りんさく
2019.12.25 Wednesday
─ to be jolly ─
桜はそっと頬をおさえた。かすめるように触れてきたあの感触が、消えないように手の中に閉じこめた。
「……ジンクスだと聞いたから」
「誰に?」
おふくろに──と足元に視線を落としてつぶやくりんねは、まだ耳の先をほのかに赤くしている。寒さのせいか、それとも恥らいの名残か。
「宿り木の下では、その……こうしてもいいんだと……」
「……最近の小学生って、おませさんなんだね」
街灯に飾られた宿り木を見上げて、桜はほのかに笑う。"本物の"キスでも良かったのに──つかの間そう思ったけれど、目も合わせられずにいる二人には、まだ気の早い話かもしれない。