ハク千
2019.12.31 Tuesday
─ つごもり ─
こたつの中で、つま先がハクの脚に触れた。みかんを剥く手をそのままに、彼は視線をちらと千尋へ向けてくる。
「テレビはもう飽きてしまった?」
「年末の特番ばっかりだもん。──ハクはおもしろいの?」
うん、と笑ってうなずく彼。「でも、千尋がしたいなら、もう一度花札でもして遊ぼうか」
千尋は今さっき自分の分を食べたばかりだったが、ハクが剥いたみかんのひと切れも口の中に放りこんだ。調子に乗って冷たいものを食べすぎたせいか、ぶるっと身震いがする。
するとこたつの中で、そっと手を握られた。温かい手だった。
「何をして、遊びたい?」
このままでいい──、心地よさにとろりと目を閉じかけながら、千尋はつぶやいた。