵〜っ!!』



一段落付けはまたご飯の催促をする悟空ふたり。もはや駄々をこねる子供のようだ。



『…だそうだが』
『とりあえず僕らはご飯の前に買い出しをしておかないと、明日バタバタするのは面倒なので』
『さんせー。俺もタバコ切れた、つーか無くなった』
『タバコ無くすもんかフツー』
『ライターあるのにタバコだけねぇんだからしょうがねぇだろ!!三蔵サマはどうすんの?』
『まだあるが買いに行く』
『では、そういうわけで僕らは買い出しに…あ、でも清蘭と朱麗は大人しく部屋で待っていてくださいね?終わり次第迎えに行くので』
『…はぁーい』
『行ってらっしゃい』




一方の三蔵一行は女の子二人に手をふられ買い出しに向かい、もう一方(三蔵を除く)はとりあえず三蔵のいる宿に帰ることにした。




『…八戒の顔なんかすごく威圧的に笑ってたよね』
『あれはたぶん二人とも無茶をしたから部屋で休んでろ≠チてことだと思う…。行こう、俊雷』
『…ねぇ朱麗』



恋人に念を押されるように笑顔で言われたからには仕方なくおとなしくしてようかな、と思った矢先清蘭はそこへ立ち止まり朱麗を呼び止めた。


『んー?』
『私葵のところへ行きたいの、だめかな』
『さぁて、どうだろう。部屋にいてって言われたからにはいないと流石に困っちゃうだろうし……あ!』




朱麗はすこし考えると俊雷に目をやり、なにかを閃いたようだ。




『俊雷、あんたお留守番!』
『え、それどういうこと?』
『いい考えだと思わない?だって部屋にいないと探されたりするから俊雷置いて置けばほら!みんな帰ってきたら私たちがいるところに誘導してもらえばいいじゃない!』
『…それ上手くいくの?』
『大丈夫よね、俊雷!それにやっぱり私もちゃんとあの子の話聞いておきたいし』




俊雷をみればそのふさふさとした尻尾を左右に大きく振り、大丈夫!と返事をしているようだった。清蘭はすこし考えた後朱麗の案にのり三蔵が向かった方へと歩き始めたのだった。





***ときは少し戻り…
三蔵が部屋に戻ったところ…。は宣言通り(?)シャワーを浴びたあとらしく髪がまだ濡れていた。





「…何しょげてんだ。さっさと髪拭かねぇと風邪引くぞ」
「別に、なんでもない…」
「嘘つく必要あんのかお前」
「こーゆーの、嘘じゃなくて強がりって言うんだよ」
「どっちでもいい。改めて聞くが、何しょげてんだ」





ここで初めて顔をあげ目線を三蔵に向ける。

今朝まで使っていた部屋でまた5人箱詰めになり、寝るのは嫌だという意見が一致したので一人人部屋とは行かなかったものの2人、3人の部屋に別れた。
そしてこちらは三蔵、葵の部屋なのであった。




「勝手に怒って馬鹿みたいなのはこっちだよな…」




葵本人は全く持って意識していないものの、三蔵と2人になると癖でなのかいつもの男としての言葉遣いや、立ち振る舞いが急に柔らかくなる。



「向こうの三蔵にもちょっと言い過ぎたかなぁ…」
「そんなに気にすることか?お前が思ったことを言ったまでだろ?」
「そうかもしれないけど、さ」
「はっきりしねぇな。いつもの威勢はどこ行った」
「俺から見たらあんな三蔵でも、清蘭達には大事な仲間であって何よりも護らなきゃいけない【第31代唐亜玄奘三蔵法師】なわけだし」
「本当に護らなきゃいけねぇのは俺じゃなくて【経文】だけどな」
「そうだけどさー…。それに清蘭には清蘭なりの考えとか生き方があるわけだからそれを第三者がそんなの間違ってる、とか言うもんじゃないよなって…」
「……」
「俺のことちゃんと知らないヤツにあぁやって言われてたら俺だったらちょっと嫌だったかな、って思っただけ…」
「……」




三蔵はすこし考えた顔をして、空気がこもらないようにと窓を少しあけるとタバコに火をつけ煙をすった。その煙を味わうようにゆっくりと吐き出せば、少しあけた窓から煙が外へと流れ出る。葵はさりげなく手元にあった灰皿を三蔵へと渡した。




「そうとも限らねぇんじゃねぇのか?」
「どうして?」
「いつも見慣れてっからそんな当たり前なこと言われてもどうでもいいだろ」
「…どういうこと?」
「だから、全く知らねぇ人に馬鹿みたいに食うやつだな、キモチワルイ≠ニ悟空が言われたとする。お前は何を思う?」
「なにって…別に何も?」
「それとおんなじだろ。でもまぁ、アイツがあんだけ過保護になるのもわからなくもないけどな」
「アイツってむこうの三蔵…?」
「さぁ?」




そういって悪戯な顔をして目線を葵から外へと向けた。
自分自身も悟浄や八戒、悟空などを葵が万が一、好きになり恋仲にでもなりでもしたら下手に転べばあぁなるのかも知れないという考えが頭をよぎった。
そんな考えをタバコの煙に乗せて外へと吐き出した。




「結局どうするかはお前次第だ」
「…なんのはなし?」




どうするなんて人に左右されるものではなく、自分自身で切り開くことである。どんな道も同じ。こいつの最初の一歩は自分の髪を切り捨てて、自分は男≠セと、だから中に入れて住まわせてくれと泣きついてきたこと。それがお前の運命を変えた。




「ようは…」
「ようは?」
「そんなに気になるなら本人達に直接聞いてみたらいいだけの話だ」


















***
なんか長くなった???
そして祝?10話!なかなかロングな話ってかけなくてわりと短めにしかけない私ですが流石にふた組も三蔵一行がいるので長いですねぇ〜( ˇωˇ )


今回は三蔵と葵がどっちかつったらメインでした!

雑談?じゃないけどサブの話が多くて場所とった感じが否めない。飛ばしてもいいけどやっぱあったほうがいいよなぁ、って増えてくパターンのやつです。まとめる能力が低いともいう。



とりあえず次回は本人らの話です。
区切りが多分そこで終わって次の次で向こうの三蔵さんが清蘭がいねぇ!!ってなるんじゃないでしょうか( ˇωˇ )



ではまた〜


読んでくれてありがとうございました。


2015.07.16
黒音 未唯


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