失 楽 園

His name             

さよならをはじまりと喩えるならば
追いかけるたび剥離する瘡蓋
あまりにもなめらかな深層
置き去りにされた理解、そして馳せるだけの後悔
なによりも透明で美しいだけの面影
きみが夜と呼ぶ黎明
朽ちるためだけに名付けられたエデン
ほころびのひとつの意味も知らずに
やわらかにほどける群青
無傷を装う一瞥
無神論者の後遺症
檻の深さをなんと問う
身動きのとれない理想の壊れかた
さよなら翡翠が聴こえぬうちに
その手を振り払うための独り善がり
盤上でお会いしましょう
明転の先、きみを待つ
その楽園に月はない
おやすみミスターシャングリラ

死に損ないの讃歌


Title by 失青

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